販売店と良いコミュニケーションを築く交渉術
2015/12/19
店員さんをアドバイザーにしてしまえ
中古車を買うのは新車に比べれば安い場合が多いとはいえ、日常生活においては高い買い物。失敗はしたくない。そのためには、物件を見極めると同等かそれ以上に、店員さんと良いコミュニケーションを取ることも必要だ。そのためには、どのような心構えが必要なのだろうか。
心理カウンセラーの五百田達成氏によると「ひとつは、店員さんにサポーターでありアドバイザーになってもらうことです」という。「買い物をするときに、相手に都合の良いようなものを買わされるかも、と考えると店員さんは敵になります。敵だと考えると、つい高圧的な態度になってしまう。しかし、自分にあった商品を薦めてくれるアドバイザーと考えると、接し方が変わります」
相手をアドバイザーと思えば、車をどのように使うのか、ライフスタイルや趣味、家族構成、そして予算などを話して、ぴったりの1台を探してもらうという心構えが必要だという。
買い物に必要な「ロマンとそろばん」とは?
「こちらから情報を提供すれば、店員からも良い提案をしてもらえますよ」と五百田氏。しかし、購入には「ロマンとそろばん」が大事と続ける。
「ロマン」は、欲しい車や理想。「そろばん」はそれを現実的に安く購入する方法です。そのために、いくつかの心理テクニックを使うのもいいでしょう」
マーケティングにも使われる行動心理学
例えば、小さなお願いから始めて大きなお願いを聞いてもらう「フット・イン・ザ・ドア」。簡単に付けられるおまけをお願いして、徐々にグレードアップしつつ、最終的にはこちらが思う本当のサービスへと誘うという方法。一度要求をのむと、次の要求が断りにくくなる心理を応用している。
その逆で、まずは大きなお願いをして、徐々に条件を緩めて、最終的に自分が望むサービスを受け入れてもらう「ドア・イン・ザ・フェイス」という方法もある。これは、何度も断ると罪悪感を感じてしまう心理をうまく利用している。
また、とりあえず簡単な要求でyesを取り付けたあとに、本当の条件を提示してのませてしまう「ローボールテクニック」という手段もある。一度yesと言ってしまうと、少し条件が変わったからといって、撤回するのは面倒だったり恥ずかしかったりする心理を応用したテクニックだ。
「これらは行動心理学と呼ばれ、マーケティングなどにも活用されています。確実におまけや値引きが可能になるとは限りませんが、少しでも良い条件で買うために覚えておいて損はないでしょう」
店員さんを信用してサポーターになってもらい理想の車を探しつつ、購入時には計算しながら少しでも良い条件を探る。中古車購入には「ロマンとそろばん」が重要だ。
【取材協力】
五百田達成(いおた たつなり)
作家・心理カウンセラー。「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」を主なテーマに、「情報の翻訳家」として執筆・講演。「スッキリ!!」(日本テレビ系)レギュラーコメンテーターをはじめテレビ出演多数。最新刊は「アラン先生と不幸な8人」(ワニブックス)。
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