スズキ ハスラー▲軽クロスオーバーの大ヒットモデルは、2014年のデビュー時から先進安全装備を搭載。改良を重ねながら、性能を進化させている

ワゴンRをベースに開発されたクロスオーバーモデル

スズキの屋台骨を支えるワゴンRのコンポーネントを利用し開発された、軽クロスオーバーモデルのハスラー。

厚みのあるフロントに配置される特徴的な丸目のライト、切り立ったAピラーによる箱型デザイン、大きめのタイヤで力強さを表現した足元など、これまでの軽自動車にないスタイルは大きな話題に。

競合モデルがなかったこともあり、ハスラーは納車待ちが発生するほどのヒットモデルとなった。

2019年12月には初のフルモデルチェンジを受け、翌1月から発売開始された2代目も好調なセールスを続けている。

2代目は先代のイメージを踏襲しながらも随所で高級感を高め、さらに新しいプラットフォームを採用したことで乗り味も上質なものになった。

そんな人気モデルのハスラーは、初代登場時から先進安全装備が搭載されてたが、モデルチェンジや一部改良のタイミングで、より進化した先進安全装備が設定された。

そこで今回は、ハスラーにはどのタイミングでどんな先進安全装備が搭載されたか、中古車の相場情報とともに時系列で見ていこう。

スズキ ハスラー▲こちらは初代ハスラーの内装。鮮やかなインパネは運転中の気分を明るくしてくれる

レーザーレーダーを使用した先進安全装備を搭載
初代 2014年1月~2015年11月生産モデル

スズキ ハスラー▲デビュー時の先進安全装備は、低速時の被害軽減を防ぐものだった

初代ハスラーは、2014年1月の発売時から先進安全装備を搭載している。これはレーザーレーダーを使用したシステムで、搭載された機能は以下のとおり。

■レーダーブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ)
前方の車をレーザーレーダーで検知し、衝突の危険性があるとシステムが判断した際に自動ブレーキで危険回避をまたは被害の軽減を図る。作動速度は約5km/hから約30km/hで、約15km/h以下では衝突回避をサポートする。

■誤発進抑制機能
約4km/h以内のとき、前方の障害物をレーザーレーダーで検知。障害物があるにもかかわらずアクセルを大きく踏み込んだ場合にエンジン出力を自動抑制。

■エマージェンシーストップシグナル
急ブレーキをかけた際に車速が約55km/h以上のとき、自動でハザードランプを高速点滅。

■ESP(車両走行安定補助システム)
各種センサーで走りを監視。必要に応じでエンジンとブレーキを制御してタイヤのスリップや横滑りを抑制。

標準装備グレード:G、Gターボ、X、X ターボ、Jスタイル
※いずれもCVT車に標準装備

中古車の価格と流通量は?

2014年1月~2015年11月モデルの中古車は1150台弱流通していて、そのうちレーダーブレーキサポートを搭載する中古車は1050台ほどと非常に装着率が高い。

中古車の価格帯は40万~150万円。この中で特にオススメしたいのは、加速時にモーターがエンジンをアシストするS-エネチャージが搭載された2015年5月以降のGとX。

S-エネチャージ搭載車は、モーターのサポートで燃費性能が32.0km/L(2WD/JC08モード)と優れているだけではなく、レスポンスのよい走りもできるのが特徴だ。

Gは総額60万~140万円で、総額100万円を超える価格帯だと走行距離3万~5万km程度の中古車が探しやすい。

LEDターンランプ付きサイドミラーや本革巻きステアリングが備わるXは、総額90万~150万円で、低価格帯は走行距離5万~8万km程度のもの、総額120万円以上だと走行距離5万km以下のものが見つけやすくなる。

▼検索条件

スズキ ハスラー(初代)×2014年1月~2015年11月生産モデル×衝突被害軽減ブレーキ搭載×全国

ステレオカメラを使用した先進安全装備に変更
初代 2015年12月~2019年11月生産モデル

スズキ ハスラー▲ステレオカメラの採用により、歩行者も検知できるようになった

先代ハスラーは2015年12月に一部改良を実施。このタイミングで、レーザーレーダーから2つのカメラで前方を立体的に捉えるシステムに変更している。

「デュアルカメラブレーキサポート」と呼ばれるこのシステムには、以下の機能が搭載される。

■デュアルカメラブレーキサポート[衝突被害軽減ブレーキ]
2つのカメラで約5km/h~約100km/hの間、先行車や歩行者との距離を立体的に把握。衝突可能性があると判断すると、ブザーとメーター内表示で警告。その後、さらに衝突の可能性が高まると、自動ブレーキを作動させて衝突を回避、または被害を軽減する。

■誤発進抑制機能

■車線逸脱警報機能
左右の車線をステレオカメラが検知し、車線をまたいで走行すると判断した場合にドライバーに警報。

■ふらつき警報機能
居眠りなどで車線内をふらつきながら走行するとドライバーに警報。

■先行車発進お知らせ機能
前の車が発進したのに停車し続けるとブザーでお知らせ。

■エマージェンシーストップシグナル

■ESP(車両走行安定補助システム)

標準装備グレード:ハイブリッドG、ハイブリッド Gターボ、ハイブリッド X、X ターボ、J、Jターボ、JスタイルII、JスタイルIII、タフワイルド、ワンダラー
※2018年10月までのGのCVT車、Gターボ、FリミテッドIIは従来のレーダーブレーキサポートを標準装備。2018年11月以降、デュアルカメラブレーキサポートに仕様変更。

中古車の価格と流通量は?

この時期のハスラーは、グレードによりデュアルカメラブレーキサポートとレーダーブレーキサポートが混在している。先進安全装備にこだわって中古車を探すなら、デュアルカメラブレーキサポート搭載グレードを探そう。

中古車は1500台ほど流通していて、そのうちデュアルカメラブレーキサポートを搭載する中古車は約1200台ある。

カタログモデルのXやXターボも魅力的だが、装備などが充実した特別仕様車が見つかるのも特徴だ。

ナノイー搭載フルオートエアコンやUV&IRカットガラスなど、女性にも人気の装備が奢られるJスタイルII、JスタイルIIIの中古車は約160台流通している。価格帯は80万~170万円で、総額120万円までだと走行距離5万km前後、総額150万円まで見ると走行2万km前後の中古車を買うことができる。

ブラックツートーンが特徴的なタフワイルドと、外装のルーフやバンパーガーニッシュに茶色を採用してシックな雰囲気にしたワンダラーの中古車は計60台ほど流通。価格帯は120万~170万円。まだ新しいこともあり、価格は上がるものの届出済み未使用車を見つけることができる。

スズキ ハスラー▲2018年11月に登場した特別仕様車、ワンダラー

▼検索条件

スズキ ハスラー(初代)×2015年12月~2019年11月生産モデル×衝突被害軽減ブレーキ搭載×全国

夜間の歩行者も検知できるシステムに変更
2代目 2019年12月~生産中モデル

スズキ ハスラー▲先進安全性能の精度が上がり、機能も増えた2代目ハスラー

2代目にフルモデルチェンジとなった新型ハスラーは、先代同様にデュアルカメラブレーキサポートを搭載するが、システムはアップグレードされ、夜間の歩行者も検知できるようになった。

さらに前だけでなく後ろ側の安全性も強化されている。

搭載される機能は以下のとおり。

■デュアルカメラブレーキサポート[衝突被害軽減ブレーキ]
2つのカメラで約5km/h~約100km/hの間、先行車や歩行者との距離を立体的に把握。衝突可能性があると判断すると、ブザーとメーター内表示で警告。その後、さらに衝突の可能性が高まると、自動ブレーキを作動させて衝突を回避、または被害を軽減する。夜間の歩行者にも対応。

■後退時ブレーキサポート
リアバンパーに内蔵した4つの超音波センサーで後方の障害物との距離を測り、4段階のブザー音で接近をお知らせ。後方の障害物との衝突の可能性が高まると自動でブレーキをかけ、衝突の回避または衝突時の被害軽減を図る。

スズキ ハスラー▲コンビニなどでバック時の事故防止に役立つ

■誤発進抑制機能

■後方誤発進抑制機能
後方に障害物がある際にシフトがRの位置でアクセルを強く踏み込んだときに、エンジン出力を抑制。

■アダプティブクルーズコントロール
ステレオカメラで先行車との距離を測定し、設定した車間距離を適切に保ちながら加速・減速、さらに停止まで自動追従。

スズキ ハスラー▲高速道路の巡航から渋滞まで、運転時の疲労を軽減してくれる人気装備

■車線逸脱抑制機能
カメラが左右の車線を認識し、車線からはみ出しそうになるとドライバーに車線逸脱防止方向へのステアリング操作を促し、車両を車線の内側に戻すように支援。

スズキ ハスラー▲車線逸脱警報だけでなく、ステアリング操作を促すことでより安全に

■車線逸脱警報機能

■ふらつき警報機能

■先行車発進お知らせ機能

■標識認識機能
最高速度、はみ出し通行禁止、補助標識「終わり」、一時停止、車両侵入禁止の標識をステレオカメラで認識し、メーター内に表示。

スズキ ハスラー▲侵入禁止の標識認識は、高速道路などの逆走防止にも役立つ

■ハイビームアシスト
ハイビームで走行中に先行車や対向車を検知すると自動でロービームに切り替え、先行車や対向車がいなくなると自動でハイビームに戻す。

■エマージェンシーストップシグナル

■ESP(車両走行安定補助システム)

標準装備グレード:ハイブリッドG、ハイブリッド Gターボ、ハイブリッドX、ハイブリッドXターボ
※ハイブリッドGには鈴キセーフティサポート非搭載車を設定。
※ハイブリッドG、ハイブリッドXは車線逸脱抑制機能とアダプティブクルーズコントロールを非搭載。

中古車の価格と流通量は?


新型ハスラーの中古車は約700台流通。そのほとんどが届出済み未使用車になる。価格帯は110万~200万円。

流通量が多いのはハイブリッドG(約270台)およびハイブリッドX(約230台)。低価格帯はスズキセーフティサポート非装着車になるので、先進安全装備にこだわる人は要注意。非装着車はグレード名に「非装着車」と表示されている。

届出済み未使用車は、どのグレードも新車価格より10万~15万円ほど安く買える。

▼検索条件

スズキ ハスラー(2代目)×2019年12月以降生産モデル×衝突被害軽減ブレーキ搭載×全国
文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/尾形和美、スズキ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL