スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

おかしくて切ない彼らの物語に飛び入り参加せよ

アヒルと鴨のコインロッカー|映画の名車
(C) 2006『アヒルと鴨のコインロッカー』製作委員会
前回紹介した『陽気なギャングが地球を回す』の原作者でもある伊坂幸太郎が、第25回吉川英治文学新人賞を受賞した青春ミステリー。『チーム・バチスタの栄光』(全国東宝系公開中)の中村義洋監督が昨年映画化して話題をさらった。恵比寿ガーデンシネマでは邦画史上最長ロングラン記録となる19週を達成した。

なによりキャスティングが素晴らしい。“とある縛り”があるぶん抑えめな演技を要求された瑛太が、これまでにない滋味を出しているし、濱田岳の演技はトボけているのに、とんでもなくスリリング。このタッグが決まった時点で成功は約束されたと言ってもいい。小生意気なヒロイン関めぐみも、ペットショップの店長・麗子を演じた大塚寧々も、重要な役どころで登場する松田龍平も、これまでのキャリアの中で一番といえるハマリ役だ。

果たして河崎は赤いハイラックスサーフの助手席に椎名を乗せて閉店後の本屋を襲撃。まんまと目当てのブツを手に入れるのだが、その後も河崎は真っ直ぐには帰らずに夜な夜などこかへ乗り出し、明け方に帰宅する。そんな彼を不審に思った椎名は、麗子のキューブで河崎の後をつけると…。物語のキーポイントとなるこの尾行劇から目を離すことなかれ。築き上げてきたユーモアが一転して切なさに変換される妙に、ゾクリとさせられること必至だ。

アヒルと鴨のコインロッカー|映画の名車
C) 2006『アヒルと鴨のコインロッカー』製作委員会
DVD「アヒルと鴨のコインロッカー」好評発売中! 06年・日本 監督=中村義洋 出演=濱田岳 、瑛太、関めぐみ、田村圭生/関暁夫(ハローバイバイ)、キムラ緑子、なぎら健壱、松田龍平、大塚寧々ほか 販売元:アミューズソフトエンタテインメント 4,935円(税込)

+++映画に登場する車たち+++

トヨタ ハイラックスサーフ(N180系)

アヒルと鴨のコインロッカー トヨタ ハイラックスサーフ(N180系)|映画の名車
物語の要所で登場する河崎(瑛太)の愛車はトヨタ ハイラックスサーフ。初代は1983年より4Runnerの名で米国にて販売され、1984年からは日本国内でも販売を開始。SUVという言葉が浸透する以前から、多用途レジャー対応のワゴン車として親しまれてきた。河崎が駆るのは1995年発売の3代目。悪路をものともしないサーフを使って、河崎が何を企んでいたのかは…観てのお楽しみだ。

日産 キューブ

アヒルと鴨のコインロッカー 日産 キューブ|映画の名車
ぶっきら棒な口調で、いつも怒っているように見えるペットショップの店長・麗子(大塚寧々)が乗るのは日産キューブ。マーチをベースにした“コンパクトでハイトなワゴン”として1997年に発表。若者を中心にスマッシュヒットを飛ばした。麗子の愛車は2002年秋にモデルチェンジを果たした2代目(前期型)。文字通りキューブ状の外見をもつユニークなクルマであり、室内は広々とした作りになっている。
Text/伊熊恒介