ルノー ルーテシア▲昨年11月にデビューした、Bセグメントハッチバックのルノー ルーテシアに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライター・松本英雄がその様子をレポートする

エクステリアから読み取れる、ルーテシアの高い質感

今回試乗するルノー ルーテシアは、フランスでは「クリオ」と呼ばれることを知っている人も多いだろう。

日本名だけ異なる理由は、ホンダの販売チャンネルですでに「クリオ」という名前があったからで、ルノー側は採用できなかったといわれる。だが、そのおかげで日本だけの車名として販売されている。

1990年に初代のルーテシアが誕生し、すでに30年もの歴史があるモデル。今回試乗することになった“ルーテシア インテンス”は5代目となるモデルだ。

まずは試乗の前に外観からチェックしていこう。

エクステリアは、キープコンセプトのデザインだが、先代よりもボディのフォルムに立体的な造形を増やすことで、高級感を演出している。

ドアを開けてインテリアに触れても、ちゃちな印象は本当に少なくなった。コストをかけていることが走らなくても理解できる。今は大衆的なモデルでも、質感の向上は必須な設計要件だ。

フォルクスワーゲン ポロやプジョー 208などのBセグメントの強敵を見ればわかるが、ルノーは質感とデザインに他とは違った工夫がみられる。

しかし、車は運転してみて特徴がわかる工業製品だ。ルーテシアの個性をお伝えしたい。
 

ルノー ルーテシア▲ボディサイドの流れるようなラインも美しい
ルノー ルーテシア▲インテリアパネルやシートパイプなどのカラーもオシャレだ

出だしも滑らかで実用回転域では鋭い加速性能が楽しめる

運転席に乗り込みドアを閉めると、同様のプラットフォームを使ったルノーと同グループの日産のキックスや新型ノートよりも精度が高く、質感の高さを感じさせる。

エンジンを始動すると、4気筒1.3Lターボユニットは競合のドイツBセグメントに比べると静粛性は劣る。

先代のトランスミッションは、乾式タイプのツインクラッチAT(2ペダルMTといわれるDCT同様のミッション)であったが、新型では湿式に変更されている。

アクセルを軽く踏んで発進すると。DCTのようなギクシャク感はなく、通常のATに近い滑らかな発進が可能だ。エンジンの出力も、1.3Lと考えるとかなり力強く感じた。

そこから少し深く踏んで、出力の雰囲気を確かめてみる。ゆっくり回転を上げながら速度を増すと、7速に増えたギアが滑らかかつ、テンポよくシフトアップする。

しかし、必要以上にシフトアップせず、エンジン効率の良い回転数でとどまらせて、いつでも加速体勢に入ることが可能である。

さらにアクセルを深く踏み込み、高回転域も試してみた。低速から中速のフィーリングよりも頭打ちな感じが否めないが、実用回転域ではシャープでビビッドな加速が十分に楽しめる。

歴史的に小型車を得意とする、ルノーらしい質感の高いスポーツハッチバックに仕上がっている。
 

ルノー ルーテシア▲131psを発揮する1.3Lターボユニット
ルノー ルーテシア▲高速域はあまり得意ではないが、実用回転域では必要十分である

高速に入り、複合カーブにさしかかるが非常に安定している。ステアリングの剛性も高く正確にトレースできる。ステアリングの操舵力は3段階変えることができるが、ノーマルで試乗している。

高速コーナーでも、Bピラーから前方は剛性が高くしっかり感がある。

しかし、リアはフロントのあんばいから比べると剛性不足を感じる。車のポテンシャルからすると、もう少し強化してもいいかもしれない。

高速からのブレーキングコントロールは極めてリニアでいい。

ちょっとした山間部も走ったが、中速からのブレーキもコントロールしやすい。ただ低速時のストップ&ゴーは、個体差かもしれないが、操作しづらかった。

今回の試乗は、一日で300kmほどを走破した。

そこで感じたことは、座りっぱなしでも疲れを知らないシートと、しなやかなサスペンションであった。

国産車の同Bセグメントでは、味わうことのできない乗り心地だった。しかし、この一つ上の乗り心地が、ドライバーに安心感を与えるのである。
 

ルノー ルーテシア▲適度なホールド感もあり、座り心地の良いシート
文/松本英雄、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●インテンス

型式 7BA-BJAH5H 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.08m×1.73m×1.47m
ドア数 5 ホイールベース 2.59m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.51m/1.5m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1200kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.14m
マニュアルモード
標準色

ブラングラシエ

オプション色

ルージュフラムメタリック、オランジュバレンシアメタリック、ブルーセラドンメタリック、ブルーアイロンメタリック、ノワールエトワールメタリック

掲載コメント

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型式 7BA-BJAH5H
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ブラングラシエ
オプション色 ルージュフラムメタリック、オランジュバレンシアメタリック、ブルーセラドンメタリック、ブルーアイロンメタリック、ノワールエトワールメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.08m×1.73m×1.47m
ホイール
ベース
2.59m
前トレッド/
後トレッド
1.51m/1.5m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1200kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント -
エンジン型式 H5H 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 42リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1333cc 燃費(WLTCモード) 17km/L
└市街地:12.7km/L
└郊外:17.2km/L
└高速:19.8km/L
燃費基準達成 -
最高出力 131ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
240(24.5)/1600
エンジン型式 H5H
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1333cc
最高出力 131ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
240(24.5)/1600
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 42リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 17km/L
└市街地:12.7km/L
└郊外: 17.2km/L
└高速: 19.8km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。