日刊カーセンサー▲自動車・中古車に関する調査・研究を通じ業界の発展を目指すリクルート自動車総研が、調査データと独自の考察をお届け。今回のテーマは「走行距離」

「走行距離≒常識指標」だがレトロブームなどで意識が変化?

リクルート自動車総研が行っている『中古車購入実態調査』で中古車に求めるものの1位は「走行距離の短さ」でした。走行距離≒経過年数≒状態、であることは間違いないので走行距離が短い物件=少しでも状態が良い車を買いたいという要望であるとも言えます。

そして、次に重視されているのは「価格が安いこと」。車に限らず中古品は状態が良い方が価格は高くなるので、走行距離は短いほど良い、でも価格も安い方が良い! を両立するのは難しい条件と言えます。距離(状態)か、価格か、悩みながら折り合いをつけることこそ中古車購入と言ってもいいでしょう。

一方で、経年変化に関する意識を下記グラフで見てみると「走行距離の短さ」を気にしている層は減少傾向。さらに世代別では、若い世代ほど走行距離を気にしなくなっていることがわかります。
 

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都内を走っている古い車を若者が運転しているケースを多く見かけるのですが、レトロブームやSDGs、個別化、個性化などの動きが関係しているのではないでしょうか。
 

日刊カーセンサー▲若者に人気のネオクラと呼ばれるジャンル。写真はボルボ 240エステート

その証拠に、走行距離のトレードオフとして挙げられる「価格が安いこと」についても若者ほど重視する割合は低い傾向にあり、予算に限りがあるから状態が悪いものを仕方なく買っているというわけではないことがよくわかります。
 

日本の常識は世界の常識ではない? 10万kmは通過点にすぎない!

そもそも、車の耐用距離とはどれくらいなのでしょうか? 欧州では、走行距離が長くなるとメンテナンスの際に距離に応じたバッジがもらえていたくらいで、長いと50万kmや80万kmという方もいるようです。
 

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日本だとなんとなく10万kmが一区切りな気がしますが、生産側はもっと長く走る前提で車を開発しているのですから、当然もっと長く走れてしかるべきですよね。

中古車ゆえに「壊れないよ!」とは断言できませんが、価格相応で欲しい車を購入できるのであれば、走行距離にはある程度目をつぶるのもありかもしれません!
 

文/西村泰宏、写真/カーセンサー編集部、adobestock
西村泰宏(にしむらやすひろ)

リクルート自動車総研所長

西村泰宏

カーセンサー統括編集長 兼 リクルート自動車総研所長。自動車メディアを車好きだけでなく、車を購入するすべての人のエンターテインメントに変革すべく日々の仕事に従事している。