ディーラーイメージ▲長い付き合いになることが多いディーラー。カーライフのパートナー的存在だ

自動車ディーラーの意味や特徴、サブディーラーとの違いを解説!

「車を買うならディーラー派」「私は中古車屋さん派」といった発言はよく耳にするけれど、そもそも「ディーラー」とはなんだろうか?

この記事では主に国産車を扱う「ディーラー」や「サブディーラー」の定義について、またディーラーで車を買うことのメリットなどについて解説しよう。
 

 

ディーラーとは?

ディーラーとは、自動車メーカーと特約店契約を交わしている自動車販売会社や販売店のこと。正規販売会社・正規販売店とも呼ばれ、特定のメーカーもしくはブランドの車のみを取り扱うのが特徴だ。

多くの場合、店舗の外観や内装はブランドごとに共通のデザインとなっているので、ディーラーか否かを見分けることはそう難しくないだろう。

ディーラーはメーカーから直接新車を仕入れ、自社店舗で販売する。つまり、メーカーにとってはディーラーが顧客というわけだ。

特約店契約を結ぶことで、販売会社側には他よりも安く仕入れることができたり、メーカーから販売支援を受けられたりするメリットがある。

メーカー側としては、車の販売、アフターフォローを販売店に一任でき、サービスの品質やブランドイメージを共通化できるのがメリットだ。

また、同じメーカーに属するディーラーの中に、複数の販売チャンネルがあることも(「トヨペット」「トヨタカローラ」「日産プリンス」「日産サティオ」など)。これはチャンネルごとに専売車種を定めていた時代の名残り。現在はどのチャンネルのディーラーでも、同じ車種を買えるようになっている。
 

 ディーラー外観 ▲新型車などは試乗車が用意されていることも多く、実際に乗ってから購入を決められるのもディーラーの利点
 

サブディーラーとは? ディーラーとの違いは?

自動車メーカーのブランド・ロゴを掲げた店舗でも、ディーラーではなく「サブディーラー」の場合がある。サブディーラーとは、メーカーと特約店契約を結んでない自動車販売店のことだ。

サブディーラーは取り扱うメーカーに制限がないため、複数メーカーの車を販売できる。また、店舗の大きさや設備にも制限がなく、ディーラーと違って整備工場を併設せずに販売のみを行っている店舗も多い。

国産自動車メーカーの場合、多くは新車販売の大部分をディーラーが担っているが、スズキやダイハツ、スバルのようにサブディーラーでの販売比率が高いメーカーもある。

なお、新車に対してメーカーが一定期間内または一定走行距離内での故障について費用を負担してくれる「メーカー保証」については、ディーラーでもサブディーラーでも保証内容は同じ。

サービス体制についてはサブディーラーを経営している会社ごとの判断となるので、一概には言うことはできない。
 

 ディーラー商談 ▲日本では新車をディーラーで購入する人が多いが、アメリカなどでは複数メーカーの車を並べるサブディーラーで在庫車の中から購入するのが主流
 

ディーラーの特徴・メリット

新車の品質については、当然ながらディーラーでもサブディーラーでも変わらない。ではディーラーで車を買う意味は? 以下のメリットが期待できる。

■全国一律のサービスが受けられる
ディーラーは特約店契約の条件として一定の設備、サービス体制が求められる。そのため全国どこのディーラーで車を買っても、アフターフォローや整備などのクオリティはほぼ同じ。これは大きな安心材料となるだろう。

■新型車をいち早く入手できる
ディーラーには優先的に新型車が納められる。受注状況などによっては納車まで時間がかかることもあるが、その場合もディーラーの優先度は高い。人気の新型車をいち早くゲットしたいならディーラーで購入するのが良いだろう。
 

納車 ▲自社ブランドに特化しているだけあり、ディーラーマンは新車の情報にも精通。リコールが出た場合にも迅速に対応してくれる

■ワンストップで済む
新車の購入~12ヵ月点検、24ヵ月点検、車検、修理、さらに次の車に買い替える際の下取りまで、すべて同じ店舗に任せられるのはディーラーの強み。サブディーラーでも設備が整っている所なら、同様のサービスを受けることが可能だ。
 

 

サブディーラーの特徴・メリット

サブディーラーでは、前述のとおり複数メーカーの新車や中古車を取り扱っている。そのため様々なメーカーの車をひとつの店舗で比較検討でき、見積もりなども出してもらえるのが、サブディーラーのメリットだ。どのメーカーの自動車にするか決めかねている人にとっては大きな利点となるだろう。

ただしサブディーラーの場合、気になるモデルの展示車や試乗車が必ずしもあるとは限らない。もちろん、ディーラーも展示・試乗できるモデルは限られているが、話題になっている新型車ならほぼ間違いなく用意されているはず。

その点、メーカーを跨ぎ数多くの車種を取り扱っているサブディーラーはやや不利といえる。実車を見て検討したいなら、事前に展示車や試乗車があるか確認するのが良い。
 

 ディーラー保証 ▲メーカーを跨いだモデルを同時に比較できるのはメリット

なお、販売価格については、ディーラーとサブディーラー、どちらの方が安いとは一概に言えない。ディーラーはメーカーから販売価格基準を定められているため、車種ごとに値引きできる金額も決まってくる。

また、整備工場の併設義務などがコストに反映されるため、販売価格が割高になる……とよく言われるが、実際にはその分、仕入れ価格が安く設定されている場合もある。結果としてどちらが安くなるかはディーラー、サブディーラーの違いでなく、店舗による、というところだろう。
 

 

ディーラー保証、ディーラー保険とは?

ディーラーで車を購入する際には、併せて「ディーラー保証」や「ディーラー保険」の意味もしっかり押さえておき、納車後も安心してカーライフを送れるようにしよう。以下、それぞれについて解説する。

・ディーラー保証
ディーラー保証(販売店保証)はメーカー保証とは別に、ディーラーが独自に設けている保証のこと。一律の基準が設けられているメーカー保証とは違い、販売会社や販売店によって保証内容や保証の対象部分は異なる。

バッテリーやタイヤ、オイルなどの消耗部品を除いた、機関部品を保証対象とすることが多い。新車だけでなく中古車まで対象としている保証もあるが、その場合は新車よりも保証期間や走行距離が短く設定されているケースが一般的だ。

また、新車・中古車に限らず、有償で保証期間を長くする「延長保証」を付けることもできる。料金や保証内容などは各ディーラーや車種によって異なるためしっかりと確認してほしい。
 

・ディーラー保険
自動車保険には、強制加入となる「自賠責保険」と、任意での加入となる「任意保険」がある。「任意保険」は保険代理店やインターネットから申し込めるが、ディーラーが保険代理店となっている場合があり、その場合の保険商品のことを「ディーラー保険」と呼ぶことがある。

保証内容や条件などは、一般的な保険代理店で加入した場合も、ディーラーで加入した場合もほぼ同様。ただ、車の購入と同時に加入でき、事故などで保険を使うときにも修理と保険の申請をワンストップで行える、というメリットがある。個別に連絡する手間を惜しみたい方には有効だ。

またディーラーによっては、損保会社と共同開発した保険商品を扱っていたり、任意保険を利用せずに軽微な修理を行える付帯サービスなどを自動付与しているケースもある。
 

 ディーラー保証 ▲契約から万が一のときまで、ワンストップで対応してくれるのは大きなメリット
 

中古車を購入・検討したい場合は?

ディーラーといえば新車、というイメージがあるが、多くのディーラーでは中古車を購入することができる。むしろ最近は中古車を積極的に扱うディーラーが増えてきた。
 

 

ディーラーは新車を販売すると同時に、そのユーザーが乗っていた車の下取りもする。そうした車を他社に売却するのではなく自社で売ることで収益を増やせる、というわけだ。

もちろん、ユーザー側にも「ディーラーが認めた高品質な中古車を入手できる」というメリットがある。メーカーごとに独自のチェック項目、品質基準で優良な中古車を選定する「認定中古車」制度を導入している所も多い。その場合、全国のディーラーで保証修理対応できることが多いので、詳細は各ディーラーに確認してみよう。
 

 ディーラー商談 ▲中古車販売に力を入れるディーラーも増えてきた
 

ディーラーで中古車を購入している人の割合は?

では実際にディーラーで中古車を購入している人がどのくらいいるのか? は気になるところだろう。

カーセンサーでは、中古車の購入実態を把握するため、過去1年間に中古車の購入を検討した人を対象とした「カーセンサー中古車購入実態調査」を毎年実施している。その2022年版で「中古車の購入先」を調査した結果は以下のとおりだ。
 

 ディーラー商談

「メーカー系販売店(ディーラー)中古車」(中古車を専門に扱うディーラー)が第1位で全体の34.3%、「メーカー系販売店(ディーラー)新車」(主に新車販売を中心とし、中古車も販売しているディーラー)が第3位で全体の12.1%、合わせて46.4%の人が、「ディーラーで中古車を購入」している、という実態が明らかになった。

店舗数が多い「中古車専業店」よりも多いのは衝撃的だが、それだけディーラーは多くの人にとって身近かつ信頼できる存在ということだろう。
 

 

ディーラーに関するQ&A

Q.輸入車のディーラーもあるの?
A.国産車だけでなく、輸入車でも日本で展開しているブランドであればディーラーがある。国産車ディーラーと同じように新車や中古車の購入、下取り、整備や車検といったサービスを受けることができる。一方、日本市場から撤退した、あるいは元々展開していないブランドやメーカー系インポーターが正規輸入していない車種やグレードの新車については、個別に並行輸入で入手する方法しかない。ただし、ディーラーによっては自社ブランドの正規輸入車以外の修理や入庫を受け付けない場合もあるので、注意が必要だ。

Q.修理やメンテナンスもできるの?
A.もちろん新車・中古車の購入や下取りだけでなく、故障した場合の修理や、オイル交換などのメンテナンスもディーラーで受けられる。ほとんどのディーラーは、店舗内や会社内の総合整備工場で車検を受けられる国土交通省の認定した「指定工場」となっているので、整備の品質が高く、車検に要する日数が短くて済むメリットがある。価格は高めながらもメーカーが認定した純正部品を使用して整備や修理を行うため、品質面でも安心感が高い。

また、多くのディーラーが車購入後の整備や点検、消耗品の交換などのアフターメンテナンスをセットにした「メンテナンスパック」を用意している。内容や価格はディーラーによって異なるため、契約時にしっかり確認しよう。

昨今、電子制御機器や運転支援装置の発達、標準化に伴い電子制御装置整備の重要性が高まっているが、該当車種の車検整備に必要な「自動車特定整備」に自社で対応可能な点も大きなメリットだろう。

整備や修理だけにとどまらず、カスタムまで請け負ってくれる(もちろん合法の範囲で)ディーラーもある。
 

 点検風景 ▲ディーラーでは自動車メーカーが定める基準にのっとり、メーカー純正部品や認定部品、装置を使用して、整備、点検してくれるので安心

Q.ディーラーの「残価設定ローン」って何?
A.残価設定ローンとは、一定の期間、乗った後の車の価値を「残価」としてあらかじめ価格から差し引き、その金額を分割払いするタイプのローンのこと。「残価設定クレジット」などとも呼ばれる。自動車メーカーが「残価設定ローン」を設定し、独自の名称を付けていることも多い。

一定期間経過後、利用者は「車を返却する」か「同じメーカーの車に乗り替える」、もしくは「残債分を払って車を買い取る」のいずれかの方法を選択する。

「残価」があらかじめ差し引かれているので、毎月のローン返済金額を一般的なローンよりも抑えられるのがメリットだ。ただし、残価設定ローンも他の一般的なローンの場合と同じく、車の所有者は「自動車販売店」もしくは「信販会社の名義」となる点に注意したい。その場合、契約期間中に廃車にしたり、売ったりすることはできない。また一定期間経過後に車を買い取る場合、残債の支払いをローンにすると、結果的に一般的なローンより割高になったり、一定期間経過後の査定で車に損傷や故障が見つかると、追加金が発生したりする場合もある。

なお、残価設定ローン以外にも「残価据え置き払い」のような独自クレジットローンや「リース」、「サブスクリプションサービス」など、乗り方の選択肢が豊富なこともディーラーの特徴と言える。
 

※この記事は2023年10月13日に情報をアップデートし、一部加筆修正を加えております。  

文/田端邦彦、写真/AdobeStock、PhotoAC
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。