THE!対決

PART5 多人数乗車対決

Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之
トヨタ ヴォクシー
ホンダ ステップワゴン

乗り心地は快適だが
細かい振動までは抑え切れなかったヴォクシー

パパが通勤に使ったり、ママが平日の日中にお買い物や文化的活動に使ったり……ミニバンはいろんなシチェーションで使われることが多い。

けれどこのタイプを選ぶ最大の理由は、多人数が乗れて、荷物を積むのにも便利だからだろう。

そこでこの企画では、ちゃんと多人数乗車をチェックする項目も設けてある。そのために人数分のスタッフに集まってもらう必要はあるが、有意義な試乗ができた。そしてその結果は?

まずヴォクシーとステップワゴンの両方に共通するのは、乗車人数が増えて荷重がかかっても、走りの性能が明らかに落ちた印象がないこと。当たり前のことのようだが、かつての1ボックスなどを知っているドライバーなら、人を乗せた途端に性能がガクン!と下がった経験をお持ちだったりするだろうから、変わらないことに「ほぉ!」と思っていただけるだろう。エンジン性能も無論変わらないし、サスペンション性能が急激に落ち込んで感じたり、コーナーで不安になったりしないのは評価していい。

とはいえ、快適性には差があるのも事実。“変わらず”のキーワードから察していただけるように、乗り心地自体で快適なのはヴォクシーのほうだ。サスペンションがしっとりと重厚な乗り味を提供してくれるからだ。タイヤが路面の凹凸をゆったりといなしてくれるので、揺れも穏やかで快適だ。ただし現行型は先代に対しボディの補強を各部に行なったはずだが、フロア振動のみ消しきれなかった様子。3列目同乗者のコメントでも「細かい振動を感じる、タイヤの上に乗っている(=ロードノイズが直接伝わっている)感じ」とあった。また2列目では「観光バスの補助席のよう」と、やや平板なシート形状に対する指摘があった。

後部座席の揺れが大きめなステップワゴン

対してステップワゴンは、運転席から室内ミラーで見ていても、乗員の頭が左右に揺さぶられているのがわかった。

サスペンションのストロークが規制され、揺れがボディへ正直に伝わる結果だ。高速、平坦路では平気だが、路面が荒れていると、ドライバーとしても同乗者にやや“同情”。ただしヴォクシーほど振動は感じないようで「細かな振動はシートが吸収してくれる感じ」とのコメントも。

全高は抑え目ながら、フロアを低くするなどの努力でスペースを稼ぎ出しているため「3列目の足元はヴォクシーより広くコブシ1個分の余裕がある」とのコメントも。

エンジン音は、ドライバーには快音に聞こえているのだが、後席の乗員に は「大きくて耳障り」との評価も。おそらく走行ノイズが混ざって、音質が変わって気になって感じたのだろう。

今回のまとめ
ミニバンの3列目は本来“荷室”にあたる部分にシートをつけている。そのため前2列に比べたらどうしても乗り心地は悪くなってしまうもの。そんな中、両車とも少しでも快適になるよう工夫されていたのは好印象。また乗員が増えて重くなった状態でも運転者に対するストレスは少なかった。フル乗車テストの結果は両車互角!
今回のテスト車両

■トヨタ
ヴォクシー
・テスト車両
2.0ZS(2WD)
245.7万円
・駆動方式
FF
・トランスミッション
CVT
・全長×全幅×全高(mm)
4640×1720×1850
・ホイールベース(mm)
2825
・車両重量(kg)
1590
・最小回転半径(m)
5.5
・乗車定員(人)
8
・エンジン種類
直4DOHC
・総排気量(cc)
1986
・最高出力
[kW(ps)rpm]
116(158)/6200
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
196(20.0)/4400
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
60L
・10・15モード燃費
(km/L)
14.2
・タイヤサイズ
205/60R16


■ホンダ
ステップワゴン
・テスト車両
2.0GLSパッケージ(2WD)
242.55万円
・駆動方式
FF
・トランスミッション
4AT
・全長×全幅×全高
(mm)
4630×1695×1770
・ホイールベース(mm)
2855
・車両重量(kg)
1530
・最小回転半径(m)
5.3
・乗車定員(人)
8
・エンジン種類
直4DOHC
・総排気量(cc)
1998
・最高出力
[kW(ps)rpm]
114(155)/6000
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
188(19.2)/4500
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
57L
・10・15モード燃費
(km/L)
12.2
・タイヤサイズ
205/65R15