レクサス UX ▲「扱いやすいサイズのレクサス」として人気を集めているレクサス UX。とはいえレクサスゆえに高額なのがネックでしたが、ここ2年で平均価格はずいぶん下がってきました。今からレクサス UXの中古車を買うとしたら、どのグレードを選ぶのが正解なのでしょうか? 具体的に考えてみました!

平均価格が30万円以上も下がり、いよいよ現実的な選択肢に

日本を代表する高級車ブランドであるレクサス。そのプレミアム・コンパクトSUVである「レクサス UX」の中古車相場が今、大きく下がっています。

新車時は、オプション装備代コミの総額で考えるとベースグレードでも500万円以上はした車で、人気のハイブリッド車はオプション込みでざっくり600万円を超える価格だったレクサス UXで、2年前となる2020年4月の中古車平均価格も449.6万円でした。

しかし直近の2022年4月には、中古車の延べ掲載台数が約400台まで増えると同時に、平均価格は413.5万円まで下落しているのです。

レクサス UX▲直近4月の中古車平均価格は、2020年4月に比べ36.1万円も安い413.5万円に。これは過去最安値である
レクサス UX▲延べ掲載台数はぐんぐん増え、現在は400台前後で推移。選択肢もかなり豊富な状況だ

スタイリッシュで高級感があって、なおかつ扱いやすいサイズでもあるレクサス UXが欲しいとは思っていても、そのプライスがネックとなっていた人も多いはず。

しかし、平均価格400万円ちょいまで下がってきたとなれば、レクサス UXも「かなり現実期な選択肢」になってきます。

ということで、もしもこれからレクサス UXの中古車を買うとしたら、どんなグレードをいくらぐらいで探してみるのが得策なのか、細かく検討してみることにしましょう。

レクサス UX▲日本の都市部でも扱いやすいサイズであることが魅力のレクサス UX。写真は最上級グレードのUX250h“version L”

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新世代の車台に2種類のパワーユニットを用意

まずはレクサス UXという車自体について、簡単におさらいしておきます。

2018年11月に登場したレクサス UXは、同ブランドのSUVである「RX」「NX」に次ぐ“末弟”に相当するプレミアム・コンパクトSUV。輸入車であるメルセデス・ベンツ GLAやBMW X1、アウディ Q3などのライバルとなるモデルです。

ボディ外寸は全長4495mm×全幅1840mm×全高1540mmで、これはトヨタのコンパクトSUVである「カローラ クロス」とおおむね似たニュアンスのサイズ感となります(全高はスタイリッシュなレクサス UXの方が8cm低いのですが)。

GA-Cという最新世代のプラットフォームに載るパワーユニットは、最高出力174psの2L直4ガソリンエンジンと、146psの2Lエンジンに109psのモーターを組み合わせたハイブリッドシステムの2種類。駆動方式はガソリンエンジン車はFFのみですが、ハイブリッド車はリアに7psのモーターを積んだ4WDもラインナップされています。

レクサス UX▲「GA-C」という新世代のプラットフォームを採用するレクサス UX。ホイールベース(前後の車輪間の距離)はトヨタ C-HRと同じですが、全長はC-HRよりやや長い4495mm

エクステリアとインテリアは当然ながら高級感のあるもので、レクサス自慢の予防安全パッケージ「Lesus Safety System+」は第2世代に進化したものが採用されています。

グレードはエンジン車である「UX200」とハイブリッド車である「UX250h」ともに、ベースグレードの他に、インテリアの快適性とドライビングサポート機能を充実させた「version C」と、本革シートをはじめとする豪華装備をまとった「version L」、専用デザインのグリルやアルミホイール、スポーツシートなどを備えた「F SPORT」が設定されています。

レクサス UX▲コンパクトSUVでありながら十分な高級感が漂うインテリア。写真はスポーティグレードであるUX250h“F SPORT”
レクサス UX▲予防安全パッケージは「Lexus Safety System+」の第2世代。単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能となっている
 

安くなったということは、「何か問題あり」ということなのか?

さて。そんなレクサス UXの中古車価格がこの2年で大きく下がったのには何か理由があるのでしょうか? 世の中、安いモノというのはたいてい「訳あり」だったりしますので、レクサス UXの中古車も実は「訳あり」で、買わない方がいいシロモノなんでしょうか?

結論から申し上げますと、レクサス UXの中古車は「訳あり」ではなく、普通に買ってもぜんぜん構わない選択肢です。特に故障しやすい箇所があるとか、「見た目はいいけど、実は走りがイマイチ」みたいなことはありません。

ならばなぜ、その中古車価格が比較的大幅に下がったかといえば――答えはシンプルです。

2018年末から2019年初め頃に大量に登録された初期モデルが、2021年末から2022年初め頃にかけて「最初の車検」を迎えました。そして、それを機にレクサス UXの流通量が増えたことで、その平均価格は必然的にやや大きく下落しただけのことなのです。

レクサス UX▲平均価格がやや大きく下がったのは、単に「初回車検のタイミングで乗り替える人が多かったから」というのが主な理由。これといって特にネガティブな要因はないのがレクサス UXという車だ

「常に超最新型のSUVに乗っていたい!」と考える人は別でしょうが、「普通にいい感じのSUVを、普通にお得に手に入れたい」と考える人にとっては、今回のレクサス UXの相場下落は「喜ばしいこと」でしかなく、特段ネガティブな話ではないのです。

そんなこんなのレクサス UXの中古車は2020年5月半ば現在で約220台が流通していますが、その200台以上の中から「どれ」を選ぶのが正解なのでしょうか?

といっても車に求めるものや予算感というのは人それぞれですので、総論ではなく「ニーズ別」に次章以降、考えてみることにしましょう。

 

とにかくレクサス UXの王道を歩みたいなら、「UX250h“F SPORT”」がオススメ!

前述したとおり、レクサス UXのパワーユニットは「2Lガソリンエンジン」と「ハイブリッド」の2種類があるわけですが、流通量はハイブリッドの方が圧倒的に多いという状況です。

具体的には、全220車の中でガソリン車の流通台数は66台と全体の約3割でしかなく、残る7割はハイブリッドです。

市場の評価に基づくのであれば、「レクサス UXの王道はガソリンエンジンではなくハイブリッドシステムである」といえるでしょう。

そして、そんなハイブリッド車の中でも特に流通量が多いのが、スポーティバージョンである「250h“F SPORT”」です。

レクサス UX▲諸事情により写真はUX250hではなくガソリンエンジンのUX200だが、いずれにせよF SPORTは、スポーティな内外装に加えて「アクティブサウンドコントロール」も標準装備されるスポーティグレード

“F SPORT”はスピンドルグリルとフォグランプベゼルがメッシュタイプで、ホイールはダークプレミアムメタリック塗装の18インチ。

インテリアも、シートは専用L texのスポーツシートで、そのカラーも他グレードとは異なるホワイト、フレアレッド、ブラックのF SPORT専用色。

そして足回りもF SPORT専用チューニングということで、とにかくまぁカッコよくてスポーティなグレードです。これこそが、プレミアム・コンパクトSUVであるレクサス UXの“王道”だといえるでしょう。

とはいえ王道だけあって、250h“F SPORT”の中古車価格は決して爆安ではありません。具体的には、「走行3万km台の2019年式を総額430万円ぐらいで狙う」というのがモデルケースとなるはずです。

お安くはありませんが、予算に余裕がある人にとっては良い選択かと思われます。

レクサス UX▲F SPORT専用のディンプル本革ステアリングや、同じく専用の8インチTFT液晶メーターなどが備わるUX250h“F SPORT”の運転席まわり

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できるだけお安くレクサス UXを入手したいなら、「UX250h“version C”」か「UX200“version C”」を!

「UX250h“F SPORT”の総額400万円超えはさすがに高い。もっとお安いのはないのか?」という場合には、同じハイブリッドの250hでも“version C”を選べば、総額370万円前後でいい感じの個体を探すことができます。

また、2Lガソリンエンジンを搭載する200h“version C”も、パワーユニットの魅力はハイブリッドより少しだけ落ちますが、おおむね同程度の予算で探すことが可能です。

レクサス UX▲こちらがレクサスUXの中では中間グレードに相当するUX250h“version C”

もちろん、素のUX250hまたはUX200の方がversion Cよりさらにお安く買えるわけですが、せっかくレクサスのSUVに乗るなら「装備が充実してるやつ」に乗りたいのが人情でしょうし、そもそも素のUX250hおよびUX200はあまり人気がないため中古車の数も激少で、実際は探すことすら簡単ではありません。

それゆえ、きるだけお安くレクサス UXを買いたいという場合のオススメはUX250h“version C”またはUX200“version C”ということになるのです。

レクサス UX▲こちらは「素のレクサスUX」ことUX200。さすがにレクサスゆえ、基本的な装備はすべて標準だが、それでも「高級ブランドのSUVである」という観点からすると、やや残念に感じられる部分も多い

快適装備を充実させた“version C”のシートには、本革に近い風合いで耐久性が高い合成皮革「L tex」が採用されています。そして前席は8Way調整式パワーシートで、シートヒーター付きでもあります。

さらに、LEDフロントフォグランプとLEDコーナリングランプ、雨滴感知式オートフロントワイパー、ステアリングヒーターも標準装備で、運転席・助手席独立温度調整オートエアコンである「レクサス クライメイト コンシェルジュ」は花粉除去モード付き。

アルミホイールのサイズは17インチが基本ですが、オプションの18インチホイールを装着している中古車もあります。

このグレードではオプションだった「三眼フルLEDヘッドランプ」が付いている中古車を、もしも手頃な価格で見つけられたならばラッキーです。

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レクサス UX(現行型)×「UX250h version C/UX200 version C」 ×全国
 

コスパ重視でレクサス UXを選びたいなら、「UX250h“version L”」がオススメ!

「とにかく安いのを!」ではなく、「ある程度の安さは重視したいが、装備レベルやコンディションにもこだわりたい」という場合、つまり「コスパ重視」でいきたい場合には、ハイブリッドの最上級グレードである「UX250h“version L”」の走行1万km台から2万km台ぐらいの個体を、総額410万円前後で探してみることをオススメします。

レクサス UX▲充実した各種装備が魅力的な最上級グレード「UX250h“version L”」

“version L”は、最上級グレードだけあってかなり装備が充実しています。具体的には、シートは本革仕立てで、前席はベンチレーション機能&ヒーター付き。

センタークラスターなどに使われるオーナメントパネルには、しゃれたヘアライン加飾が施されています。

エクステリアでは、ターンシグナルランプとアダプティブハイビームシステム、ヘッドランプクリーナーが備わる「三眼フルLEDヘッドランプ」を標準装備。さらにはITS Connectやハンズフリーパワーバックドア、遮音タイプの撥水機能付きフロントドアガラスなども標準装備となっています。

レクサス UX▲version Lの運転席と助手席は、ベンチレーション機能とヒーターが付く本革シートが標準装備
レクサス UX▲大人気の「三眼フルLEDヘッドランプ(ロー・ハイビーム)&LEDフロントターンシグナルランプ」は、F SPORTとversion Cではオプションだが、version Lでは標準装備となっている

価格の目安が「総額410万円」というのは決してお安くはないかもしれませんが、「これだけの装備レベルである!」ということから考えれば、そのコスパは良好であるといえるはず。

ちなみに、ハイブリッドではなく2Lガソリンエンジンの「UX200“version L”」でもいいのですが、こちらの流通量はかなり少なめであるため、現実的にはハイブリッドのUX250h“version L”に的を絞った方が探しやすいでしょう。

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レクサス UX(現行型)×「UX250h version L」 ×全国

以上のとおり、平均価格がこの2年で30万円下がったとはいえ、まだまだ決して爆安ではないのがレクサス UXです。

しかし、「レクサスの現行世代であり、なおかつ超人気のジャンル=SUVである」ということから考えると、現時点の価格でも十分「安い!」と考えることはできるはず。

ぜひ旬の時期を逃さないうちに、レクサス UXの中古車を検討してみてください。

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文/伊達軍曹、写真/レクサス
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。