▲ボルボとしては久しぶりの1000万円級ラグジュアリーカーだ。3列シート7人乗りだが、3列目であっても、170cm以下の乗員であれば前席と同等の安全性を確保しているという点がなんともボルボらしい ▲ボルボとしては久しぶりの1000万円級ラグジュアリーカーだ。3列シート7人乗りだが、3列目であっても、170cm以下の乗員であれば前席と同等の安全性を確保しているという点がなんともボルボらしい

XC90はデザインだけで選べばいいんです

「他のジャーナリストさんからも“デザインだけで選べばいい”と言われました」と、ボルボの広報担当氏は少し困惑したように話す。

個人的には徹頭徹尾スカンジナビアンデザインなこの新型XC90にとって最高のホメ言葉だと思う。エクステリアに派手さはなくとも、グリルとフロント&リアライトにボルボのアイデンティティを見てとることができる。運転席に座り両側のミラーに映り込むサイドパネルを見たとき、奇をてらわずテールランプにめがけてまっすぐに伸びたプレスラインに思わず感心した。美しいだけでなく機能的、車幅感覚が掴みやすいのだ。

インテリアデザインはベントレー出身のデザイナー・ロビン・ペイジ氏の手によるものという。

コンソール中央に配されたまるでタブレットのようなコントロールディスプレイに操作系を集中したことでスイッチ類を極力廃し、ダイヤル類にはベントレーも採用するローレット加工のようなデザインを採用する。また新設計のリモコンキーの表面は、シートやインレイと同じ革やウッド素材で覆われており、細部へのこだわりも徹底している。

これら新世代のデザインは、新開発のプラットフォーム「スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー」による効果も大きいそうだ。

試乗したのは4気筒2Lターボ&スーパーチャージャーのT6エンジン搭載車だったが、もちろん動力性能に不満などない。足回りなどにはまだ硬さが感じられたが、それもいずれこなれてくるだろう。

白眉はなんといっても安全性にある。ぶつからないための予防安全、万一ぶつかってからの衝突安全、これらのいざというときにしか見えない装備面においても世界トップクラスの性能を有している。

そんなわけで、すばらしいインテリアやお墨付きの動力性能&安全装備……ここまでくれば、デザインだけ見て選べばいいのだ。

▲北欧神話のトール神がもつハンマーをモチーフとしたT字型ポジションをもつヘッドライトが特徴的な、虚飾を配した外観デザイン ▲北欧神話のトール神がもつハンマーをモチーフとしたT字型ポジションをもつヘッドライトが特徴的な、虚飾を配した外観デザイン
▲メーター部を12.3インチディスプレイとし走行時に必要な情報を集約。スイッチ類を極力廃し、直感的操作を可能としたシステムを採用する ▲メーター部を12.3インチディスプレイとし走行時に必要な情報を集約。スイッチ類を極力廃し、直感的操作を可能としたシステムを採用する
▲T6エンジンに加え、254psを発生する2LターボのT5を用意。プラグインハイブリッドも導入される ▲T6エンジンに加え、254psを発生する2LターボのT5を用意。プラグインハイブリッドも導入される

【SPECIFICATIONS】
■グレード:T6 AWD Inscription ■乗車定員:7名
■エンジン種類:直4DOHCターボ+スーパーチャージャー ■総排気量:1968cc
■最高出力:320/5700[ps/rpm]
■最大トルク:400/2200-5400[n・m/rpm]
■駆動方式:4WD ■トランスミッション:8AT
■全長x全幅x全高:4950x1960x1775(mm) ■ホイールベース:2985mm
■車両価格:909万円

text/藤野太一
photo/河野敦樹