ヤクルトのリーグ優勝とルノー復活の微妙な近似
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2015/10/23
一見わかりにくいが、見れば=乗れば明白なその魅力
ご承知のとおり今年度のプロ野球セントラル・リーグのレギュラーシーズンは、東京ヤクルトスワローズの優勝で幕を閉じた。で、これは優勝が決まる前の話だが、いわゆるマジックナンバーがついに「1」となった試合の翌朝、スワローズファンである筆者は喜び勇んで朝のスポーツニュースを見た。前夜の劇的な試合の要点を、数々のしびれるプレーの一端を、あらためて確認したいと思ったからだ。
しかしテレビ局が放映したのは上田、川端両選手の派手なホームランシーンとヒーローインタビューの一部だけで、その他の「地味だけど重要なシーン」はすべてカットされていた。
それは違うだろう、と筆者は思った。
いやもちろん、テレビ番組というのは尺にかなりの制限があるものゆえ、派手でわかりやすいシーンに絞らざるを得ないことは理解している。しかし勝手なファン心理としては、「上田と川端のホームランは確かに重要だった。しかしそれと同時に、あの内野手の好フィールディングとか、あの打者の絶妙すぎる選球眼による四球出塁とか、そういった“ちょっとわかりにくいかもしれないけど地味な好プレーの連続”があって初めて、昨夜の試合はモノにできたのに……」と、どうしても思ってしまうのだ。
まぁ言っても詮ないことではあるのだが、そんなことをツラツラ思うと同時に筆者の脳裏に浮かんだのは「ルノー」についてだった。
ここ最近こそ現行メガーヌR.Sや現行ルーテシアなどの派手な「ホームラン」や「長打」を放っているルノーだが、それ以前は、カングーという唯一の看板選手以外はほとんどニュースにもならない地味な「球団」として不遇の時期を過ごしていた。まるで昨年までのヤクルトスワローズのように。
しかしその時期のルノーにも、冒頭の上田・川端両選手のホームランの影に隠れた地味な好プレーのような、渋い魅力は確かに存在していたのだ。ただ少々わかりにくいがために、話題にもヒットにもならなかっただけで。
例えばだが、諸事情により短命に終わった旧型のルーテシアR.Sは、現行R.Sのような派手なフォルムやドイツ車もかくやという近代的運動性能は持ちあわせていなかった。しかし、いかにもフランス車らしい優しい乗り味と強固なスポーツ性能の奇妙な同居は、他には代えがたい独自の強烈な個性であり、ある意味では現行R.S以上に魅力的であるともいえる。また同時期の「R.Sではないルーテシア」や旧型のメガーヌ、あるいは超短命に終わった異色オープンカーであるウインドなども、セールス的には「まったく売れなかった……」と評しても間違いではないと思うが、乗れば「うむ!」と膝を叩きたくなるステキな車ではあったのだ。
何がどうステキなのかということを具体的に言うならば、それは「奇妙な安定性」ということに尽きるのではないかと、個人的には思う。
大したハイテクメカを使っていたわけではなく、そしてどちらかといえば大衆ブランドであるため贅を尽くした部品類が奢られていたわけでもない。そしてフランス車の伝統のにのっとり、エンジンは大してパワフルではない。しかしいざ乗れば妙に速く(スピードが乗るまでに少々に時間がかかったりもするが)、それでいて車両の挙動は妙に安定している。タウンスピードで段差を越える際にも、高速道路の山岳セクションを高速巡航する際にも、である。
他メーカーのヒット作が、有名プロ野球選手のわかりやすく派手な2ランホームランや160km/h近い剛速球なのだとすれば、ちょっと前までのルノー車は(我が愛するヤクルト球団でたとえて言うところの)大引遊撃手の華麗なゴロさばきであり、雄平外野手の、普通ならニ塁打になるはずの当たりをシングルヒットで抑えてしまう見事な返球である。
ダイジェストのニュース番組では絶対に伝わらないし、テレビで試合を観ていてもボーっとしていたら見逃すかもしれない。端的に言って「わかりにくい」のだ。しかし注意深く試合を観ていれば、あるいはスタジアムで生観戦さえしてみれば――車でいえば実際に運転してみれば――誰にでもすぐわかる素晴らしい資質と魅力が、そこにはある。ルノー車の魅力とは、なんとなくそういったものなのだ。
ということで今回のわたくしからのオススメはずばり「ちょっと前のルノー車全般」だ。
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- Car:セニックRX-4&アヴァンタイム&ウインド&トゥインゴ 他
- Conditions:総額表示あり&修復歴なし
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