日産 ジューク ▲今回紹介するのは、日産 ジュークにワークス系チューニングが施されたジュークNISMO

高い動力性能を兼ね備えたホットなクロスオーバー車のジュークNISMO

惜しまれつつも2019年内で生産を終了した初代ジューク。

日本国外では2代目となるジュークが登場していますが、残念ながら日本国内では2代目の販売はなし(2020年1月17日執筆時点)ということで、個性的なSUVが欲しいという人にとっては初代の中古を狙うしかありません。

2010年6月の発売開始以来、9年にもわたる長いモデルサイクルとなった初代ジュークではありますが、その個性的なルックスは今でも古さを感じさせない不変の魅力を持ち合わせているモデルと言えるでしょう。

ルックスばかりに注目が集まりがちではありますが、コンパクトなSUVというキャラクターの他にもうひとつの顔を持ち合わせています。それがホットハッチというキャラクターです。

デビュー当初は1.5Lの自然吸気エンジンのみのラインナップでしたが、およそ半年後に1.6Lターボエンジンを搭載した「GT」系のグレードを追加。114psだった自然吸気エンジンに対して、ターボエンジンは190psと、一気に76psものパワーアップを果たしていたのです。

そしてデビューから約3年が経過した2013年2月に、ジュークの最もホットなモデルとして4WDの16GT FOUR Type Vをベースに直系ワークスチューンを施した「NISMO」が登場。

NISMOシリーズ第1弾としてジュークNISMOが登場

日産 ジューク ▲専用のエアロパーツを装着しており、一目でただのジュークではないと分かる


NISMOは現在はマーチやノートから、フェアレディZ、GT-Rまで幅広い車種に設定されるスポーツグレードですが、第1弾は何を隠そうこのジュークだったのです。

一目でNISMOと分かるアグレッシブなエアロパーツはもちろん、エンジンは200psまでパワーアップ。

組み合わせられるミッションもベースの6速MTモード付CVTをさらに多段化し、よりクロスレシオとした7速MTモード付CVTとし、CVTながら本格的なスポーツ走行も可能とするモデルに仕上がっていました。

4WDシステムはベース車と同じく、後輪左右の自在なトルクを配分も可能としたALL MODE 4X4i(トルクベクトル付)を採用し、18インチの大径タイヤとの組み合わせで痛快なハンドリングも実現しており、背の高いSUVとは思えない動力性能を持ち合わせていました。

日産 ジューク ▲200psまでパワーアップされた1.6L 直4ターボエンジン
日産 ジューク ▲全体をブラックで引き締めながら、随所にレッドのアクセントを用いたインテリアは、統一感と質感の高いコックピットまわりを演出している
日産 ジューク ▲7速クロスレシオ化したマニュアルモード付エクストロニックCVTを組み合わせることで、速くダイレクト感のあるレスポンスを実現
日産 ジューク ▲サポート性を向上させ、滑りにくいスエード調の素材を採用した専用シート

GT-Rにも存在しない「RS」を冠したNISMOが追加

そして2014年11月には、さらなるハイパフォーマンスモデルとして「NISMO RS」を発表。

エンジンはさらに手が加えられて214psまで向上し、ミッションも7速からパドルシフト付の8速MTモード付CVTへと進化。

パワーアップに伴って制動フィーリングと耐フェード性能を高めた専用ブレーキシステム(フロント大径化、リアベンチレーテッドディスク化)も採用されました。

さらに専用のボディ補強や4WDシステムまでNISMO RS専用にチューニングが加えられ、シートにはNISMO専用チューニングRECARO製スポーツシートが標準装備と、本格スポーツモデルに匹敵するモデルへと鍛え上げられていったのです。

なお、NISMO RSの登場とともに通常のNISMOはいったん姿を消しましたが、2015年11月に再び復活。

初期NISMOのようにエンジンチューンなどはされず(NISMO専用サスペンションは装備)、16GT FOURをベースにNISMO RS同等の内外装をもったスポーティグレードという扱いとなっています。

日産 ジューク ▲NISMOと外観上の違いはほとんどないが、さらに高次元のチューニングが施されている
日産 ジューク ▲スポーツドライビングに集中できる環境を実現した、NISMO専用チューニングRECARO製スポーツシートが装着される

新車価格を考えるとお買い得感の高いジュークNISMO系

これだけハイパフォーマンスかつ、専用パーツがふんだんに投入されたジュークNISMO RSが新車で350万円弱だった、というのもすでに買い得感が高い価格となっている気がしますが、中古車となるとより一層買い得感が増してきます。

さすがに後期型から設定されたNISMO RSはタマ数が豊富とは言えず、執筆時点で15台の掲載にとどまりますが、一般的なスポーツモデルとは異なり修復歴がある個体はゼロ。

走行距離も3万km未満がほとんどという好条件にも関わらず、支払総額は200万円前後がボリュームゾーン。ほとんどの個体がナビ付となっているので、買い得感はさらにプラスと言えるでしょう。

一方、前期型から設定されていたNISMOは、66台(執筆時点)とNISMO RSに比べるとタマ数が豊富。

登場初期のものに関しては車両本体価格が100万円を切るものも見つかる勢いで、150万円程度の予算があれば、5万km以下、修復歴なしの個体も狙えます。

ただ、後期型のNISMO(非RS)はタマ数が少なく、価格帯も総額で200万円前後とNISMO RSとほとんど変わらない価格となっており、よりNISMO RSの買い得感が光る結果となりました。

ちなみにですが……もしかしたら、中には「NISMOの見た目はカッコいいけど、ターボとか動力性能には興味ない!」という人もいるかもしれません。

そんな人には、2018年8月に追加された「15RX VセレクションStyle NISMO」が存在しています。これは1.5L自然吸気エンジンを搭載した15RXに、NISMO系の外板パーツ(ホイール以外)を装着したドレスアップモデルとなります。

執筆時点では20台の中古車が掲載されており、そのほとんどがディーラー試乗車&展示車上がりと思われる5000km未満の個体ですが、総額200万円前後がボリュームゾーンと正直まだ買い得感は薄いといった印象です。

おそらく数年後のリセールを考えてもNISMO系の方がよさそうな気がするので、ここはやはりハイパフォーマンス系クロスオーバーSUVの真骨頂である、NISMO RSを狙うというのがいいのではないでしょうか?

2ペダルのCVT車だからといって甘く見ていると、そのポテンシャルの高さにビックリするはずです!

日産 ジューク ▲Style NISMOはその名のとおり、NISMO専用のエアロパーツをまとうモデル
NISMO ▲ジュークNISMOは他のNISMOシリーズに負けないほどの高いパフォーマンスを発揮する
文/小鮒康一(フナタン)、写真/日産

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小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。