来るべき平成の次の時代で、HVネイティブはガス欠の夢を見るか……!?
2018/07/22
HV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)の台頭とカーシェアリングの普及
平成も残すところ9ヵ月。来年5月1日から新年号に切り替わるということで、平成の車関連トピックをざっくり振り返りつつ、未来のトレンドを展望してみたい。
平成がスタートしたのは1989年1月8日から。世はバブル景気のまっただ中で、前年に登場した初代日産 シーマが大ヒットし「シーマ現象」なる言葉が生まれたり、BMWの3シリーズが「六本木のカローラ」なんて呼ばれていた。
また、トヨタ セルシオ(初代)や日産 スカイラインGT-R(R32)、マツダ ロードスター(初代)などの名車が誕生したもの平成元年だ。つまり、高価な輸入車や大きくて豪華な国産車、走行性能を極めたスポーツカー、小洒落たオープンカーなどが、ステイタスシンボルとしてキラキラしていた時代だった。
バブル経済が崩壊した後、車のトレンドはミニバンからコンパクトカー、そして軽自動車へと緩やかに移行。ここ最近では、軽自動車の上質化やSUVの多様化の波が、既存のトレンドを浸食してきている。
だが、これらボディタイプ別の流行とは別軸で言えば、ハイブリッドカー(HV)や電気自動車(EV)など、エネルギー源の一部、または全部に電気を用いるエコカーの台頭は、忘れてはならない平成のトピックのひとつだ。
世界初の量産HVとなるトヨタ プリウス(初代)のデビューは1997年(平成9年)12月で、世界初の量産EVとなる日産 リーフ(初代)は2010年(平成22年)12月に登場している。
もうひとつ、カーライフ関連で気になるトレンドがある。カーシェアリングだ。
市場規模はまだ小さいものの、直近の10年間でステーション数や車両台数、会員数はいずれも順調に増加傾向にある。おそらく都市部では、車を所有するのではなく、不特定多数でシェアするスタイルがさらに普及していくに違いない。
まだ微少ではあるが、下の2つのグラフでもHVやEVの台頭、カーシェアリングの普及といった、少し先の未来のトレンドを予感させる動きが見て取れないだろうか。
平成の次の時代には、物心ついたころからHVが身近にある、平成生まれの若い世代=HVネイティブたちが日本のドライバーの中核を担うようになるだろう。
そうなれば、新車であれ中古車であれ、ガソリン車を買う人は少数派になるかもしれない。いや、そもそも車は購入(所有)しないでシェアするものだ、ということが常識になっているかもしれない。
フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』では、主人公の人間(デッカード)が電気羊ではなくホンモノの羊を飼うことを夢見ていることが物語のひとつの軸になっている。
その構造に大雑把に拝借すると、もしかしたらHVネイティブたちにとって、電気をエネルギー源にしないガソリン車を飼う=所有することがステイタスになるという未来が見えてこないだろうか。そのとき、彼らHVネイティブは、“ガス欠”を甘美な出来事として夢見るのだろうか、と。
ちなみに件のSF小説をベースに作られた1982年(昭和57年公開)の映画『ブレードランナー』の舞台は、2019年11月のロサンゼルス。そこでは人間そっくりのアンドロイドが存在し、車は空を飛んでいた。
一方、新年号がスタートする現実の2019年では、映画で描かれているようなアンドロイドも空飛ぶ車もまだ存在しない。だが、新しいカーライフ感を身につけたHVネイティブの存在感は、徐々にだが確実に、増大しているのは間違いない。
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1:マツダ ロードスター(2代目)
2:ホンダ ビート(初代)
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