▲ノスタルジックな雰囲気のプジョー 205カブリオレ。カジュアルに乗りこなすとカッコいいと思います ▲ノスタルジックな雰囲気のプジョー 205カブリオレ。カジュアルに乗りこなすとカッコいいと思います

サラッと乗りこなしたいネオクラシックな4人乗りオープンカー

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2015年7月7日に発見したのは「プジョー 205カブリオレ」です。その名のとおり、205がベースのオープンモデルです。205カブリオレの設計やトップの組み付けをピニンファリーナが手掛けたことで有名です。

205の登場は1983年のこと。前身にあたる104は1972年のデビューでしたから、プジョーとしては実に11年ぶりの新型コンパクトカーでした。とはいえ、この頃のプジョーは面白いもので“フルモデルチェンジ”と謳うことなく徐々に販売グレードを減らすという手法を採っていたため、104は1988年まで205と併売されていました。

「コンパクトカーは利幅が薄い」とは自動車メーカーの関係者がよく語ることですが、そんな懐事情を物語るかのように205には豊富なバリエーションが設定されていました。製造期間が1983年~1998年と長かったこともあって計30グレードを展開し、中には普通のコンパクトカーに見えるのに最高出力200psを誇るWRCのホモロゲーションモデルもラインナップされていました。

一般論ではありますが、様々なグレードを用意することで1台あたりの平均単価を上げ、結果的には利幅を増やそうという戦略だったのでしょう。もちろん、どんな車にも言えることですが、例え薄利でも多売すれば良いわけです。そんな“セオリー”を裏付けるかのようにフランス以外にスペイン、イギリス、インドネシア、台湾、イランなど世界各地で生産(現地法人/現地パートナーによるノックダウン生産含む)されました。

それまで保守的な中型セダンばかりが目立つプジョーでしたが、世界的に205は大ヒット。日本でも「プジョー」の名を一躍有名にしたのは205だと言っても言い過ぎではないでしょう。

最安グレードでも、ハッチバックが179万円(1992年2月~1994年12月生産)、カブリオレが301万円(1989年10月~1992年1月生産)とコンパクトカーとしては決して安くありませんでしたが、個性派を好む自動車好きには恰好のチョイスだったようです。

205カブリオレは1.9Lの4気筒エンジンを積んだオープンカーで、同時期のハイソブームにおける代名詞的存在、トヨタ ソアラとほぼ同じ価格だったんです。

▲直線を基調とした中にふっくらと丸みを帯びさせるデザインの妙味が随所に光ります。トランクも十分に広いです ▲直線を基調とした中にふっくらと丸みを帯びさせるデザインの妙味が随所に光ります。トランクも十分に広いです
▲インパネまわりは、ベースである205と同様、実用車らしく機能的。奇抜さやギミックは一切ありません。また、赤いフロアカーペットは“粋”だと思います ▲インパネまわりは、ベースである205と同様、実用車らしく機能的。奇抜さやギミックは一切ありません。また、赤いフロアカーペットは“粋”だと思います
▲リアシートは狭いですが座る人の膝がフロントシートに当たりにくいように、背もたれ部分が“えぐれて”います ▲リアシートは狭いですが座る人の膝がフロントシートに当たりにくいように、背もたれ部分が“えぐれて”います

写真を見るかぎり、当該車両はもちろんヤレていますが約24年前に登録された車とは思えない状態です。フロントバンパーには傷があるようですが古い車ですし、目くじらを立てるようなことではないでしょう。コツコツ、綺麗にしていくのも「趣味グルマ」入門にはイイのではないでしょうか?

当該車両の最高出力はたった100psですし、ゆるーく、まったりと走ったほうがお似合いでしょう。直線基調の中に緩やかな曲線があしらわれていて、ノスタルジックな雰囲気ながらデザインの普遍性も感じさせます。ヴィンテージファッションを楽しむような感覚で乗ったらカッコいいでしょうねぇ。

■本体価格(税込):98.0万円 ■支払総額(税込):110.0万円
■走行距離:2.7万km ■年式:1991(H3)
■車検:2016(H28)年4月 ■整備:別(3万5640円) ■保証:無
■地域:神奈川

text/古賀貴司(自動車王国)