車いすの人を乗せるからといって、わざわざ大きな車や、大きくなくとも車いす専用の車を買うなんて、なかなかできないという人は少なくないはず。そんな方には、普段は普通に使えて車いすも乗せられる手頃なサイズの兼用車が理想ではないだろうか。このホンダフリード車いす仕様車は、そんな手頃な兼用車の1台と言える。

ベースのホンダフリード(2008年5月~)はコンパクトなミニバンで排気量も1.5Lと小さいから経済的。とはいえ独自の低床技術などにより広々とした室内を確保し、両側スライドドアを備えるなど利便性も高い。毎日のお買い物から休日の家族でのお出かけなど、小さいながら幅広い用途に使うことができる。こうしたことがウケて一躍人気ミニバンの仲間入りを果たした。

このフリードに、さらに車いすも乗せられるようにしたのがフリード車いす仕様車。3列目シートも備えたタイプと、3列目シートがないタイプがある。どちらも車いすを乗せる場合は、テールゲートを上げてスローパーを降ろして2列目シートの後ろ(3列目シート部分)に乗せる。このため3列目シートがあるタイプは、車いすを乗せる際には3列目シートを左右に跳ね上げる必要がある。

車いすを乗せた時の定員は5名。3列目シートがないタイプは、車いすの人の周囲に跳ね上げられた3列目シートがないため、より圧迫感のない空間でドライブを楽しむことができる。

いずれのタイプもベース車両よりリア部分が低床化されている。これはスロープの角度を小さくして、車いすを乗せる際に介助者の力が小さくて済むようするため。ちなみに2011年10月のマイナーチェンジで電動ウインチが採用され、さらにスロープの乗降が楽になった。

2Lサイズの箱形ミニバンより燃費がよく、コンパクトで扱いやすい。普段は他のフリードオーナーと同じように使えて、通院など必要なときだけ車いすを乗せることができる兼用車として、非常に魅力的ではないだろうか。

3列シートがあるタイプの乗車定員/6名(車いす乗車時は5名)
3列シートがないタイプの乗車定員/4名(車いす乗車時は5名)
スロープ角度/11度
スロープ幅(内寸)/700mm
スロープ耐荷重/200kg

Text/籠島康弘

ホンダ フリード車いす仕様車 リアスタイル|福祉車両購入ガイド

3列目シートがあるタイプとないタイプがある。いずれも2WD(FF)のみ。助手席後ろ側のスライドドアは電動。オートエアコンなどを装備する

ホンダ フリード車いす仕様車 車いすからの視界|福祉車両購入ガイド

車いすの人から見た前方視界はこのように開放的。2列目シートは左右独立式。後ろに座った車いすの人の前方視界を良くし、2列目の人とのコミュニケーションを取りやするための配慮