スーパーGT 2021シリーズチャンピオンの坪井 翔さん「レースが好きすぎて趣味がありません(笑)」
カテゴリー: クルマ
タグ: トヨタ / 86 / スペシャリストのTea Time / 河西啓介
2022/01/27
車で我々に夢を提供してくれている様々なスペシャリストたち。連載「スペシャリストのTea Time」は、そんなスペシャリストたちの休憩中に、一緒にお茶をしながらお話を伺うゆるふわ企画。
今回は、スーパーGT GT500クラスで2021シリーズチャンピオンとなったレーシングドライバーの坪井 翔さんとの“Tea Time”。
語り
坪井 翔
つぼい・しょう/1995年5月21日、埼玉県川越市出身。5歳でカートを始め、多くのシリーズタイトルを獲得。2011年にはフォーミュラトヨタ・レーシング・スクールを受講し、スカラシップを獲得。翌年にはフォーミュラチャレンジ・ジャパンへ四輪デビューし、2年目には初優勝を果たす。2021年のスーパーGT GT500クラスでは、TGR TEAM au TOM'Sに所属し、関口雄飛選手とともにシリーズチャンピオンを獲得した。
スーパーフォーミュラとスーパーGTの2冠が目標
2021年シーズンはスーパーGT GT500とスーパーフォーミュラ、国内レース最高峰の2カテゴリーに参戦し、スーパーGTでは最終戦で優勝、シリーズチャンピオンを取ることができました。
ほぼ無理だろうと諦めかけていたところからの大逆転でチャンピオン。実力というより「あれ? 取れちゃった!?」という感じでしたが、とはいえ国内のトップカテゴリーで勝てたということは自信になりました。
一方、参戦3年目のスーパーフォーミュラの方は浮き沈みが激しいので(2020年はシリーズ3位、2021年は15位)、2022年は安定した走りでチャンピオン争いができるようになりたいですね。
当面の目標は、スーパーGTとスーパーフォーミュラのタイトル2冠を取ること。ぜんぜん違う車だから難しいことかもしれませんが、がんばって目指していきたいと思います!
愛車はGRヤリス。でもあまり乗りません(笑)
5歳で初めてカートに乗り、それからずっと父と母と3人でサーキットに通う日々でした。
父は車好きですがレース関係者じゃないですし、母は車なんか興味ないのにすっかりカート整備ができるようになって(笑)。
当時は「走ったら勝つ」というくらい負け知らずでしたが、13歳でトヨタのスカラシップに合格してフォーミュラに乗るようになったら、ぜんぜん上手く走れなくて。初めての挫折でしたね。
当時、一度トヨタのドライバーをクビになってるんです(苦笑)。それだけに2021年、トヨタの名門チーム「TOM'S」のドライバーとして優勝できたのは夢のようでした。
プライベートでは、あまり車には乗りません。今日も電車で来ました(笑)。レースでさんざん乗っているから休みの日まで乗らなくても……というのもありますが、乗ったらアクセル踏みたくなっちゃうし、渋滞嫌いだし、だからと言って前の車を抜いて行くわけにもいかないし。
愛車はトヨタ GRヤリスですが、ノーマルエンジンの「AT車」です。もちろんいい車ですが、移動手段として乗るだけで、ドライブにはまったく行かないですね。友達も少ないし、休日は完全に引きこもりですよ。
寝られるだけ寝て、起きたらNETFLIXで映画とか見てダラダラ過ごす。もちろん1日パジャマから着替えません(笑)。
レースは五刀流、性格は二重人格?
趣味を見つけたいんですけど、レースが好きすぎて、他に熱中できるものがないんです。子供の頃からですね。レースは仕事という感覚じゃなくて、どんなレースでも楽しいし、あらゆるカテゴリーに出たい。
今はスーパーGT、スーパーフォーミュラに加えてスーパー耐久、インタープロト、86/BRZレースの“五刀流”です。
ほとんど毎週のようにレースがあるから、年間30~40戦は走ってるんじゃないかな。テストも含めるとシーズン中はずっとサーキットにいる感じです。だから“趣味がレース”になっちゃうんですが。
休みの過ごし方もなんですけど、とにかくオンとオフの切り替えというか、違いが極端なんです。ふだんはボーッとしてるんですが、ハンドルを握ると性格が変わるって、周りの人からよく言われます。
レース中はいつも「オレの前を走るなっ!」ってくらいのテンションですし、ピットとの無線でもエキサイトしまくりです。いつものノホホンとした僕しか知らない人には、それがコワく見えるようで。自分でも「もう一人のオレ、いるのかな?」と思いますけど(笑)。
でもヘルメットを脱ぐと途端にスイッチ切れて、ヨワヨワになっちゃうんです。レース中は「後で文句言ってやる!」と思っていた相手にも、「あ、おつかれさまでした~」みたいな。どっちが本当の僕なんだろう(笑)。
インタビュアー
河西啓介
1967年生まれ。自動車やバイク雑誌の編集長を務めたのち、現在も編集/ライターとして多くの媒体に携わっている。また、「モーターライフスタイリスト」としてラジオやテレビ、イベントなどで活躍。アラフィフの男たちが「武道館ライブを目指す」という目標を掲げ結成されたバンド「ROAD to BUDOKAN」のボーカルを担当。
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