▲デビューから17年が経過しても、やっぱり911としての魅力は健在! そのうえ、歴代911で最も身近な存在と言えるかもしれません ▲デビューから17年が経過しても、やっぱり911としての魅力は健在! そのうえ、歴代911で最も身近な存在と言えるかもしれません

不遇な相場になるかつての高級車はおいしい!

最近、一部の中古車相場に異変が起きています。特にネオクラシックカー(だいたい新車時登録から25年以上)は「投資商品かよ!」と突っ込みたくなるほど値上がりしているんです。この15年ほど、クラシックカーの相場は右肩上がりでしたが、いよいよネオクラシックカーの分野にも相場上昇の気配があります。

中でも、空冷エンジンを搭載したポルシェ 911の中古車相場は“熱々”です。まぁ、空冷エンジンの搭載が打ち切られてから徐々に空冷モデルの価値は上がってきていましたが、ここ最近の値上がりぶりはただただ「凄い」の一言に尽きます。

およそ5年前、996型(旧々型)は一部の低走行な993型(旧々々型)と同等(300万円ちょっと)、もしくは若干高めの値付けがされていました。993型は空冷エンジン搭載の最終モデルとあって、ご祝儀的な要素があったことは認識していました。しかし、最近は低走行の964型(旧々々々型)もバッチリ値上がりしています。

その点、996型は値落ちスピードこそ緩やかになりましたが、今ならカーセンサーnetでも車両価格100万円台後半の物件を見つけられます(2015年7月1日現在)。997型(旧型)の中古車相場がここ5年ほど400万円半ば~と目立った変動が見られないことを踏まえると、996型のコストパフォーマーぶりがよくわかります。

デビューから17年が経過しても、スポーツカーとしてなお現役!?

このように最近のポルシェ911相場動向からも、996型のお買い得ぶりは注目すべきだと思います。カーセンサーnet掲載物件の平均車両価格は335万円ですが、ボリュームゾーンは230万円~360万円。とはいえ、掲載台数が170台とそこそこあるので、お手頃な中古車も探すことができます。

もちろん実力は折り紙つき。デビューから17年が経過していますがスポーツカーらしさは健在で、運転する楽しさがあります。モデルによっては0→100km/h加速が4秒台ですし、今なお“俊足”の部類に入ります。ブレーキはガッツリ効きますし、ちょっと重めのパワーステアリングからは路面の情報がしっかり手に伝わってきます。

100万円台後半~という予算でこれほどの走りっぷりを味わえる車は、なかなか存在しません。そして、往年のスポーツカーにおける代名詞的存在「ポルシェ 911」であることも気分を高揚させてくれるでしょう。996型にはどんな世代が乗っても似合いますし、スポーツカーながら日常の足として活躍してくれます。

▲定員こそ4名ですが、リアシートに大人が座るのは厳しいでしょう。しかし子供用、もしくは荷室として割り切れば使い勝手も悪くありません ▲定員こそ4名ですが、リアシートに大人が座るのは厳しいでしょう。しかし子供用、もしくは荷室として割り切れば使い勝手も悪くありません
▲リアシートは折り畳み式で荷室スペースになりますし、トランクも2名分のちょっとした旅行程度なら十分対応できます ▲リアシートは折り畳み式で荷室スペースになりますし、トランクも2名分のちょっとした旅行程度なら十分対応できます
▲997型や現行911と比べると高級感こそありませんが、インパネまわりは必要なモノが必要な場所にあるシンプルなデザインです ▲997型や現行911と比べると高級感こそありませんが、インパネまわりは必要なモノが必要な場所にあるシンプルなデザインです

これ以上の中古車相場の下落は見込めないかも

いわゆる高級スポーツカーながら、996型は現実的に手が届きやすい価格帯で推移しています。だいぶ古くなってきましたが、今でも素敵な選択肢だと思います。空冷エンジン搭載911の中古車価格が上昇傾向にある中、水冷911の相場は「996<997<現行モデル」という相場的ヒエラルキーが形成されています。

空冷911の中古車相場は水冷911の相場引き上げに貢献しますし、水冷911の“下”にはボクスター相場による下支えがあります。そういう観点から、996型のこれ以上の値下がりは見込みにくい状況にもあります。中古車相場的なおいしさ、純粋に足にできるスポーツカーとしてのおいしさ、両方を加味した素晴らしい選択肢である996型。ぜひチェックしてみてください。

text/古賀貴司(自動車王国)