▲お店のご厚意でカスタムカーの製作現場にお邪魔。写真はオールペンの準備に入った210系ハイラックスサーフ ▲お店のご厚意でカスタムカーの製作現場にお邪魔。写真はオールペンの準備に入った210系ハイラックスサーフ

同じ車でも色が違うと表情が変わる。街で見ない色ならなおさら!

1990年のデビュー以来、日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパー。中古車マニアでもあるMC、Boseが『カーセンサーnet』を見て触手が動いたDEEPでUNDERGROUNDな中古車を実際にお店まで見に行きます!

今回はオートモーティブジャパンにお邪魔した記事(関連リンク参照)の後編です。

編集部:前回、オートモーティブジャパンさんは人気モデルにオールペンと軽いカスタムを施し、車の新たな魅力を引き出すショップだということがわかりましたね。

Bose:今回お邪魔して、あらためて車の色って大事だなって思ったよ。色一つで雰囲気がガラッと変わるからね。もちろん誰だって好きな色の車に乗りたいけれど、黒やパール系は人気があるから人と同じものに乗りたくないという人はちゅうちょする部分もあると思う。街でめったにすれ違わない色で、しかもそれがカッコいい色だったら言うことないよね!

オートモーティブジャパン 米倉さん:僕らの思いを代弁してもらえて嬉しいです。

編集部:米倉さんはオートモーティブジャパンをオープンさせる前から近所で板金塗装工場を営み、お店に並んでいる車もそちらで仕上げているということで、今回は工場の方も見せてもらえることになりました!

Bose:ワクワクするなあ。ちょうど自分の車のモールを塗りたいと思っていたから、いろいろ見せてもらいつつコネも作っておきたいしね(笑)。

米倉さん:(笑)。ではちょっと準備しますから、その間、店頭の車を見ていてください。

Bose:そうだね。前回はベージュのハイエースバンを紹介したけれど、他の車もみんなに見てもらおう。

ベージュだけじゃなかったカスタムラインナップ

Bose:ベージュはもちろん、黒や青、緑など、個性的な色展開がおもしろい。展示場やカーセンサーnetの在庫一覧に統一感があるから、お店に行くのが楽しくなるよ!

スズキ ジムニー(現行型)

▲オートモーティブジャパンがオープンしたのは3年前。最初はブラックボディにブラックバンパーのカスタムからスタートしたんだって。ジムニーのカスタムは現在でもお店の定番。年配の方だと先代のJA22を探しに来ることもあるそう。ジムニーは僕も本気で欲しいと思っているから気になるね ▲オートモーティブジャパンがオープンしたのは3年前。最初はブラックボディにブラックバンパーのカスタムからスタートしたんだって。ジムニーのカスタムは現在でもお店の定番。年配の方だと先代のJA22を探しに来ることもあるそう。ジムニーは僕も本気で欲しいと思っているから気になるね


日産 エクストレイル(初代)

▲僕が最初にカーセンサーで見つけた2代目CR-Vやこの初代エクストレイルのように、2000年くらいにデビューした「ヤングタイマー、ネオクラシックと呼ぶにはちょっとまだ早い」あたりの車はオートモーティブジャパンが推しているベージュがすごくハマるんだ ▲僕が最初にカーセンサーで見つけたホンダの2代目CR-Vやこの初代エクストレイルのように、2000年くらいにデビューした「ヤングタイマー、ネオクラシックと呼ぶにはちょっとまだ早い」あたりの車はオートモーティブジャパンが推しているベージュがすごくハマるんだ


日産 エクストレイル(2代目)

▲この2代目エクストレイルの色はFJクルーザーのブルーだって。初代で適度に枯れた感じを味わうか、2代目で今っぽい雰囲気を楽しむか。ここは好みが分かれるところだろうね。僕は初代+ベージュの雰囲気が好きだけれど、こっちも悪くないと思う ▲この2代目エクストレイルの色はFJクルーザーのブルーだって。初代で適度に枯れた感じを味わうか、2代目で今っぽい雰囲気を楽しむか。ここは好みが分かれるところだろうね。僕は初代+ベージュの雰囲気が好きだけれど、こっちも悪くないと思う


日産 ジューク(現行型)

▲てっきりベージュはチョイ古なモデルに施すという方針かと思っていたんだけど、2010年に登場したジュークもあったのはちょっと意外だったな。アウトドアという雰囲気とは違うけれど、これもおもしろい選択だよね。逆に言えば「これに乗りたい! でも人と同じ色は嫌だ」というのがあるならこういうお店にどんどん相談してみるといいんじゃないかな ▲てっきりベージュはチョイ古なモデルに施すという方針かと思っていたんだけど、2010年に登場したジュークもあったのはちょっと意外だったな。アウトドアという雰囲気とは違うけれど、これもおもしろい選択だよね。逆に言えば「これに乗りたい! でも人と同じ色は嫌だ」というのがあるならこういうお店にどんどん相談してみるといいんじゃないかな

工場には作業を待つ車たちがたくさん!

米倉さん:Boseさんお待たせしました。工場はここから車で5分くらいなので向かいましょう。

Bose:じゃあ僕の車で行きますか。こういうカスタムカーを作っているということはオートサロンなどのショーにも出すことはあるんですか?

米倉さん:他社さんがオートサロンに出品する車を仕上げたことはありますが、僕らの車を出したことはないんですよ。

Bose:出品すると注目が集まりそうだけれどな。人と違う車が好きな人が集まるイベントだから、当然色にも注目しているだろうし。あと、色にこだわる人ってきっと車以外の持ち物や自分の家にもこだわっているだろうから、例えば車と同じ色の自転車とか、ガレージや家の外壁を車と同じ色にできるサービスがあったらおもしろいだろうね。

米倉さん:おもしろそうですね。今はそういう事業を手掛ける予定はありませんが、色という切り口でいろいろなことを想像してもらえるのは嬉しいです。さあ、着きましたよ。

Bose:お店のお洒落な雰囲気とは全然違うこの作業場感。いいなあ。

▲オールペン前にすべての外装パーツが外された2代目CR-V。外すことを考慮されていないパーツをキレイに剥がし、また組み上げるのにもテクニックが必要 ▲オールペン前にすべての外装パーツが外された2代目CR-V。外すことを考慮されていないパーツをキレイに剥がし、また組み上げるのにもテクニックが必要


米倉さん:あそこにある赤い車が2代目のCR-Vです。

Bose:確かにクオーターガラスがCR-Vの形をしているけれど、車に詳しくない人はまったく車種がわからないよ(笑)。本当に剥がせるものは全部外して塗装していくんだ。

米倉さん:そうですね。仕上げをキレイにするためには欠かせない作業です。

▲塗る色によっても変わりますが、黒だと、ベースの色を3層、その上にクリア塗装を2層施すそう ▲塗る色によっても変わりますが、黒だと、ベースの色を3層、その上にクリア塗装を2層施すそう


Bose:大量生産の新車はラインでロボットが組みあげる工程が多いけれど、こういう小さな工場では扱うものが一つずつ違うからすべて手作業。しかも車は内外装のパーツを剥がすことを想定して作られていないから、これを剥がして色を塗って、また元に戻すっていうのはすごい作業だよね。

米倉さん:あそこで行っているのは“足付け”という工程で、塗装面から塗装がはがれにくくするように加工しています。

Bose:僕はプラモやラジコンが好きで自分でも作ったりしていたから色塗りの大変さは多少なりともわかるつもり。玩具でも難しいのだから、実車となると熟練した技術が必要になるよね。

▲表面をわざと少しざらつかせ、塗装が載りやすいようにする“足付け”という工程 ▲表面をわざと少しざらつかせ、塗装が載りやすいようにする“足付け”という工程

色塗りはね、死ぬまで勉強だよ

Bose:お店で販売する車以外にお客さんの車を預かって補修する仕事もやっているんですね。

米倉さん:一般的な板金塗装ですね。はい。今でも手掛けています。

Bose:ちょうどベテランの職人さんがお客さんの車の色を塗っているから話を聞いてみよう。塗装の仕事って一人前になるにはどのくらいの時間がかかるものなんですか?

職人さん:色塗りの仕事はね、死ぬまで勉強ですよ。色自体は品番があるからすぐにわかるけど、走っているうちに日焼けなどで微妙に色が変わってくるから、品番の色をそのまま塗っても同じ色にならないんです。

Bose:たしかに車を擦っちゃったときにカー用品店で同じ色を買ってきて塗っても、明らかに自分で塗ったとわかっちゃうもんね。

職人さん:色の変わり方は車の部位によっても変わってきます。だから私たちはその車の“今の色”に合わせて塗っていくんです。色合わせには頂上がない。どこまでも上に上がっていけるからね。とりあえず一人前というところにたどり着くまででも最低10年はやらないと。

Bose:料理の世界でも“焼きで10年”と言ったりするけれど、極めるためには本当にいろいろなことを経験しないとダメなんだろうな。作業を脇で見せてもらっていましたが、シルバーの車なのに少し茶色を混ぜていましたもんね。しかも目分量で。ボディを見れば、どの色をどのくらい混ぜてっていうのはわかるものですか?

職人さん:だいたいわかりますよ。色合わせにはレシピなんてないから経験が頼りです。

▲車の色は使い方によって同じ色でも微妙に変わってきます。それを見極め、同じ色を生み出すのが熟練職人の腕の見せどころ ▲車の色は使い方によって同じ色でも微妙に変わってきます。それを見極め、同じ色を生み出すのが熟練職人の腕の見せどころ


Bose:こういう人たちがカスタムカーの色塗りもやってくれているんだもんね。仕上がりがいいはずだよ。ちなみにオリジナルのカスタムカーを1台仕上げるのにどのくらいの時間がかかるんですか?

米倉さん:部品が普通に入ってきて塗装も順調に進めばだいたい2週間くらいですね。でも一度に作業できる台数は限られているので、どうしてもお待ちいただくケースが増えてしまいます。

Bose:あそこにあるグリーンの車、ホンダのクロスロードじゃん! クロスロードは新車で出たときはそこまで注目されなかったけれど、最近いい感じになってきているんだよね。このグリーン、かなり似合うよ!

▲感度の高い人たちからの注目度が上がっているホンダ 2代目クロスロードもカスタムの対象に。このグリーンはFJクルーザーのアーミーグリーン ▲感度の高い人たちからの注目度が上がっているホンダ 2代目クロスロードもカスタムの対象に。このグリーンはFJクルーザーのアーミーグリーン


米倉さん:ありがとうございます。クロスロードは最近やりはじめたんですが、かなり反響をいただいています。

Bose:世の中には新しい車がどんどん出てくるけれど、お店としてはこれからもちょっと前の車を素材にしていくつもり?

米倉さん:お客さんから希望があればどんな車でも手掛けることができますが、コンプリートカーとして店頭に並べるのはちょっと前の車で行くつもりです。新しいものは扱うショップがたくさんありますし、もっと言えば僕らがやらなくてもメーカーさんに任せればいいと思うんです。あとは僕自身が新しいものにあまり興味がなくてどんどん古い方に走っちゃうんですよ。スタッフからは保証のことも考えると高年式車がいいんじゃないかとも言われますが(笑)、やっぱり好きな車を扱っていきたいですから。

Bose:好きだからこそ細部にまでこだわることができるし、そのこだわりがお客さんの心を動かすのだから絶対に好きな道を進むべきでしょう。色が変われば車の雰囲気もガラッと変わる。その奥深さと楽しさをあらためて感じることができたな。ありがとうございました!

▲お話を伺った米倉史朗さん(写真左)と工場を任されている弟の米倉隆史さん(写真右)。彼らのセンスでお洒落なカスタムカーが仕上がっていきます ▲お話を伺った米倉史朗さん(写真左)と工場を任されている弟の米倉隆史さん(写真右)。彼らのセンスでお洒落なカスタムカーが仕上がっていきます


スチャダラパー夏フェス出演情報!!!

今年も夏フェスの季節がやってきた!
スチャダラパーも各地のフェスへの出演が決定! この他にも続々出演が決まるはずなので、フェス好き、SDP好きはスチャダラパー公式HPを要チェック!

「頂 -ITADAKI- 2017」
PLACE:吉田公園(静岡県)
DATE:2017年6月3日(土)~6月4日(日)
※スチャダラパーは6月4日に出演

「AIMING HIGH HAKUBA」
PLACE:白馬スキージャンプ競技場(長野県)
DATE:2017年7月1日(土)

text/高橋 満(BRIDGEMAN)
photo/篠原晃一