マリオ高野▲スバル車ネタを中心に多くのメディアで活躍するライターのマリオ高野氏。今でもカーセンサーを使った中古車探しが日課だというが、彼が現在本当に気になっている物件を教えてもらった

生粋のスバリストが選ぶ物件は?

6月20日発売のカーセンサー8月号の特集では「クルマは、買うまでが楽しい!」と題して、買う・買わないに関わらず気になる中古車を探してしまうという、“車好きの性”についてフォーカスしている。

ここでは、生粋のスバリスト系自動車ライターのマリオ高野氏が、リアルにお気に入りに保存している物件を紹介しよう。

マリオ高野

ライター

マリオ高野

1973年大阪生まれ。スバル ヴィヴィオを買ったことにより運転の楽しさに目覚め、インプレッサWRXも立て続けに新車で購入(弱冠ハタチ)。新車セールスマン、車両回送員、ダイハツ期間工、自動車雑誌の編集部などを経てフリーライターとなる。27年目のWRXと、GJ3型インプレッサG4 1.6i(5速MT)の2台が愛車の生粋のスバリスト。

「知る人ぞ知る」系のニッチ車が気になる

その昔は、暇さえあれば電話帳のように分厚いカーセンサー誌をめくりながら、ちょっと気になる車の相場をよく調べたものでした。

実際に買うかどうかはさておき、「〇〇が安くなってきた!」「△△は値下がらないな……」などと一喜一憂しながら妄想を巡らせるのが楽しいわけです。

そんな人は多いはずで、車好きあるある、の定番のひとつですよね(笑)。

中古車の物件探しはネット検索が中心となった今でも、基本的にその楽しさは変わりません。

スマホがあればいつでもどこでも車探しができるので、紙の雑誌時代よりも物件巡りをする機会は圧倒的に増えました。

特に最近は、80年代後半~90年代前半頃の実用車の超優良物件が突如として市場に出現することが増えているので、マメな検索は欠かせません。

ご年配のオーナーさんが大事に長期間所有していたり、納屋の奥でひっそりと眠らせていたような個体が、断捨離や遺品整理などによって売りに出され、突然現れるというヤツです。

余談ながら、つい先日も初代レガシィのセダンのNA1.8リッター車のワンオーナー車を手に入れた方とお会いし、信じがたいほど状態の良い30年落ちの中古車を拝ませてもらったばかりでした。

そういった奇跡の激レア物件との出合いを求めつつ、やはり普通に気になる車の情勢もマメにチェックするのですが、スバル車好きとしては、最近のスバル車の中古相場の高値安定ぶりは、正直ツラいところですね。

特にSTI限定車の高騰ぶりはすさまじく、検索するたびにがくぜんとしてしまいます。

そんな状況もあって、個人的には「知る人ぞ知る」系のニッチ車に触手が伸びる傾向が強くなりました。

ど定番の人気車の相場がわずかでも下がっていることを期待しながら、「穴場的な狙い目モデル」の動向に注目。

「これは!」という物件をお気に入り登録しています。

今回はその中から、特に気になっている3台を紹介しましょう!

今買うならコレ!
レガシィB4 (2代目) 2.0R 5MT

スバル レガシィB4

「リアルな次期愛車候補」のひとつが、4代目レガシィセダン(2代目レガシィB4)の2.0R(5MT)。

歴代レガシィの中でも名車の誉れが高く、中古車として狙い目にある4代目レガシィの中でも、今買うなら「2.0R」というNAエンジン搭載のスポーツグレードのMT車です。

ターボや6気筒の陰に隠れて人気は出ませんでしたが、2.0Rは「NAスポーツ」を盛り上げようと当時のメーカーが本気で取り組んだグレードなんですね。

NAらしい中低速トルクを維持したまま、スポーツ性の高さを感じさせる高回転化と高出力化を実現したエンジンが秀逸で、5MT版は7100回転で190馬力を発生するという、なかなかのハイチューンユニットです。

新車で売られていた当時は、私自身もターボや6気筒ばかりに注目してしまい、2.0R(5MT)の魅力に気がつかなかったのですが、わりと最近になって試乗する機会があり、大変感激してからずっと気になる存在に。

スバルの実用車からMT仕様がなくなった今、愛車のひとつである「先代型インプレッサG4 1.6i(AWD/5MT)」の後継はコレが最有力候補。

もし、何らかの事情で今のG4に乗れなくなったら、直ちに4代目レガシィセダンの2.0R(5MT)を探します。

この物件は、走行距離が約13万キロと多めながら比較的高値にて、逆に程度の良さに期待が持てます。

本気で検討する際は消耗品の交換履歴などを確認しますが、おそらく走行距離にしては程度が良いのでしょう。

カスタムはSTIパーツで統一、タイベル交換済みも好印象ポイントです。

▼検索条件

スバル レガシィB4(2代目)×2.0R系グレード×MT×全国

スーパーGTでチャンピオンを取ったら買う
スバル BRZ (現行型) R カスタマイズ パッケージ

スバル BRZ

次に注目しているのは、BRZ。

実は私、スーパーGTに参戦するGT300 BRZの公式応援団長を務めておりまして、「スーパーGTでチャンピオンをとったらBRZを買う!」と公言しています。

コロナ禍によりスケジュールが大変更となったものの、スーパーGTもようやくこの夏から開幕しますが、現行型のBRZは今年の7月20日をもって販売が終了。

今年の晩秋か年末にスーパーGTのチャンピオンが決定しても、その頃には新車がなくなっているので、中古を買うしかありません。

チャンピオンになるのを見越して、販売が終了する前に新車を買っておく、というプランもありますが、なかなか踏み切れずにいます。

そもそも、BRZの最大にして本質的な魅力である「低重心といわれる水平対向エンジンを、歴代スバル車で最も低い位置に搭載したことで得られる運動性能の高さ」は、中古車でも十分味わえるということが、新車購入に踏み切れない大きな理由でもあります。

2012年に発売されてから毎年のように改良を重ねたBRZは、スバル車の例に漏れず「アプライド」ごとの仕様は結構異なります。

それゆえ、一般的には、中古車ならどの年式を買うかは無視できない重要なポイント。

もし人にススメるなら、「できればボディ剛性が高くファイナルギアが低くなった後期型がよい」などと進言しますが、自分で乗る分には「BRZは年式を問わずどれでもよい」と思っているので、「心に響く出合い」で遭遇した物件を買う所存。

グレードは、装備が豪華なGT/STIスポーツに引かれますが、前述したBRZの本質的な魅力は車としての素性の良さにあるので「R カスタマイズ パッケージ」という、コレまた希少なニッチグレードを所望。

ニッチすぎて流通台数はほとんどありませんが、現状ではコレに目をつけています。

▼検索条件

スバル BRZ(現行型)×R カスタマイズ パッケージ×全国

スバルファンなら一度は手にしたい限定車
スバル インプレッサSTI (2代目)S202

スバル インプレッサSTI

そしてもう1台は、スバルファンなら一度は所有したい積年の憧れ、STI限定車です。

STI限定車の最高峰「Sシリーズ」は超高値相場にて、特にS206以降のモデルはまったく手が出せない領域に。今後も値下がる気配はなさそうです。

しかしそんな中「S202」は18年落ちと古いせいか、STIの限定車としては比較的マトモな相場で推移。

2002年式の国産車としては異様に高めながら、優良物件ならそれほど高いと感じさせない内容です。

STIの限定車の中でも「Sシリーズ」はエンジン内部パーツのバランス調整が施されており、年式が古くなっても程度が良ければ超極上のエンジンフィールは色褪せないことを確認済みなので、古さは気になりません。

WRXとしては最後の不等長排気サウンドが楽しめるモデルでもあるので、これ以上高騰しないうちに買っておきたい1台です。

どうか、これ以上値段が上がったりしませんように……!

▼検索条件

スバル インプレッサSTI(2代目)×S202×全国
文/マリオ高野、写真/マリオ高野、イラスト/日刊カーセンサー