東京モーターショーが8日(日)まで開催されています。一般公開日初日は入場の列がずいぶんと伸びたようです。自動車への関心はまだまだ高いというのがわかります。今週は、そんなモーターショー関連のニュースではなく、それ以外のニュースをクローズアップ。では、おつきあいください。

社会

■トヨタの技術者が車作りのためにラリーへ挑戦(10月27日|朝日新DIGITAL発)

『トヨタ自動車の技術者の有志がラリー競技に挑戦している。女性ドライバーをはじめ、関わる15人全員、レースは未経験者。参戦の目的は「良い車を作るためには、運転する楽しみを自ら体験しないといけない」。初心者レベルの大会で、車作りのプロたちは悪戦苦闘している。

今月16日、愛知県美浜町の美浜サーキット。ハイブリッドカー「アクア」と小型車「ヴィッツ」が猛スピードで周回していた。タイヤを激しくきしませて、カーブに突っ込み、走り抜けていった』

料理人が自分の作った料理の味がわからない……となると、その料理を食べたいと思うかは微妙です。分業、分担がハッキリしている車作りはそれと事情が異なるものの、車の魅力をまだ知らない技術者が設計した車に乗りたいかと言われれば、やはり微妙ですね。

トヨタのトップ、豊田章夫社長も自らニュルブルクリンク24時間レースにエントリーしたのは、ステアリングを握る楽しさ、醍醐味を改めて確認する意味もあったはず(想像)。同様にトヨタの社員も自主的にモータースポーツに挑むのは、トヨタが作る車への期待値を上げてくれます。

例えば、東京モーターショーで発表されつつも市販化がアナウンスされていないコンセプトカー「S-FR」などは、このニュースとは直接関係ありませんが、ステアリングを握る楽しさを理解している設計者と技術者がデザインしたと言われると、ワクワクを通り超してドキドキさえします。

結局、東京モーターショーがらみの話題……というツッコミを受けつつ、車はもっともっと面白くなると期待させられるニュースでした。

▲86ではなく、あえてアクアやヴィッツを選んでいるところに共感します。運転の楽しさはスポーツカーのものだけではないはずですから ▲86ではなく、あえてアクアやヴィッツを選んでいるところに共感します。運転の楽しさはスポーツカーのものだけではないはずですから

マーケット

■フォルクスワーゲン、来年にも日本にディーゼル車を(10月28日|NHK NEWS WEB)

『ドイツのフォルクスワーゲンが排ガス規制をクリアするためディーゼル車に不正なソフトウエアを搭載していた問題について、来日しているフォルクスワーゲンの幹部は「過ちを犯したことをおわびしたい」と述べた一方、来年中にも日本にディーゼル車を投入する方針を明らかにしました。

これは、フォルクスワーゲンの乗用車ブランドのヘルベルト・ディース取締役会会長が、29日開幕する東京モーターショーの会場で記者団の取材に答えたものです』

ヘルベルト・ディース取締役会会長が言ったといわれるように、フォルクスワーゲンが過ちを犯したとして、それによってディーゼルエンジンがイメージダウンすることが残念でなりません。

アウトバーンをディーゼル欧州車とともに11日間で2700km走ったときに感じたのは、ディーゼルの扱いやすさ、力強さ、快適さ、経済性の良さでした。残念ながら日本ではディーゼルへのイメージが悪いので、欧州の最新ディーゼルが上陸して、いよいよ汚名返上のチャンスかと思っていただけに、やはり残念でなりません。

フォルクスワーゲンの犯した過ち、これとディーゼル本来の魅力をシッカリ切り分けて、最新ディーゼルのポテンシャルが広く認められることになるよう期待したいものです。不正のない本来のディーゼルが早く日本に上陸することはユーザーのメリットだと確信します。

▲今年試乗した中でもフォルクスワーゲンのパサートは最も印象に残っている車の1台。そのディーゼル仕様が日本に上陸したら、インパクト大です! ▲今年試乗した中でもフォルクスワーゲンのパサートは最も印象に残っている車の1台。そのディーゼル仕様が日本に上陸したら、インパクト大です!

マーケット

■マツダ、米国へのディーゼル車投入方針は変わらず(10月29日|ロイター)

『マツダの藤原清志常務執行役員は29日、ロイターのインタビューで、米国市場にディーゼル車を投入する方針に変更がないことを明らかにした。独フォルクスワーゲンの排ガス規制逃れ問題の影響から、ディーゼル車の信頼が揺らいでいるが、マツダとしては技術に「価値がある」として予定通り投入する』

ディーゼルの魅力、ポテンシャルに変わりはないとはいえ、ディーゼルエンジンへのイメージダウンが心配されるのも事実です。同時に、北米においては検査の厳格化が進んでおり、型式認可に時間がかかってしまう可能性も指摘されています。

その上で正面突破を計るマツダに、自社のディーゼルエンジンに対する自信を感じます。カーセンサーで「マツダ ディーゼル」で検索したところ約1250台がヒットしました(2015年10月30日現在)。うち約820台が、マツダ最新ディーゼルエンジンの「SKYACTIV-D」を積んだデミオ、CX-3、アクセラ、CX-5、アテンザ、アテンザワゴンなど。いずれも、マツダが自信満々だけのことはあると、納得させられる出来栄えです。

▲人気のCX-3。取り回しのよいサイズであり、そしてスタイリッシュ。さらにパワフルで経済的となればヒット作になるのも納得です! ▲人気のCX-3。取り回しのよいサイズであり、そしてスタイリッシュ。さらにパワフルで経済的となればヒット作になるのも納得です!

法規・ルール

■ディーゼル車:走行中に排ガス検査 国交省導入(10月28日|毎日新聞)

『ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題を受けて、国土交通省と環境省は28日、ディーゼル車の排ガス検査見直しに関する有識者会議の初会合を開いた。国内でディーゼル車を販売する9社は不正はないと報告しているが、国交省は確認のために、車両の排ガスを走行中に調べる検査を初めて導入する方針を示した』

ディーゼルのパフォーマンスが正しく認められ、広がっていくには、不正を許さない仕組みづくりも必要なことのひとつです。なので、国交省が示した方針は広く共感を招くことになるはず。

なにもかも規制で縛ることが必ずしもベストとは思いませんが、こういった対策が確立されることで、我々ユーザーがディーゼルに限らず車をより安心して選べるようになるのも事実です。

▲ディーゼルを積極的に日本に導入してきたメルセデス・ベンツ。イメージリーダーとしての牽引力にも期待できそうです。今回の検査は国内でディーゼル車を販売する9社が対象 ▲ディーゼルを積極的に日本に導入してきたメルセデス・ベンツ。イメージリーダーとしての牽引力にも期待できそうです。今回の検査は国内でディーゼル車を販売する9社が対象

まとめ

東京モーターショーでは自動運転車関連のトピックスが目立ちますが、マツダのコンセプトカー「RX-VISION」など夢のある存在も関心を集めています。車が寝ている間に目的地に着いてくれたらどんなにラクだろう……と思うと同時に、自分でステアリングを握ってドライブする楽しさも捨て難いですね。自動運転車が普及しても、両車が共存できる車社会であることを切に願っています。