原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年5月28日に発見したのは「フォード クラウンビクトリア」です。ハリウッド映画やアメリカのTVドラマのおかげですっかりお馴染みな存在で、アメリカにおいてタクシーや警察車両として大活躍。しかも、ご紹介する車両は警察車両として販売された「ポリス・インターセプター」です。アメリカでは、現役を退いた警察車両は、無線やコンピューターといった機材を取り外し民間へ払い下げられるんです。

日本でもトヨタ クラウンや日産 セドリックを覆面パトカー仕様にして楽しむドライバーが存在しますが、これはスーパーマンのユニフォームをまとうようなものでしょうね。車での差別化の方法は十人十色でしょうけど、コスプレ感覚で遊ぶのも楽しいと思います。しかもポリス・インターセプターは仕様ではなく、れっきとした元警察車両です。

クラウンビクトリアが警察車両として重宝される理由は、「頑丈なラダーフレームを採用したFR車だから」だといわれています。その利点は、板金塗装のしやすさ、カーチェイスにおけるハンドリングの良さ、などなど。しかし、個人的には「フルサイズセダン(全長5385㎜、全幅1986㎜、ホイールベース2913㎜)で、4.6L V8エンジンをとどろかせるのが気持ち良いからではないか!」と邪推しています(笑)。そんなクラウンビクトリアも「環境性能」という時代の流れには逆らえず生産が終了。それとともに、アメリカの警察車両からも徐々に姿を消していくことでしょう。

ポリス・インターセプターと普通のクラウンビクトリアの違いは、ドライブシャフトの素材や、エンジンの圧縮比、サスペンションのセッティングなど。メーターパネルの速度が140マイル(約約225km/h)まで刻まれていることもポリス・インターセプターの特徴です。

グローバル戦略が進むなか、車の個性がどんどん減っているように感じる昨今。ボディサイズは名だたる高級車に勝る威風堂々ぶりな上、そこそこに速くてタフなアメリカン・マッスル(カナダ産ですが……)を感じさせてくれます。207.9万円は決して安い金額ではありませんが、仕様ではない“本物”の元パトカーに乗れる上、差別化できるならプライスレスかつリーズナブルだと思いますよ。

Text/古賀貴司(自動車王国)

フォード クラウンビクトリア

フォード クラウンビクトリア

本体価格(税込)207.9万円
支払総額(税込)---万円
走行距離13.2万km
年式2007(H19)年式
車検2015(H27)年2月
整備別(8万5000円)
保証付(6ヵ月/5000㎞)
地域東京