テリー伊藤が、“武骨で硬派な”アルファ ロメオ アルファ155の魅力を語る
2020/10/29
アルファ155は鉄仮面?
~語り:テリー伊藤~
僕はアルファ155を不運なアルファ ロメオだと思っています。
段付きのジュリアなど1960年代から70年代のモデルが神格化され、2シーターのスパイダーもボートテールから1993年の最終型まで、今なお人気があります。
ところが1980年代から90年代中盤までのモデル、とくにスポーティさを強調したセダンはいまいち盛り上がらず、影の薄い存在になってしまいました。
乗ると楽しい車なのですが、ブランド自体がマニアックすぎる存在でした。
1997年にアルファ156がヒットするまでは、アルファ ロメオにとって冬の時代と言えるでしょう。
アルファ155は、ドイツツーリングカー選手権(DTM)で活躍したことから、V6モデルは日本でも一部の車好きから人気がありました。
でも、156のように広く一般の人からも受け入れられたモデルとは言えません。
アルファ155を見ると、僕はR30スカイラインの鉄仮面を思い出します。
鉄仮面が出たとき、僕や周りの人たちは「なんだこれは。まさに鉄仮面みたいでカッコ悪いな」と笑っていました。
でもデビューから30年近く経ってじっくり見てみると、この無骨なスタイルが逆に新鮮ですよね。
テリー伊藤ならこう乗る!
今回の取材でお店を訪れたとき、最初はアルファ155にはあまり興味が湧きませんでした。ところが、眺めているうちにだんだんと155の味に惹かれている自分に気づきました。
例えるなら。たまたま知り合った女の子に最初は興味がなかったのに、話してみたらすごく気があって、帰るときにはまた「会いたいね」と連絡先を聞いてしまうような感じです。
もし僕が今アルファ155に乗るなら、いじったりせず素の状態を楽しみたいです。
アルファ155らしいくさび形のデザインは当時流行したもので、1970年代までのアルファロメオとは全く異なります。この時代のアルファロメオは、“時代”と寝たわけです。
アルファ156以降は、オリジナリティ独自のプレミアムな雰囲気を確立。僕はブレラ時代のスパイダーとか、ものすごく好きですから。
ある意味で影のあるアルファ155だからこそ、それを隠さず乗った方が侍みたいで楽しいじゃないですか。
先ほどもお話ししましたが、アルファ155はDTMをはじめ、各国のレースで活躍したこともあり、走りのイメージも強い。これはブランドとして大きな財産です。本音を言えばこの時代からアルファロメオにはスーパーカーを作ってほしかったくらいです。
今はどのメーカーもマーケティングとして、女性から人気が出そうな要素を盛り込むことが多くなりました。だからどんどん同じような雰囲気の車ばかりになってしまう。
もっと、アルファ155のような硬派な雰囲気のモデルにも光が当たるようになればいいのに。
そのためには、メディアがもっとレースを取り上げるようになってほしいですよね。今では、F1でホンダが優勝してもニュースにならないのですから。
僕が朝の情報番組に出演していたとき、制作スタッフに「日本メーカーも出ているのだからル・マンを紹介しようよ。トップは無理でも4番目くらいのネタにはなるでしょう」と話をしたことがあります。
でも、今は情報番組だとレースよりおいしいパンケーキの方が数字を取れるというのです。かつては若者向けのファッション誌にもレースの話が出ていたんですけれどね。
メディアがもう一度レースに目を向けてくれると、硬派な走りの車にも注目が集まると思うのですが……。
アルファ155の中古車相場は長く底値で安定しています。
しかし、今は何をきっかけに相場が上昇に転じるかわかりません。
MT免許を取った20代の若者が最初にこんな車に乗ると、周りの友人とはまったく違う価値観を得られるかもしれないですね。
アルファ ロメオ アルファ155(初代)
1992年に日本導入されたアルファ155。アルファ75の実質的な後継モデルで、75の駆動方式がFRだったのに対し、155はFFに変更されたのが最大のトピック。トランスミッションは、MTのみの設定になる。当初は2Lのツインスパーク8Vと、2Lターボを積んだ4WDのQ4という2グレード展開だった。1995年のマイナーチェンジでツインスパークが8Vから16Vに変更された。さらに、このタイミングで2.5Lエンジンを搭載するV6が導入されている。アルファ155をベースに開発されたレーシングカー“155 V6 TI”は、1993年のドイツツーリングカー選手権でタイトルを獲得。これを記念してドイツで限定販売されたレプリカモデルも少数日本に輸入されている。
▼検索条件
アルファ ロメオ アルファ155(初代)×全国演出家
テリー伊藤
1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『爆報!THE フライデー』(TBS系/毎週金曜19:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。新著『老後論~この期に及んでまだ幸せになりたいか?』(竹書房)が発売中。You Tubeチャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』を開設!
【関連リンク】
この記事で紹介している物件
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- 【海外試乗】新型 ポルシェ マカン|電動化しても走りは“ポルシェ”!? 重さを感じさせない軽快なハンドリングが魅力だ!
- 【名車への道】’61 ジャガー XK150 “ル・マン”を制した性能と耐久性に優れるエンジンを搭載!!
- 【スーパーカーにまつわる不思議を考える】当主の死去で迎えた、名門「ピニンファリーナ」と「カロッツェリア」のさらなる受難
- “軽さ”は正義につき。【カーセンサーEDGE 2024年7月号】
- トヨタ ヴェルファイア(3代目)をマンガで解説! ラージサイズミニバンの王者はどんな車?【人気車ゼミ】
- F1に挑んできたホンダの60年をリアル体感! “F1の聖地”鈴鹿サーキットに「Honda RACING Gallery」がオープン【EDGE Motorsports】
- 【試乗】新型 ヒョンデ アイオニック 5 N|BEVの走りは盛り上がらないとお嘆きのあなたに! ハイパフォーマンスバージョン「N」がついにBEVに登場
- R32スカイラインGT-Rの中古車平均価格約700万円に絶望した人に贈る「半額で買えるコレ、代わりにどうですか?」5選
- 【試乗】新型 マクラーレン 750Sスパイダー|街乗りすら心地よい! サーキット以外でもドライバーを飽きさせない“スーパーカーの新境地”的モデル!
- 【小沢コージの自動車暴論】イタフラで世直し! 前代未聞のボランティア系ラテン車専門店に突撃!