「スペック重視」「勝利至上主義」に違和感を覚える貴方に贈る1996年式以前のフランス車という選択
カテゴリー: クルマ
タグ: シトロエン / GS / エクザンティアブレーク / 2CV / EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2016/10/10
たとえ微妙に弱くても「好きな選手」で戦いたい
このところなぜかスマホゲーム「プロ野球スピリッツA」を熱心にやっている。実在のプロ野球球団、実在の選手を設定したうえで1年にわたるシーズンを戦うという形のゲームだ。筆者の場合は、贔屓の地元球団である東京ヤクルトスワローズを自チームとして設定している。
だがよくできたもので、チームをスワローズに設定しても、そこに当初所属する選手はスワローズ選手とは限らない。最初のうちは他球団の実在選手ばかりなのだ。スワローズの実在選手を自チームに集めるためには、ゲームを通して様々なポイントを貯めるなり、ゲーム会社にお金を払うなりしなければならないわけだ。
で、筆者はスワローズ選手だけでチームを固めるべく日々コツコツ奮闘しているのだが、その過程で気づいたことがある。スカウティング活動のなかで、ゲーム内で勝利するうえではかなり有利となる人気球団の超一流選手が出てきても、まったくもって嬉しくないのである。
ここでわざわざ名前を挙げるのは恐縮だし、野球に興味がない方はチンプンカンプンかもしれないが、例えば読売ジャイアンツの坂本勇人選手や阿部慎之助選手、ソフトバンク ホークスの内川聖一選手などだ。いずれも球界を代表する超一流選手だが、わたしの場合はとっとと放出してしまう。
その半面、スワローズ選手のスカウトに成功すると、筆者は狂喜乱舞する。
率直に申し上げてこのゲームに登場するスワローズ選手各位の実力を表す数値は、有名人気球団所属の一流選手と比べて低い場合が多い。しかし筆者としては、興味も思い入れもない「強くて有名な選手」で勝っても面白くもなんともないのだ。ゲーム上のこととはいえ「好きな球団・好きな選手」で戦うからこそ楽しいのであり、また、実在のヤクルト球団さんには大変申し訳ないが、率直に申し上げて「弱いチーム」で金満球団の鼻をあかしてこそ、人生は面白いのである。
メジャーな選択が嫌いなら、選ぶべきは往年のフランス車
つまるところ「世の中、重要なのは単純な勝利や数値的なスペックの高さだけじゃないぜ」という話だ。無論、人によってはそこを最重要視するのだろうし、それはそれで悪くない人生選択である。や、むしろ良い選択なのかもしれない。が、世の中には筆者のようなタイプの人間も決して少なくないはずだとは思っている。
で、もしも筆者のようなタイプの人、つまり「メジャーな選択はどうも性に合わん」という人がこれから輸入車を買うとしたら、どんな球団……じゃなかったどんなブランドの、何を買うべきなのだろうか?
まぁそういった人はたいていの場合、すでにこれぞというお気に入りがある場合が多いものだが、もしも「特にコレというのはないんだけど、なんか読売ジャイアンツとか、昔の読売ヴェルディを彷彿とさせるベンツとかビーエムとかって、選ぶ気になれないんだよね……」という人がいた場合、果たして何を選べばシアワセになれるのか? ということである。
様々な正解が考えられるが、筆者が思うのは「20年落ち以上のフランス車なんていいんじゃないですか?」ということだ。
最近はちょっと事情が異なるが、フランス人というのは伝統的にやや非力なエンジンを搭載することを好み、流行りのハイテクもあまり起用しない。デザインも、わかりやすくシュッとしてるイタリア車と比べればかなり「微妙」だろう。おしゃれと言われればそんな気もしないではないが、正直よくわからない造形センスというか。往年のフランス車とは、言ってみれば「メンツ的にあまりパッとしない、スター不在の地元プロスポーツチーム」のようなものなのかもしれない。
その独特なノリが合わない人もいるが、合う人はとことん合うはず
しかしだからこそ、ある種の人間には「これこそがイイんだ!」「これじゃなきゃダメなんだ!」と強く思える、不思議な魅力がそこにはある。カタログに記載されている数値やメカニズム解説だけでは「正直、何がいいのかサッパリわからん」という感じなのだが、いざ乗ってみると妙にしっくりきて、「あ~、なんか知らんけどいいねえ!」となるのだ。
そして非力なくせに、一度スピードに乗ると妙に速い。もちろん腕前次第ではあり、そういった運転を決して助長するものではないが、高速道路の山岳セクションでは、下手くそなドライバーが運転する高出力スポーツカーをぶっちぎることすら可能だ。つまり往年のフランス車とは、「なんだかよくわかんないけど、結論として妙に愛おしく感じられる車」なのだ。
それでも近年のフランス車はかなり汎EU的になり、遠目に見たり運転したりする分にはかなりドイツ車に近くなった。それはそれでもちろん悪くない話で、時代の流れに即した当然の進化ではある。しかし良し悪しは別として、ざっくり言って「今から20年前以上」のフランス車は、独自色が非常に強かった。「フランス車」以外の何物でもなかったのだ。
その独特なノリに波長が合わない人も多いだろうが、合う人は、とことんまで合うはず。そして「何事につけメジャーすぎる選択っつーのはどうにも性に合わん」と常々感じている人は、往年のフランス車が性に合う可能性がきわめて高いと、これまでの経験から筆者は思う。
この話にどこかピンときた人は騙されたと思ってぜひ一度、20年前以上のフランス車を試してみていただきたい。もちろん、文章のリズム上「騙されたと思って」と言ってみただけで、騙すつもりは毛頭ないわけだが。
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