NAロードスターの座席シート表皮を自力で張り替えてみた【車のDIY】
2019/12/10
シートを替えたい気持ちが強まる……
程度に差はあれど、中古車たるものどうしても過去のオーナーの痕跡が残っているものです。
それが年式の古い車両であれば、経年劣化も相まっていろいろな部分に気になるところが出てきてしまうもの。
日常のアシとして割り切って購入した車両であれば、機関系のトラブルさえなければ少々目をつぶる部分かもしれませんが、気に入って購入した車両ならばリフレッシュしたい! と思うのが車好きというものではないでしょうか。
中でも内装パーツは運転中、常に目に入ったり触れたりする部分のため、一度気になってしまうと乗るたびにリフレッシュしたい欲が出てきてしまう部分でもあります。
筆者の愛車である1993年式ユーノスロードスターもまさにそれで、25年以上経過した本革シートは見るも無残な状態。乗り降りで擦れるサイドサポート部分や座面は破れ、表皮自体もかなりくたびれた印象となってしまっていました。
オープンカーの場合、屋根を開けると内装が一目瞭然なので、なんとかしたいという気持ちが日に日に強まっていったのです。
シートを一新することにしたはいいものの……
ということで、一念発起してシートをどうにかすることを決心したワタクシ……。
しかし、どうリフレッシュするのかが悩みどころです。
筆者は「オリジナルの雰囲気を大きく崩したくない」という思いがあり、今回は純正品に近いシート張り替えキットを使用し、「自力で、シート表皮を張り替える方法」を選びました。
筆者が選んだ方法以外にも、一般的に以下のような選択肢がありますが、下記の理由により却下となりました。
・まるっと現状のシートを捨て、スポーツシートなどに入れ替える方法
→愛車の内装にマッチするタンカラー系のナイスなスポーツシートが見当たらなかった。
・専門店で、シート表皮を張り替えてもらう方法
→費用がかさむのと、オリジナルに近い仕上がりになるのか不安だった……。
・シートカバーを上からかぶせてしまう方
→最近のシートカバーは出来も良いが、やはり「カバー感」が否めない……。
それでは、実際に座席シートの表皮を張り替えた模様を次章以降でレポートしていきます。
専門店に張り替えキットを注文、到着!
今回、採用した張り替えキットは、シートカバー専門店「ユアブランド」さんのシート張り替えキット。
「ユアブランド」さんはマツダ ロードスター用に、純正の表皮を一度剥がして新し表皮シートを装着するタイプのキットをリリースしています。
もちろん通常のシートカバーも、国内外60車種以上の専用形状のものも取り扱っています。
商品はすべて注文を受けてから制作するため、シート表皮の生地や色はもちろん、ステッチ(縫い目)などもユーザー好みにすることができ、世界にひとつだけのオリジナル品にすることも同社は可能です。
筆者は純正シートに一番近い仕様で作っていただきました
注文してからおよそ2ヵ月、待ちに待ったシート表皮が自宅に届きました。
かすかに漂う革の香りを感じながら開封すると、そこには純正表皮とうり二つのものが入っています。
ユアブランドさんいわく、「本来の純正品とは微妙に違うもの」とのことですが、単体で見る限りそんなことは全く分からないクオリティでした。
はやる気持ちを抑えつつ、ついに張り替え作業を実施する日がやってきました。
プロにお願いするのもいいのですが、自分でやってみれば工賃は浮くし、愛着も一層わきそうです。
特に、ユアブランドさんのキットには丁寧な取扱説明書も同封されており、これなら自分でもできるかも……と思えました。
いざシートを張り替え
いざ作業に移ります。作業の工程は、
1.シートを車から外して座面と背もたれを分割
2.純正のシート表皮を剥がす
3.新しいシート表皮を装着する
4.シートを元どおりに組み立てる
5.シートを車両に戻す
というもの。文字で書くと簡単ですが、なかなか一筋縄ではいかない作業となりました。
まず古いシートカバーで覆われたシートを外します。
そしてシートを車から外したあと、座面を分割。
ここまではスムーズにいきました……。
【2】純正のシート表皮を剥がす
ですが、古いシート表皮を剥がすのが一苦労。
なぜなら、単にシートにかぶせてあるわけではなく、所々金属のリングで固定されていたのです。
これをペンチなどで丁寧に外していきますが、なんとその数100個近く!
これが結果として、一番しんどい作業となりました。
【3】新しいシート表皮を装着する
頑張って古い表皮を剥がせたら、いよいよ新しい表皮の装着です。
ぴったりフィットするように作られているからか、簡単には装着できません。
ただ力任せに引っ張っても表皮を傷めてしまうので、焦らずじっくり馴染ませるように装着していきました。
【4】シートを元どおりに組み立てる
座面と背もたれ両方の表皮の張り替えが完了したら、いよいよシートを元どおりに組み立てます。
座面と背もたれをつなぐ金属の部分にはプラスチックのカバーが備わりますが、ここも経年劣化が進んでいたためこのタイミングで交換。
数千円のパーツですが、違いは明らかで交換してよかったと言える部分です。
【5】シートを車両に戻す
最後はシートを車に戻して作業終了!
シートで雰囲気は一変!
撮影をしながらとはいえ10時間ほどかかってしまいました。
しかし、装着されたシートを見るとそんな疲れも吹っ飛ぶというもの。
時間に余裕がある方、愛車のシートを自力で張り替えたいという方はぜひチャレンジしてみてください。
自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。
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