マツダ CX-8▲2019年度の新車販売台数は3万679台と国内の3列シートSUVのトップ。月販目標台数1200台を超える好調な販売を続けている人気車だ

カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー2019のSUV部門第1位

カーセンサーだけがもっている膨大なデータをもとにした、毎年恒例の中古車注目度&競争率ランキング「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。2019年の第7位(SUV・クロカン部門では第1位)に輝いたのはマツダ CX-8だ。


デビューは2017年9月で高年式にも関わらず、同社の中核モデルであるCX-5を抑えての入賞となる。ちなみにCX-5は、2018年度は2位だったが、2019年度は12位に後退している。

CX-8が登場してから、俄然3列シートを備えたSUVが注目されるようになったように思う。3列シートのあるSUVはCX-8以前からあるにも関わらず、だ。それほどCX-8に魅力があるということなのだろうが、ではその魅力とは? 早速探ってみよう。

「3列シートSUV」の人気をけん引するモデル

全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mmというマツダのSUVとしては最大サイズのCX-8。実は同社には北米を中心に販売されている3列シートSUVのCX-9(日本未導入)があり、こちらはさらに大きく全長5000mm超、全幅1900mm超だ。CX-8はCX-9とホイールベース(2930mm)が同じなど、多くのパーツを共有している。いわばCX-9を縮小して日本市場への適応を図ったモデルなのだ。

現在ミニバンのないマツダにとっては、新たにミニバンを開発するより、3列シートSUVを選択したわけだが、これが功を奏したようだ。デビュー翌年の2018年、そして2019年の販売台数で国内の3列シートSUVではトップ。それもあって、(2020年1月31日原稿執筆時点)でみると中古車は500台以上見つかり、探しやすくなっている。

ではCX-8がなぜこれだけ人気なのかということだが、理由はいくつか考えられる。

まずひとつは「スタイルの良さ」だろう。そもそもCX-8の同サイズの3列シートSUVは、現行型では他にトヨタ ランドクルーザー200や、トヨタ ランドクルーザープラド、レクサス RXくらいしかない。
 

マツダ CX-8▲CX-8の新車購入理由の一例として「多人数乗車を可能としながら、かっこよさを感じる」という声もあるという

◆ライバル車のサイズ
●トヨタ ランドクルーザー200(2007年~)

→【全長4950mm×全幅1970~1980mm×全高1870~1920mm】
●トヨタ ランドクルーザープラド(2009年~)
→【全長4760~4830mm×全幅1890mm×全高1840~1900mm】
●レクサス RX(2015年~)
→【全長4890~5000mm×全幅1900mm×全高1710~1730mm】

ランクル勢はともにデビューから10年以上がたち、見た目は、その名が示すように、いかにも“SUV”だ。

一方で、もっとシュッとした、どちらかというと街の景色に馴染むデザインは、CX-8やレクサス RXの他には、日産 エクストレイルや三菱 アウトランダー、ホンダ CR-Vクラスといったひと回り小さいクラス(全長4.6m前後)しかなく、3列目シートの居住性ではどうしても見劣りしてしまう。
 

マツダ CX-8▲3列目シートは、2列目シート下につま先が差し込めるため、身長170cmの人が自然な姿勢で座れる。乗り降りの際は2列目シートの肩口にあるレバーを引けば、シートが自然とスライド&背もたれが前傾するのでスムーズ

つまり「街でも映える3列シートのSUV」となると、新車時のライバルはレクサス RXだけとなるが、それでは価格が違いすぎる。

◆新車時の車両本体価格(10%税込)の比較
●マツダ CX-8
→294万8000~467万600円
●レクサス RX
→513万~796万円
●トヨタ ランドクルーザー200
→482万6800~697万4000円
●トヨタ ランドクルーザープラド
→306万3600~546万2600円
 

中古車で高年式車が手頃な価格で狙える

肝心な中古車価格でも、やはりCX-8は他車よりも手頃だ。中古車平均価格を見てみると下記のようになる。

◆中古車平均価格の比較
●マツダ CX-8
→354万2000円(234万8000~529万8000円)
●レクサス RX
→506万9000円(339万~1170万円)
●トヨタ ランドクルーザー200
→506万3000円(208万~1036万円)
●トヨタ ランドクルーザープラド
→366万円(168万~696万円)
※中古車価格帯はすべて2020年1月31日時点のカーセンサーnet参照

ランクル勢もCX-8と同様200万円代から狙えるが、何しろランクル勢はデビューして10年以上たっている。

CX-8が全車に標準装備している衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロール機能、誤発進抑制機能を含む「i-ACTIVSENSE」と同様の機能を備えた中古車となると、ランドクルーザープラド(支払総額300万円前後)か、走行距離10万km超のレクサス RXなら競合となり得る。

ただし、どちらも車両本体価格200万円台は数が少ない。一方、CX-8は200万円台が10台以上見つかった。
 

マツダ CX-8▲CX-8のi-ACTIVSENSEには上記機能の他に、車線逸脱を防ぐレーンキープアシストシステム、対向車がいると自動でその部分だけ防玄するなどの機能(写真のアダプティブ・LED・ヘッドライト)、さらに駐車時に便利な360度ビューモニターなどが含まれている

以上を踏まえると、「デザイン性」「手頃感」「安全性」と3拍子揃った3列シートSUVのCX-8が、中古車なら支払い総額約280万円(修復歴なし・走行距離2万km前後)から選べるというわけだ。

これなら人気が出てもおかしくないと言えるだろう。

6人乗りと7人乗りがあり、全グレードに2WD/4WDが用意された

2017年7月から受注を開始し、同年12月から販売が始まったCX-8。当初は2.2Lディーゼルに6速ATの組み合わせのみだった。全グレードに2WDと4WDが用意されている。

2列目シートには左右分割のキャプテンシート(6人乗り)とベンチシート(7人乗り)があり、キャプテンシート(6人乗り)の上級グレード「Lパッケージ」には、中央に充電用USB端子付大型コンソールボックスが備わる。
 

マツダ CX-8▲写真は6人乗りの2列目シート。7人乗りの2列目シートは6:4分割式。どちらも前後120mmスライドとリクライニング可能だ

先述のとおり、先進安全機能の「i-ACTIVSENSE」の他、ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを制御し車両の安定性を向上させる制御技術「G-ベクタリングコントロール」を全車に標準装備する。また、4WDシステムはスリップの兆候を検知すると瞬時にトルク配分を制御して車両を安定させる「i-ACTIV AWD」だ。
 

マツダ CX-8▲センターディスプレイは全車に標準装備。オプションのカーナビ用SDを購入すればカーナビとして使える。USB端子2つとAUX入力端子も標準装備だ。写真はXD Lパッケージ

最上級グレードのLパッケージは木目パネルや上質な本革のナッパレザーシートが奢られた他、前席2列目シートにシートヒーターが装備されている。

デビュー時の車両本体価格の一覧は下記のとおり。なお6人乗りと7人乗りの価格は同じ。ただしLパッケージは6人乗りのみとなる。

・XD(2WD)→【319万6800円】
・XD(4WD)→【342万9000円】
・XD プロアクティブ(2WD)→【353万7000円】
・XD プロアクティブ(4WD)→【376万9200円】
・XD Lパッケージ(2WD)→【395万8200円】
・XD Lパッケージ(4WD)→【419万400円】
 

マツダ CX-8▲ラゲージ容量は、3列目使用時でもA型ベビーカー1台やゴルフバッグ2個を積載できる239L、3列目シートを倒すと572Lに(いずれも床下のサブトランク容量65Lを含む)

2018年6月にはXD Lパッケージにベンチシートの7人乗りも追加された。もちろん6人乗りと同じ本革シート仕様だ。

そして、2018年10月には2.5Lガソリンターボ車(4WDのみ)と、2.5Lガソリン車(2WDのみ)が追加された。いずれもレギュラーガソリン仕様となる。

合わせて下記のような一部改良が行われた。

・G-ベクタリングコントロールの機能進化(G-ベクタリングコントロールプラスに)
・衝突被害軽減ブレーキに夜間の歩行者認知機能が追加された。
・Lパッケージは前席にベンチレーション機能が追加された他、メーターの機能向上、室内照明の変更が図られた。


2019年10月にも一部改良が行われ、下記のような機能の充実が図られた。

・エンジンを問わず全車で2WD/4WDが選べるようになった。
・4WD車に「オフロード・トラクション・アシスト」が採用され、悪路でのスタックなどの際の脱出性能が高められた。
・7人乗りのLパッケージの2列目シートに、ワンアクションでスライドして3列目へのアクセスがしやすくなる機能が追加された。
・センターディスプレイが7インチから8インチに大型化された。
・電動サンルーフが一部グレードに設定された。


合わせて、2列目のラウンジ性を高めた特別仕様車「エクスクルーシブモード」と、本革シートや前席シートヒーター&ベンチレーションを備えた「プロアクティブSパッケージ」が追加された。
 

手頃感ならベースグレード、探しやすさならXD Lパッケージ

マツダ CX-8▲ベースグレードのXDのタイヤ&ホイールサイズは225/65R17。XDプロアクティブとXD Lパッケージ(写真)は225/55R19となる。ルーフレースは全車標準装備

最も手頃感があって台数も豊富で選びやすいのは、やはり2.2Lディーゼルモデル、つまりグレード名の頭に「XD」がつくモデルだ。

支払総額300万円以内なら、ほとんどがべースグレードとなる。プロアクティブと比べて電動パワーシートやシートヒーターがなく、アルミホイールが17インチ(プロアクティブは19インチ)になるが、3ゾーン対応フルオートエアコンや、USB端子などを備えたオーディオ&ディスプレイなどは標準装備されているのでオススメだ。

ただし台数は総掲載台数503台中、29台となっていて、XDプロアクティブやXD Lパッケージよりも台数が少ないので欲しい車を見つけたら早めのアクションが必要だ。
 

マツダ CX-8▲後席用フルオートエアコンは全車に標準装備。前席と2・3列目で別々に温度調整が可能

▼検索条件

マツダ CX-8(2017年9月~生産中モデル)× XD(ディーゼル)× 全国

XD プロアクティブでも装備は十分なのだが、503台中台数は117台。実はXD Lパッケージの方が同213台と選びやすい。

XDプロアクティブは支払総額約300万円から、XD Lパッケージは約310万円から選べるというように、価格差も新車時より縮まっているので、両グレードを狙いつつ、色や走行距離、6人/7人乗りなどの条件のかなう方を探してみてはどうだろう。

▼検索条件

マツダ CX-8(2017年9月~生産中モデル)× XD(ディーゼル)プロアクティブ × 全国

▼検索条件

マツダ CX-8(2017年9月~生産中モデル)× XD(ディーゼル)Lパッケージ × 全国

いずれにせよデビューからまだ3年たっていないので、機能面で大きな変化はない。

だから年式にあまりとらわれずに探せるはずだ。ぜひお気に入りのCX-8を見つけてほしい。
 

▼検索条件

マツダ CX-8(2017年9月~生産中モデル)×全国
文/ぴえいる、写真/マツダ
ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。