極上の乗り味とは
単にソフトライドなわけではない

「車酔いしやすい娘でも乗れる車はあるんでしょうか?」そんな質問を読者の方からいただきました。その声を取り入れて今回ピックアップしてみたのが、予算の上限が300万円で狙える乗り心地の快適な車です。路面の状況を伝えないほどのフラットライドに酔う人もいれば、純粋に車の動きを感じさせる乗り味に酔う人もいます。ですからオススメする車は難しいのですが、一応両方のケースを想定しながらピックアップしてみました。気になる車は中古車カタログや物件をチェックしてみてください。


第10位は トヨタセルシオ(絶版)。かつての最高級モデルだけに絶版となった今でも、NVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)対策はトップレベルと言えます。エアサスはどこまでもフラットライドを追求した節があり、あまりに不自然な乗り味と感じる人もいるかもしれません。後期型は不思議と古さを感じさせませんし、できればバネサス(エアサスではない)モデル、特にeR仕様をオススメします。実用性の高い中で、高級感も現役ですから。


第9位はフォルクスワーゲントゥアレグ(旧型)。立体駐車場にはキツいかもしれませんが、実はファミリーカーとしてオールラウンドに使えるのがSUVなんです。なかでもトゥアレグは相当な実力派。さすがポルシェカイエン、アウディQ7と兄弟車なだけあります。ボディロールや路面の凹凸をむやみやたらに排除するのではなく、絶妙なバランスを乗っている人間に感じさせます。エアサスも不必要にソフトライドを追求しているわけではありません。その加減がとても心地良いんです。


第8位はトヨタアルファード(現行)。最近、会社経営者や政治家などが愛用しているだけのことはあります。「走る応接間」としての実力は唯一無二、とさえ言えるかもしれません。基本的な乗り心地はソフトではありますが、キチンと路面の状況を伝える“余地”が残されています。おそらくスポーティな走りにしたかったゆえに、徹底したソフトライドの追求はなされなかったのでしょう。車内は広いですし、使い勝手の良さは日本人の細やかさを感じさせます。


第7位はBMW 7シリーズ(旧型)。前期型は破格で流通していますが、予算が許すのであれば後期型をオススメします。理由は現行型に似たルックスです(笑)。要は古臭さが漂っていないんです。BMWのフラッグシップモデルとあって、リムジンのような快適性を与えながらも、ブランドのアイデンティティであるスポーティな走りを見事に両立させています。フルサイズセダンですが、いざ走らせてみるとドライバーとの一体感から大きさを意識させません。


第6位はメルセデス・ベンツCLクラス(旧型)。新車時はそうそうたる富裕層が購入するCLも、中古車ともなればリーズナブルなコストパフォーマーです。この頃のSクラス、CLクラスともに前期型はソフトライド、後期型はグッとハードライドへと変わっています。まぁ「ハード」と言ってもガチガチなわけではなく、スポーティさを与えながらもラグジュアリーなんです。クーペなのにフルサイズセダン並みの大きさがありますから、実用性もまったく問題がありません!

Report / 古賀 貴司