トヨタ パッソ / ダイハツ ブーン ▲Aセグメント車として、ダイハツが生産する小型車が、トヨタ パッソ/ダイハツ ブーンだ。予想イラストでは、全体的に後ろ下がりに見えるが、実はドアサッシを構成するルーフ側面だけが上がっている模様。そのドアサッシは外側に張り出しており、なんとも複雑な造形が検討されているようだ
トヨタ パッソ / ダイハツ ブーン▲次期ブーン/パッソのリアビュー。ミライースを連想させる縦型コンビランプの間には、バックウインドウと一体化されたハッチゲートが設けられ、コストを抑えた構造に仕立てられる可能性もある

トヨタの欧州専売車との兄弟化も検討

ダイハツは軽自動車を軸に据え、新興国市場を視野に入れて、コンパクトカーの開発にも力を注いでいる。

新型タントから始まったDNGA(ダイハツニューグローバルアーキテクチャー)を今後も活用して、トヨタグループの中で存在意義を発揮していくが、ブーンの世代交代が準備される中、アイゴとの統合が検討されていることをつかんだ。

親会社である、トヨタが検討している戦略のひとつとして、2005年からチェコで、PSAとの合弁会社である、TPCA(トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモービル)で欧州専売のAセグメント2BOX車を生産している。

トヨタ アイゴ、プジョー 108、シトロエン C1の3兄弟車として販売されており、現行モデルは2014年に発表された。

そのアイゴをブーン、パッソと統合、もしくは兄弟車にできないか? との検討をトヨタが進めていることがわかった。

どちらもAセグメントに属する車だから、一本化の可能性を探るのは当然かもしれない。

トヨタ パッソ / ダイハツ ブーン▲現行モデルは2016年にデビュー。顔違いの上質なシリーズもラインナップされて選択の幅が広がり、2018年に第3のマスクが加わった
トヨタ アイゴ▲PSAとの合弁会社、TPCAで2005年から組み立てられている、Aセグメントのコンパクトカーがトヨタ アイゴだ。プジョーとシトロエンの両ブランドでも販売されている

DNGAを活用して存在感を強める

前置きが長くなってしまったが、今回スクープ班がキャッチしたのは、次期ブーン、パッソの断片的な情報だ。

すでに公表されているように、ダイハツは新しい車づくりとして、DNGAを推し進めており、その第1弾として新型タントが2019年7月に発売された。

DNGAは、軽自動車に限らず、AおよびBセグメントにも適用できる前提で、一括企画されている。相似形のように軽自動車を拡大すれば、小型車にも使えるよう、あらかじめ設計されている。

DNGA最初の小型車は、次期ブーンか? と期待したくなるところだが、じつはもっと早く2019年11月に登場する。

その車がイグニスをライバル視したコンパクトクロスオーバーSUVであることは、2019年4月8日に報じたとおりだ。

ちなみにダイハツは、2025年にDNGA採用車を250万台生産し、半分はトヨタ向けが占める計画だ。


DNGAプラットフォーム▲基本骨格であるフレームの一部を曲線構造にすることで、衝突時のエネルギー分散と曲げ剛性アップを遂げたDNGAプラットフォーム。軽自動車用の他に、Aセグメント用とBセグメント用の準備も進んでいる

チームジャパンとしての存在感を発揮か

DNGA世代の新開発プラットフォームは、フレームを直線構造から一部曲線に変えることで、衝突エネルギーの分散や、曲げ剛性アップを実現。

当然、軽量化が図られて、燃費とハンドリング性能が改善されることも想像に難くない。

搭載エンジンは、引き続き1L直3が採用される見通しだ。また、CVTには新型タント同様、スプリットギアが採用されて、変速比をワイド化。高速域でのエンジン回転数上昇が回避される。

前述のアイゴ3兄弟車が生産されているTPCAについては、トヨタがPSAから全株式を取得して2021年1月に完全子会社化することが決まっている。

いまのところ、プジョー、シトロエン向けの生産は続けられる方針だが、次期モデルではPSAが手を引く可能性もゼロではない。

一方で、スズキが次期アイゴのOEM調達に関心を寄せているとの未確認情報をつかんだ。

同社はダイハツと同じく小型車づくりを得意としており、わざわざトヨタ陣営からコンパクトカーを調達する真意は理解しにくい。

しかし、欧州向けに限っていえば、イグニスの下に位置するエントリーモデルの刷新を自ら行うのは、費用対効果の面からメリットが少ないのかもしれない。

話をずいぶんと広げてしまったが、次期ブーンを糸口にトヨタ、ダイハツ、スズキが欧州で壮大なプロジェクトを展開して、チームジャパンとしての存在感を発揮するとの予想は、夢を見すぎだろうか。

※2019年9月13日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【諸元・スペック】
■予想発表時期:2021年以降
■全長×全幅×全高:3650×1670×1500(mm)
■搭載エンジン:1L 直3
 

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、ダイハツ自動車