普段から車いすを必要とする家族がいる場合、車いすごと乗せられる車は便利だ。そうした車はミニバンかそれ以上の大きな車が多いのだが、扱いやすいサイズで維持費も安い軽自動車にも用意されていることがある。三菱 タウンボックスやその商用車版であるミニキャブバンに用意された車いす仕様車はその一例だ。

ベースであるタウンボックス(1999年~)、商用車ミニキャブバン(1999年~)は、いずれもマイナーチェンジや一部改良を繰り返しながら現在も販売されている息の長いモデルだ。軽自動車枠をいっぱいに使ったワンボックスタイプで、軽自動車とは思えない室内の広さが自慢。この広さを生かして、車いすをそのまま乗せることができるのが車いす仕様車だ。

タウンボックス/ミニキャブバンの車いす仕様車は、車いすを乗せる方法によって2タイプに分かれる。ひとつはスロープを使って乗せる「ニールダウン式」で、乗せる際には車体後部が65mm下がり、スロープ角度をゆるやかにしてくれる。もうひとつはリフトを使って乗せる「テールゲートリフト式」。こちらは電動リフトを使って乗員ごと車内に運ぶタイプだ。どちらも補助シートが用意されていて、車いすの人も含め最大4名まで乗車可能。

原稿執筆時点で見るとタウンボックスが10台、ミニキャブバンで13台見つかった。いずれもニールダウン式とテールゲートリフト式が半々で、ほとんどが100万円以下だ。さらにタウンボックスのOEM車である日産クリッパーにも同様の車いす仕様車があり、こちらは9台見つかった。ただしタウンボックス/ミニキャブバンと比べて高年式&低走行車が多く、その分価格は100万~160万円と少し高めだ。

タウンボックス/ミニキャブバン、さらにクリッパーも加えるとかなり台数が多く、価格帯も幅広い。そのため予算に応じて選びやすい車いす仕様車だ。室内が広い割に軽自動車ゆえ維持費が安いという魅力もある。運転の苦手な人でも扱いやすいサイズなので、検討してみてはいかがだろう。

乗車定員/4名
スロープ角度/11度(ニールダウン式)
リフト昇降能力/300kg(テールゲートリフト式)
スロープの車外飛び出し量/1375mm(ニールダウン式)
リフトのプラットフォーム大きさ/タテ1000mm×ヨコ680mm(テールゲートリフト式)
開口部高/1400mm(ニールダウン式)、1250mm(テールゲートリフト式)

Text/籠島康弘

ミニキャブバンのニールダウン式。ミニキャブバンの場合は3ATもある(他は4ATのみ)。いずれも2WD/4WDがある

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タウンボックスのテールゲートリフト式。タウンボックスやクリッパーのほうがドア開閉のリモコンキーが付くなど乗用車的だ

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