テリー伊藤が断言。「ポルシェ 928は911と違った世界観を味わえるモデルです!」
2022/01/29
911のようなストーリーとは無縁だからこそクールに楽しめる
今回は、「CLASICA」で出合ったポルシェ 928について、テリー伊藤さんに語りつくしてもらいました。
~語り:テリー伊藤~
日本で人気のある腕時計の代表であるオメガ スピードマスター。新品を手に入れるのは大変ですし、中古品も高値で取引されています。
そんなオメガがかつて、スピードマスターのデジタルウオッチをリリースしたのをご存じでしょうか。
当時の雑誌はこのスピードマスターを大々的に紹介しました。ところが、発売直後は時計ファンからはまったく受け入れられませんでした。
僕はこのスピードマスターを1本所有していますが、手に入れたのはディスカウントストアでたたき売りされていたからです。
おそらく当時の時計ファンはクオーツのスピードマスターを認めなかったのでしょう。
今回出合った928は、これと同じ存在だったのだと思います。
多くのポルシェファンは928を敬遠するでしょうが、僕はこれに乗るのはとてもクールだと思いますよ。
ポルシェといえば911が頂点で、余るほどのストーリーが語り継がれています。
911は異型ライトの996ですらファンからはそっぽを向かれたのですから。水冷のV8をフロントに積む928をファンはポルシェと認めなかったのもうなずけます。
でも逆に、僕は928をとてもロマンティックな車だと感じます。
なぜなら911はストーリーがありすぎるから。どのモデルが好きだ、ターボじゃなきゃダメなど、人それぞれ様々な思い入れがあるため、そこから少しでも外れるとたたかれてしまいます。
一方、928は良くも悪くも生産終了となった時点で時間が止まってしまったため、批判されるすべがありません。だからこそ人の目を気にせずこの美しいスタイルを楽しめる。そこがとてもロマンティックです。
テリー伊藤ならこう乗る!
今、一部のファッションブランドではメンズ/レディースという分け方をしなくなりました。デザインも男女どちらにも好まれるユニセックスなものになっています。
ファッションが好きだからということもありますが、僕はこの流れにはあまり賛同していません。
例えば、男性のスーツにはつま先がとがった細身のシルエットの靴が似合います。女性のスーツなどにはハイヒールが似合いますよね。
人をカッコよく引き立てるファッションは、男性と女性で異なるもの。それを男女共用にしてしまうと、どちらの魅力も中途半端にしか引き立てられないと思うのですが……。
ユニセックスなファッションが流行すると、928のようなクールな車は世の中の価値観からは遠ざかってしまうでしょう。
もし僕が928に乗るとしたら、美女と箱根の温泉に行きたいですね。申し訳ないですが、奥さんには家で留守番をしてもらっていて、ハイヒールが似合う美女と訳ありな感じでドライブしたい。もちろん僕はスーツに先がとがった細身の靴を合わせます。
ガラス面が広い928は、外から中が丸見えです。でも、今は流線型の車は注目されませんから、視線は気にならないはず。
928でのドライブは、ムードあるものになるのは間違いありません。
そして、928を手に入れたらもうひとつやってみたいことが。それは、911オーナーが集まるイベントやパーティーに参加すること。きっとみんなどよめきますよ。
中には928をバカにする人もいるでしょう。でも911はお金さえ出せば乗れるけれど、928はそうもいかない。きっとどこかでうらやましく感じるのではないでしょうか。本当は俺も若い頃は928も好きだったんだよな。でも、勇気がなくて買えなかったなってね。
宇宙船のような流線的なボディラインは、今見ても新鮮です。お店では運転席に座らせてもらいましたが、街を走ったときの、ガラス越しに流れる風景がとてもキレイだろうなと感じました。
ひとつだけ手を加えるとしたら、S4に付くリアスポイラーは外します。928の流麗なリアスタイルがスポイラーで見えなくなるのはもったいないですから。
今はビンテージカーがブームになっていて、様々なモデルの中古車相場が上昇しています。でも、928は今以上に相場が上がることはないような気がします。
その意味では、リセールバリューを気にする人は手を出さない方がいいでしょう。
でも、911とは全く違う世界観に興味がある人はぜひ手に入れてみてほしい。そんなモデルですね。
ポルシェ 928
1977年にデビューした928は、911に続く主力モデルにすべく開発されたモデル。エクステリアは上向きに格納されたライトが点灯時に前方に起き上がるポップアップ式のヘッドライトが特徴。デビュー時の搭載エンジンは水冷式の4.5L V8。最終的には5.4LのV8が搭載された。今回取材したのは1987年式の928 S4。搭載エンジンは5L V8で最高出力320psを発揮する。流線型のフロントエプロンやリアスポイラーなどで空力が大幅に高められた。トランスミッションは5MTと4ATが存在。取材車両は5MTになる。
演出家
テリー伊藤
1949年、東京・築地生まれ。早稲田実業高等部を経て日本大学経済学部を卒業。現在、慶應義塾大学大学院の政策・メディア研究科に在籍。「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」「ねるとん紅鯨団」「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。現在は演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。最新刊「出禁の男 テリー伊藤伝」(イーストプレス)が発売中。また、TOKYO MXでテリーさんと土屋圭市さんが車のあれこれを語る新番組「テリー土屋のくるまの話」(毎週月曜26:35~)が放送中。YouTube公式チャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』も配信中。
【関連リンク】
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- 200万円で狙える国産スポーツカーオススメ5選|マニュアル(MT)車も選べる! 中古車価格や流通量を紹介【2024年下半期】
- 【名車試乗】トヨタ セリカ GT-FOUR(6代目)|衰えを感じさせない質の高さをもつWRCが生んだスポーツクーペ
- 自動車ブランドがクラシックカー市場を盛り上げる! 世界の車好きのトレンドは、なんとMT車!?
- 【名車試乗】トヨタ セリカ 1600GT(TA22型)|半世紀の月日を感じさせないカッコよさ! 乗るとすぐに当時の記憶がよみがえってくる
- 【試乗】新型 ジープ アベンジャー|BEVっぽくないBEVというJeepのニューワールドをけん引するコンパクトSUV!
- スズキ スペーシアカスタムをマンガで解説! 大人気スーパーハイト軽はどんな車?【人気車ゼミ】
- ポルシェが“ニュル最速キット”を発売! しかもキット装着済911 GT3の体験も可能!【EDGE Motorsports】
- 【試乗】新型 ルノー アルカナ|このクーペSUVの魅力は燃費のみにあらず! “エスプリ アルピーヌ”のしなやかな乗り心地!
- 【海外試乗】新型 BMW M5|727ps/1000N・mのモンスターサルーン!
- フェラーリのV6を搭載した最強コラボGT! ’71 フィアット ディーノ 2400 クーペ【名車への道】