軽オープンなのに、タルガトップで4人乗れて独立トランク付き……!? 絶滅危惧車のスバル ヴィヴィオタルガトップは発想が斜め上すぎる
2020/03/02
「スバル」ブランド40周年を記念して販売
スバルがまだ軽自動車を自前で作っていた頃、「スバル」ブランド40周年を記念して投入されたのが、ヴィヴィオタルガトップだ。
ヴィヴィオ自体はレックスの後継車として1992年にデビューした。キャッチフレーズは「SIMPLE RICH(シンプルリッチ)」というバブルの名残を感じさせるものだった。
車名は英語のVIVID(鮮やかな、生き生きとしたを意味する)に由来する造語で排気量の「660」をローマ数字で表記すると「VI VI 0」となることにもかけられていた。
1993年、「スバル」ブランド40周年記念特別仕様車として、ヴィヴィオ(SOHC NAエンジン)をベースにしたタルガトップ「Tトップ」が3000台限定販売された。そして、翌年にはSOHCメカニカルスーパーチャージャー付きエンジンを搭載した「GX-T」が1000台限定で販売された。
3ボックス型2ドアのタルガトップ
実際の生産を行なったのは、「高田工業」という特装車メーカーだ。この社名を聞いて“日産”を連想した読者は、鋭い。この頃、スバルは日産と提携しており、その縁で高田工業へ製造を委託できたのだろう。
ベースのヴィヴィオは2ボックス型3ドア/5ドアハッチバックだが、タルガトップは独立したトランクルームが備わる3ボックス型2ドアになった。フロントマスクを見ると、「Tトップ」はハッチバックNAエンジン車と、「GX-T」は「GX」と共通のフォグランプとスポイラーが備わるデザインとなっていた。
両モデルの最大の特徴は、手動で着脱できるハードトップを備えたことだった。ハードトップを取り外せばTバールーフだけにもなったし、ハードトップとTバールーフを取り外せばフルオープンにもなった。ロールバーのようなCピラー部分のリアウインドウは、電動式でここだけを開け閉めすることもできた。
ボディサイズはとにかくコンパクトで両モデル、全長3295mm×全幅1395mm×全高1380mm、ホイールベース2310mmだった。全高だけベースモデルよりも5mm高くなっていた。なお、車両重量はTトップが730~740kg、GX-Tが780kgで、同一仕様のハッチバックよりも約50㎏増に抑えられていた。
パッと見、タルガトップは2シーターのようだが、法規上の乗車定員はハッチバックと同様4名だった。とはいえ、リアシートに大人が座るのは厳しく子供用、もしくは荷物置き場として使われていたことだろう。
エンジンの最高出力/最大トルクはTトップMT車が52ps/5.5kg・m、同ECVT車が48ps/5.6kg・m、GX-Tが64ps/8.6kg・mで、いずれもハッチバックと同一。
トランスミッションはTトップには5速MTとECVT(CVT)が、GX-TにはECVTのみが設定されていた。ハッチバックには4WDもラインナップされていたが、タルガトップはいずれもFFのみだった。
3000台限定生産であった
ヴィヴィオは販売終了してから22年が経過しているし、いずれのタルガトップも限定販売で3000台しか生産されていない。
にも関わらず、原稿執筆時点(2020年2月17日)ではカーセンサーnetで15台“も”掲載されていたことに少々、驚いた。
おおまかな相場として走行距離が多いもの、修復歴があるものは安く流通している。
TトップとGX-Tを比較すると、やはり後者のハイパワーモデルの方が人気があるようで値段が高めに流通しているように見受けられる。中古車相場は23万~84万円で、平均中古車価格は39万円となっている。
スズキ カプチーノ、マツダ AZ-1、ホンダ ビートなどのオープン軽自動車が人気だったころ、実はスバルもひっそりとすごいオープン軽自動車を作っていたのだ。今後、もっとタルガトップに注目が集まってもおかしくない。
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▼検索条件
スバル ヴィヴィオタルガトップ(1993年5月~1994年4月生産モデル)×全国自動車ライター
古賀貴司(自動車王国)
自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。
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