日常で楽しみながら骨董品になるまで味わう醍醐味がある

思い起こせば、昔の車には個性がたっぷり詰まっていたものです。それは今ほどグローバルに車が取引されておらず、販売地域の特性が十二分に加味されていたからかもしれません。今は世界で販売することを念頭に開発されていますから、国籍問わず万人に受け入れられることが重要なのかもしれません。そういう意味でも中古車はやっぱり楽しいものです。気になる車は中古車カタログや物件をチェックしてみてください。アシとして活躍してくれるでしょうし、骨董品として愛せる車が見つかるかもしれません。

第5位はキャデラックコンコース(絶版)。威風堂々としたスタイリング、どんな場面でもしなやかな足回り、低回転域からのトルクフルなエンジンなど、どれを取っても古き良き時代のアメリカンラグジュアリィです。もうこんな車、二度と新車市場に出回ることはないでしょう。というのも“グローバル化”の名のもとに、こういったテイストは絶滅の一方だからです。大げさに言えば、アメ車における歴史の遺産としての価値でオススメしています。乗ったら、意外なほど“和み系”です。

第4位はM・ベンツ190クラス(旧型)。M・ベンツが初めてコンパクトセダンに取り組んだ、歴史的な一台です。当時のSクラスをそのまま凝縮したような雰囲気で、走りも安全性もSクラスに勝らずとも劣らないレベルでした。昭和後半のバブル期には“六本木のカローラ”なんて言われていましたが、今乗ってもレベルの高さを感じさせてくれます。同時期のEクラス(W124型)はすでにコレクターズアイテムと化していますが、190シリーズも同様に愛されていくのではないでしょうか。

第3位はアウディA8(旧型)。ホンダNSXに触発されたのか当時の量産セダンとしては初めて、オールアルミボディを採用してきました。軽量で強いというアルミの特性を生かし、ライバルを凌駕する高ボディ剛性、好燃費を誇っていました。日本ではアウディのブランド力が足りない頃のモデルだったので、販売台数は少ないです。A8およびスポーティモデルのS8いずれもオススメですし、「量産車初のオールアルミボディ」ということで保存しておきたい車です。軽快感はピカイチです。

第2位はいすゞジェミニ(絶版)。いすゞといえばトラックやバスといった商用車メーカーへと変身を遂げた自動車メーカーです。しかし、ちょっと前までは乗用車も作っていました。そして、このジェミニは一世を風靡したと言っても過言ではありません。CGがほとんどなかった当時のTVコマーシャルでは、ジェミニによる“曲芸”が見る人すべてにインパクトを与えました。いすゞの歴史を語るうえで欠かせないジェミニ。そんなアンティーク的な価値をも見出せるレアな国産車です。

第1位はトヨタセルシオ(絶版)。経済面で“ジャパン・アズ・ナンバー1”と評された時代に、世界の高級車市場を震撼させた歴史的な一台です。商品としても、メイド・イン・ジャパンの素晴らしさを世界に知らしめたことでしょう。当時のカタログを見ると、ライバルはM・ベンツEクラスやBMW5シリーズだったようですが、世界のフラッグシップと比較されたものです。抜群の静粛性、滑らかな走り、そして好燃費の実現と文句のつけどころはほぼ皆無。乗り続ければ貴重な一台となります。

フォトコレクション

写真:第5位:キャデラックコンコース(絶版)|なんでもベスト10

第5位:キャデラックコンコース(絶版)

写真:第4位:M・ベンツ190クラス(旧型)|なんでもベスト10

第4位:M・ベンツ190クラス(旧型)

写真:第3位:アウディA8(旧型)|なんでもベスト10

第3位:アウディA8(旧型)

写真:第2位:いすゞジェミニ(絶版)|なんでもベスト10

第2位:いすゞジェミニ(絶版)

写真:第1位:トヨタセルシオ(絶版)|なんでもベスト10

第1位:トヨタセルシオ(絶版)

Report / 古賀 貴司