ランドクルーザー200▲約14年という長いモデルライフだったランドクルーザー200。中古車としての人気も依然として高い

トヨタ ランドクルーザー200の中古車は今

21世紀に入り、本格四駆ブームは終焉を迎え、SUVもコンパクト化、街乗り化が進む。そうした時代背景の中、登場したのがトヨタ ランドクルーザー200だ。

国産四駆の中でも圧倒的な大きさと存在感や、伝統的な構造に先進技術を組み合わせて実現した類い希な悪路走破性能は、生産終了となった現在も全く色あせていない。

中古車流通量は200台前後あるが、後継モデルであるランドクルーザー300の供給が十分でないこともあり、平均の車両本体価格は約570万円と高値で推移している。

また、フロントマスクが異なる前期と後期で、かなりの価格差が見られる状況だ。

ここではランドクルーザー200の特徴、中古車を選ぶ際のポイントや現在の中古車相場について解説していく。
 

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ランドクルーザー200の特徴と中古車相場

■ランドクルーザー200 DATA
生産期間:2007年9月~2021年8月
中古車流通量:約190台
中古車価格帯:250万~1090万円
全長:4950mm × 全幅:1970mm × 全高:1880~1925mm
 

ランドクルーザー200 ▲ボリューム感のあるマスクが印象的。2012年1月のマイナーチェンジではプロジェクター式ヘッドランプ&LEDポジションニングランプが採用された

■ランドクルーザー200の特徴
国内での競合車だった日産 サファリ(輸出名パトロール)が2007年6月に国内販売終了となり、国内唯一のフルサイズ級四駆となったランドクルーザー200。

ボディサイズは先代のランドクルーザー100より全長、全幅とも大幅に拡大された。

外観はどちらかというとエレガントな路線だった先代から大きくイメージチェンジし、すっきりした造形の中でもたくましさ、カタマリ感が感じられるフォルムに。

大型化ヘッドランプ、フロントグリルからは、押し出しの強さが感じられる。
 

ランドクルーザー200 ▲スペアタイヤをリアゲートに背負うスタイルは先代までで終了。ランドクルーザー200では国内仕様全モデルが荷室下への格納となった

構造では伝統的なラダーフレーム構造を継承しつつ、フロントサスペンションには新たにダブルウィッシュボーン式コイルスプリングを採用。

トーションバー式だった先代に比べて路面追従性が高まり、アンチロール性能などオンロードでのパフォーマンスも向上している。

一方、リアサスペンションはトレーリングリンク・リジッド式コイルスプリングが採用され、オフロードでのストローク量確保と積載性に配慮。熱帯雨林や砂漠など“ランドクルーザーでなければならない”、過酷な使用環境に耐えうる構造となっている。

4×4システムでは前後不等配分(通常走行時・前40:後60)のトルセン式センターデフを用いたフルタイム式を基本に、「マルチテレインセレクト」(2012年1月のマイナーチェンジで採用)や「クロールコントロール」などのハイテクデバイスが組み合わされた。

これは路面状況、走行モードごとに最適なエンジン出力やブレーキ制御を自動的に行うことで、悪路でのイージードライブを可能にする先進的なメカニズムだ。

さらに、上級グレードにはスタビライザーの効果が走行シーンに合わせて調整される「KDSS(日本初のキネティックダイナミックサスペンションシステム)」も採用されている。

ちなみに、KDSSは電子制御でなく、機械的な構造。そのあたりからもランドクルーザー200はトヨタを代表する四駆として、先進性だけでなく、信頼性を重視して開発されたことがうかがえる。
 

ランドクルーザー200 ▲先進性と上質感、オフロード四駆らしい無骨さも表現されたインテリア。トランスファーの操作はレバーでなくダイヤル式となる

ランドクルーザー200は、約14年という長きにわたって生産された。

これは55/56から始まったワイド系ランドクルーザーの歴史においても最長記録だ。

エンジンは当初、先代から引き継いだ4.7L V8ガソリン2UZ-FE型のみを採用。型式こそ先代と同じだが、最高出力は 173kW(235ps)から212kW(288ps)へと大幅に引き上げられた。

モデルライフを通じて国内仕様に設定されたエンジンはV8ガソリンのみで、ディーゼルは最後まで搭載されなかった。

デビューから生産終了までに設定されたすべてのグレードは以下のとおりだ。デビュー当初は「AX」・8人乗りのみのシンプルな構成だったが、年を経るごとに次々と新規グレードが追加されていった。

・「GX」:2010年8月の変更で追加された廉価グレード
5人乗りとし、左右独立温度コントロールフルオートエアコン(他グレードは前後左右独立)、アナログ式オプティトロンメーター、ウレタンステアリング、サイズダウンしたタイヤ&スチールホイールを採用するなど、装備が簡略化されている。

・「AX」:デビューから生産終了まで通して設定された量販グレード
VSC(Vehicle Stability Control)、デュアル&サイド&カーテンシールドエアバッグ、アクティブヘッドレストなどの安全装備、エンジンイモビライザー、オートアラームなどの盗難防止装置を標準装備。

・「AX Gセレクション」:「AX」に様々な装備が追加されたパッケージ
KDSS、VGRS(バリアブル・ギア・レシオ・ステアリング)、木目調+本革巻きステアリングホイール、ヒーター付き本革&パワーシートなどが追加されている。

・「ZX」:2009年4月のマイナーチェンジで追加された最上級グレード。
4-Wheel AHC(アクティブハイトコントロールサスペンション)&AVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)などの先進技術を搭載。装備的にもチルト&スライド電動ムーンルーフ、20インチアルミホイール、HDDナビ&トヨタプレミアムサウンドシステム(18スピーカー)などを標準とする豪華な内容。
 

ランドクルーザー200 ▲2015年8月のマイナーチェンジではフロントマスクを一新。フロントグリルがヘッドランプを貫く個性的な意匠となっている

モデルライフの中で何度もマイナーチェンジ、グレード追加などの変更が行われたが、2009年4月のエンジン変更、2015年8月の内外装デザイン変更は特に大規模だったので、購入を検討している方はぜひ覚えておきたい。

■2009年4月 マイナーチェンジ
【エンジン】
・全車のエンジンを4.7L V8ガソリンの2UZ-FE型から、4.6L V8ガソリンの1UR-FE型に変更。最高出力が212kW(288ps)から234kW(318ps)に、燃費が6.6km/Lから7.1km/L(「AX」・10・15モード)上昇
【エクステリア・インテリア】
・「AX Gセレクション」のエクステリアにメッキパーツ、インテリアにインサイドドアハンドルイルミネーションを追加
【グレード】
・最上級グレードとなる「ZX」を追加

■2015年8月 マイナーチェンジ
【エクステリア】
・フロントまわりのデザインを一新。LEDヘッドランプを採用し、フロントグリルの一部がランプへと連続するデザインに
【インテリア】
・ヘアライン加飾とソフトな表皮を組み合わせたデザインに一新
・オプティトロンメーターに、車の状況が把握できる6眼メーターを採用
【安全性能】
・ミリ波レーダーと単眼カメラを用いた歩行者検知機能付き衝突回避支援型プリクラッシュセーフティをはじめとする、4つの先進安全機能をセットにした衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を採用

なお、2015年8月のマイナーチェンジを境に、前期モデル、後期モデルとする分け方が一般的だ。
 

ランドクルーザー200 ▲ランドクルーザー200は「GX」を除いて全車3列シート・8人乗り。居住空間の広さも国産四駆随一

■ランドクルーザー200の中古車相場
ランドクルーザー200の中古車平均価格(車両本体価格)は約565万円で、上級仕様だった「AX Gセレクション」(前期)の新車時販売価格を上回る水準だ。

販売終了から間もないこともあるが、古い年式も含めたすべての物件における平均であることを考えると、とても高い水準と言えるだろう。

ただし、デビュー時に近い前期型なら、総額200万円台後半から300万円台前半あたりの予算で狙えるものも豊富にある。

装備的には「AX」であっても十分に豪華で、機能的にも不足はない。

低価格帯の物件では、走行距離が10万kmを超えていることも珍しくないが、ランドクルーザー200の耐久性を考えると全く問題にならないだろう。

ちなみに、最廉価グレードとして追加された「GX」の流通量はごくわずか。逆に最上級の「ZX」は流通量が多く、全体の半数ほどを占めている。

外観のイメージがガラッと変わり、新車時の価格も上昇した2015年8月を境に中古車市場の価格帯も大きく上にシフトしており、予算は500万円以上からとなる。

それでも価格帯が上がった新車のランドクルーザー300より当然、リーズナブル。

新車のように納車まで長期間待つ必要なく、すぐに手に入るメリットは決して無視できないはずだ。
 

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※記事内の情報は2021年11月18日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/トヨタ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。