日産 キューブ ▲ルノーと共同開発したプラットフォームを使用する3代目キューブ。乗り心地がよいことも魅力のひとつだ

スクエアで広い室内を備えたコンパクトなハイトワゴン

2008年11月に登場した3代目・日産 キューブ。コンパクトながらボディが四角くて室内が広い、ハイトワゴンだ。

ノートに後を譲る形で2020年3月に生産が終了。現在の中古車平均価格は50万円を切っているが、実はここ1年間ほぼ変わっていない。つまり、底値を迎えている状態だと言って良いだろう。

生産終了で今後フレッシュな中古車が市場へ流通するとは考えにくいだけに、コンディションの良い中古車を選べる今のうちに狙うのが正解だ。

以下、詳細を見てみよう。

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日産 キューブ(3代目)×全国

流通台数は波があるが、平均価格はほぼ横ばい

下記グラフを見てわかるとおり、3代目キューブの中古車平均価格は2020年7月時点では48.9万円、1年後の2021年7月時点では46.4万円とわずか2.5万円しか下がっておらずほぼ横ばいだ。

一方で、掲載台数は約2400~2700台の間を上下しているのだが、その動きは価格のグラフとは連動していない。

日産 キューブのグラフ▲昨年7月以降、平均価格は徐々に下がってはいるが、非常に緩やかだ
日産 キューブのグラフ▲平均価格と違い、流通台数は月によって300台近い差があり、アップダウンの幅が大きい

つまり、中古車台数の増減に左右されることなく、平均価格の動きがこれだけ非常に緩やかであるということは、いわゆる「底を打った」状況と見るべきだろう。

コンパクトで室内の広い車は、トヨタ ルーミーを筆頭とするスライドドアを備えたタイプに人気が移行している。そのため、ヒンジドアのキューブがこれ以上人気を高める、つまり価格を上げる要因は見当たらない。

一方で、平均価格50万円前後で手に入るお手軽感と、半数以上の物件が走行距離7万km未満であるなど、コンディションがそこそこ良いキューブの中古車には一定のニーズがあるようで、中古車が余る(=増える)ということもなさそうだ。

また、明確な後継モデルがないため、これ以上待っても大きく価格が下がる要因も見つかりにくい。

この状況はある意味チャンスとも言える。もちろんスライドドアは便利だが、例えば1人や2人などの少人数での使用がメインの人なら、ヒンジドアのキューブでも不便に感じるシーンは少ないだろう。

むしろ、十分広く快適に過ごせる車を、この価格でしかも潤沢な選択肢の中から選べるといったメリットの方が大きい。

これ以上待っても中古車の状態は悪くなっていく一方だし、廃車になっていく中古車が増えていくだけのため、特に平均価格帯の50万円前後でコンディションの良いキューブを狙うなら、今のうちに探した方がいいということだ。

12年以上販売されたロングセラーモデル

箱感のある、シンプルでスクエアなフォルムが時代に受け、大ヒットしたのが2代目キューブ。

3代目は2代目の路線を深化させて2008年11月に登場した。2代目の象徴だった箱感は、角をやや丸められ、無機質な2代目から動物のような愛くるしい見た目に変わった。

日産 キューブ▲ボディだけでなく、サイドウインドウやリアウインドウも角を落とした四角いデザインに。2代目キューブより室内長で+80mm、室内幅で+55mm、室内高で+10mm、後席の膝前スペース+45mm広くなっている
日産 キューブ▲2代目同様、助手席側の後方サイドウインドウはリアウインドウと一体に見えるデザインが採用された。バックドアも2代目同様、横開きとなる

同時にインテリアも、2代目の「自分の部屋感」がさらに推し進められ、リラックス空間が演出された。

「波紋」をデザインモチーフとし、天井やカップホルダーの底、フロントスピーカーグリルなど至るところに波紋のデザインが採用され、それに合わせるようにインパネやシートも曲線で構成されている。

日産 キューブ▲ラウンドしたインパネ形状が採用された。前席はベンチシートで、移動しやすいように運転席と助手席の間のカップホルダー付きトレイは埋め込まれている
日産 キューブ▲シートもラウンド形状が用いられた。ソファのような座り心地やホールド性を備えるため、2代目と比べて座面が厚くなり、背もたれが高くなっている

パワートレインは1.5LエンジンにCVTの組み合わせのみで、2WDの他、4WDには状況によってモーターで後輪を駆動させるe-4WDを採用。

また、デビューと同時に、専用のエアロやマフラーなどを装備したグレードの「ライダー」が設定され、2012年10月のマイナーチェンジでは専用グリルや専用本革シートを備えたグレード「アクシス」も追加された。

日産 キューブ▲専用グリルやバンパーなどを備えたスポーティグレードの「ライダー」

2020年3月までの約12年4ヵ月間販売されたロングセラーだが、マイナーチェンジは一度だけ。エンジンの改良などにより燃費が17.4km/Lから19.0km/L(JC08モード燃費・2WD)に向上したが、内外装のデザインに変更はない。

これ以外には装備の見直しや改良、燃費の向上といった一部改良があった程度で、現代の車では必須と言える衝突被害軽減ブレーキも最後まで搭載されなかった。

このように初期モデルと最終モデルで大きな差のない、希有なモデルと言えるだろう。

デビュー時の車両本体価格は144万9000~192万8850円だった。

オススメのグレード

グレードで最も多いのは、全体の6割近くを占める中間グレードの「15X」とその特別仕様車。一方でスポーティグレードの「ライダー」や「アクシス」は合わせても1割に満たない。

そんな中で今回オススメしたいのは、「15X」の装備を充実させた「15X Vセレクション」だ。

台数こそ全体の3割に満たないが、「15X」と装備内容の差は意外と大きい。例えば、キューブの販売が終了した直後の2020年4月から義務化されたオートライトシステム(夜間やトンネルなどで自動点灯するライト)は、15X Vセレクションには標準装備されているが、「15X」ではオプションでも用意されていない。

さらに、キーを回さずとも始動できるプッシュエンジンスターターや、リモコンでドアロックを施解錠できるインテリジェントキー、フルオートエアコンなどが標準で備わっている。

価格は「15X」と「15X Vセレクション」とで大差はない。新車時は約17万円の差があったが、中古車ではそれがグッと縮まっているし、装備の充実度を考えればお買い得だと言えるだろう。

「15X Vセレクション」の上、最上級グレードの「15G」は障子風シェード付きのガラスルーフ(途中からオプションに変更された)や、アルミホイールが15インチスチールホイールではなく16インチアルミホイールになるなどさらに装備が充実するが、「15X Vセレクション」でも十分快適に使えるはずだ。

また「15X」を中心に、シートに本革が用いられた「コダワリセレクション」や、ライトグリーンのベロア調のシート地を備えた「こもれびグリーンセレクション」、特別なボディカラーを採用した「80th Special Color Limited」など、個性的な特別仕様車が多くラインナップされている。

台数は限られるものの、こうした特別仕様車を選ぶという方法もありだ。

日産 キューブ▲「15X」に設定された「こもれびグリーンセレクション」のインテリア。手ざわりのよいベロアのシート生地が用いられ、シート側面には四つ葉のクローバー模様も描かれている

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日産 キューブ(3代目)×15X Vセレクション×全国

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日産 キューブ(3代目)×特別仕様車×全国

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日産 キューブ(3代目)×全国
文/ぴえいる、写真/日産

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。