ダイハツ ムーヴキャンバス▲今や軽自動車でも最新モデルなら衝突被害軽減ブレーキだけでなく、ハイ/ロービームの自動切り替え機能など最新の便利機能もたくさん用意されている。それだけに、「届出済未使用車」を購入する際は、それらの機能の有無を確認することが大切だ

新車と違い、すぐ乗れる! 新車の香りもする「届出済未使用車」

新車が欲しいけれど、新型コロナの影響で部品や完成品の製造がストップし、納車が遅れるというケースが増えている。やむなく中古車を検討する人もいるだろうが・・・諦めるのはまだ早い!

なぜなら中古車マーケットには、新車とほぼ同じ「届出済未使用車」があるのだから。

実は、展示車両にするためなど様々な理由から、新車状態の車を販売店の名義で陸運局に登録のみをすることがある。しかし車は一度でも登録してしまうと、たとえ未使用であっても法律上は「中古車」扱いとなるのだ。こうした走行距離100km以下の中古車を「届出済未使用車」という。(普通車の場合は「登録済未使用車」となる。また、俗に「新古車」や「未使用車」とも呼ばれるが、それらは正式な呼称ではない)

中古車といっても走行距離がわずか100km以下、というか1ケタkm以下なんていうのもザラにある。シートに新車時のビニールが被っている車も多い。いわゆる「新車の香り」もする。

しかも店頭などに「現車」としてあるので、あとは登録作業(購入者への名義変更等)をすれば、すぐに愛車にできる、中身は新車とほとんど変わらない中古車なのだ。

そんな「届出済未使用車」の中から、今回はバリエーション豊かなハイト系軽自動車を紹介しよう。

ちなみに、「届出済未使用車」はすでに工場から“出荷済み”のため、購入する際にボディカラーの指定やサンルーフなどのオプション設定はできない。

だからこそ掲載台数は大事。これから紹介する5モデルは執筆時点でカーセンサーの掲載台数も豊富なので、そうした選択の幅も広がりやすいはずだ。

オススメ① ダイハツ ムーヴキャンバス(現行型)
かわいいだけじゃなく、使い勝手もバツグン

ダイハツ ムーヴキャンバス▲両側電動スライドドアをL SAIIIを除く全車に装備。2018年9月の改良以前はスマアシIIIを省いたモデルも用意されていたが、現在では全車に標準装備されるようになっている。なおターボエンジンを搭載するモデルの設定はない
ダイハツ ムーヴキャンバス▲後席は左右別々にスライド&リクライニング可能。取り外して洗濯できる6種類のシートカバーがオプションで用意されている

フォルクスワーゲン タイプII(いわゆるワーゲンバス)と違い、フロントにボンネットはあるけれど、かわいらしさは通じるものがあるムーヴキャンバス。メインターゲットを女性に据えて2016年9月に登場した。後席座面下に置き台のようなスライド式収納を備え、1人での買い物時などに、運転席からサッと荷物を置きやすい&取りやすいなど、見た目だけでなくターゲットの使い勝手を考えた様々な工夫が備わっている。

運転に不安を感じる女性への対策も充実している。当初、衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能を含むスマートアシストII(スマアシII)を装備していたが、2017年9月にスマートアシストIII(スマアシIII)へと進化。歩行者も衝突被害軽減ブレーキの対象となった他、ハイ/ロービームを自動で切り替える機能も備わった。

また駐車が苦手な人に便利な、自車を俯瞰で見られるパノラマモニターを同社で初めて採用。さらに夜間の曲がり角などで、曲がった先を照らしてくれるステアリング連動ヘッドランプが軽自動車で初めて用意された。これらの装備の有無を購入時に確認するといいだろう。

デビュー時の車両本体価格は118万8000~166万8600円。それが「届出済未使用車」なら、走行距離1ケタkmでも支払総額約100万円から選べる。

▼検索条件

ダイハツ ムーブキャンバス(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国

オススメ② スズキ ワゴンR(現行型)
さすが軽の王者! 充実した機能&軽トップレベルの低燃費

スズキ ワゴンR▲写真の上下2段のグリル&ヘッドライト(ハイブリッドFZ)タイプと、四角いヘッドライトのタイプ(ハイブリッドFX/FA)、押し出し感の強いフロントグリルのタイプ(スティングレー)と、3つのエクステリアデザインがある
スズキ ワゴンR▲エクステリアの違いに関わらず、インテリアの基本構成は共通。ただしスティングレーはブラックが基調など、エクステリアに合わせて色が異なる。ヘッドアップディスプレイ(オプション)やアンブレラホルダー(全車標準)など軽自動車初の装備も用意された

最近はスライドドアを備えるハイト系に押され気味だが、それでも根強い人気を誇るのがワゴンRだ。カーセンサーでもハイト系2台に継いで人気ランキング3位(原稿執筆時点)に入る。そんなワゴンRは2017年に現行型へ切り替わったが、その際にひとつに絞って平凡なデザインになるよりはと、個性の強い3つのエクステリアバリエーションを用意した。

エンジン+モーターのマイルドハイブリッドモデルを用意した他、先進安全機能も衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能などを備えた。さらに、対向車の有無に応じてハイ/ロービームを自動で切り替える機能も用意。なお、これらの先進安全機能はオプション設定や、逆に省くオプション(その分安くなる)設定があるので、購入時に有無を確かめよう。

2019年12月には、安全機能に後退時の衝突被害軽減ブレーキや後方誤発進抑制機能を追加。同時に軽快感のある新エンジン&新CVTに切り替えたのだが、カタログの燃費数値はちょっぴりダウン。とはいえマイルドハイブリッドの最高値は31.0km/L(JC08モード)と、軽自動車としてはトップレベルだ。

デビュー時の車両本体価格は107万8920~177万9840円。支払総額で90万円を切る「届出済未使用車」もある。台数的にはフロントグリルが2段になっているモデルが半数以上を占める。なお、マツダでもフレアという名で販売されているが、執筆時点では「届出済未使用車」の掲載はなかった。

▼検索条件

スズキ ワゴンR(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国

オススメ③ スズキ アルトラパン(現行型)
個性的なデザインや機能に磨きがかかった

スズキ ラパン▲2019年の安全装備の充実化に合わせて、グレードのGとLにオートライト(自動点灯/消灯)システムが装備された。燃費は最高35.6km/L(JC08モード)。ターボ車はなく、トランスミッションは滑らかなCVTと2ペダルMT(AT免許でOK)の5速ASGがある
スズキ ラパン▲「ドアが開いてます」や「パーキングブレーキがかかってます」と音声で知らせてくれる機能をグレードのXとSに装備。上位グレードのXは、肌や髪に優しいナノイーエアコンが備わる

3代目ラパン(正式名称はアルトラパン)は、初代から貫いている「女性ターゲット」をさらに強化して2015年に登場した。スクエアなデザインは歴代同様だが、少し丸みを帯び、隠れミッキーならぬ隠れウサギ(ラパンはフランス語でウサギ)が、旧型より数は減ったがフロントグリルやメーター内などに潜む。インテリアは「わたしの部屋」をコンセプトに明るい色調でまとめられている。

駐車時に便利な自車を俯瞰で表示する全方位モニターを、BluetoothやUSBでスマホの音楽が聴けるカーナビとセットオプションで用意。メーター内には、クリスマスや誕生日など特定の日を文字情報やアニメーションでお知らせしてくれる。

当初から全車に標準装備されていた衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能は、2019年6月から「スズキセーフティサポート」に進化。後退時の誤発進抑制機能やハイ/ロービームの自動切り替え機能、標識を認識して逆走や速度超過時に警告する機能が備わっている。

デビュー時の車両本体価格は107万7840~149万2560円。支払総額で100万円を切る「届出済未使用車」もある。

▼検索条件

スズキ アルトラパン(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国

オススメ④ スズキ ハスラー(現行型)
アウトドアを徹底的に楽しむための個性派モデル

スズキ ハスラー▲4WD車は、ぬかるみなどからの発進をスムーズにするグリップコントロールや、急な下り坂を一定速度で下りていけるヒルディセントコントロールを装備
スズキ ハスラー▲後席は背もたれを倒すと座面も沈み込むので、ラゲージと水平でフラットな空間にできる。助手席の背もたれを倒せば長尺物の積載も可能だ。後席にも左右別々にカップホルダー付きテーブルが備わる

同社のジムニーのように本格派4WDではなく、かといって積雪地域用の簡易な四駆でもない、アウトドアライフを楽しむための軽クロスオーバーという新ジャンルを開拓したハスラー。2019年12月に登場した2代目もそのコンセプトを踏襲した。

ラゲージ床やラゲージ床下のアンダーボックス、倒した際に床となる後席の背もたれ背後を、汚れや水分を拭き取りやすい素材とするなど、アウトドアを楽しむ際にうれしい工夫がいくつも備わっている。荷物が増えてラゲージがいっぱいになりそうなときは、ラゲージ側から簡単に後席が倒せる。前席も倒してクッション性のあるシートを敷けば大人2人での車中泊も可能だ。

夜間の歩行者も検知する衝突被害軽減ブレーキや、ハイ/ロービームを自動切り替え機能、標識を認識して逆走や速度超過時に警告する機能などを含む「スズキセーフティサポート」を全車に標準装備(ハイブリッドGには非装着車も用意されている)。ノンターボまたはターボエンジンにモーターを加えたマイルドハイブリッドシステムを全車に搭載する。

デビュー時の車両本体価格は136万5100~174万6800円。支払総額約135万円から見つかるので、ちょうど新車時の諸費用分安くなっている感じだ。なおマツダでもフレアクロスオーバーとして販売されているのだが、執筆時点のカーセンサーでは「届出済未使用車」の掲載はなかった。

▼検索条件

スズキ ハスラー(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国

オススメ⑤ 日産 デイズ(現行型)・日産 デイズ(旧型)|三菱 eKワゴン/三菱 eKクロス(現行型)
半自動運転技術を備えた最先端の軽自動車

日産デイズ▲ボディデザインはノーマルモデルと、スポーティなハイウェイスターの他、個性的なフロントマスク&専用インテリアを備えたボレロの3タイプが用意されている。写真はハイウェイスター
日産デイズ▲同社が先鞭をつけた自車を俯瞰できるアラウンドビューモニターに、駐車時に自車に近づく歩行者や自転車などを表示&警告音で教えてくれる移動物検知機能がオプションで用意された
三菱 eKワゴン▲写真の三菱 ekワゴン(現行型)は日産 デイズ(現行型)と内外装のデザインが異なるものの、中身はほぼ同じ。この車のSUVテイストモデルが三菱 ekクロス(現行型)だ

2019年3月に2代目に切り替わった日産デイズ。同社のセレナやエクストレイルなどに搭載されている半自動運転技術「プロパイロット」が初めて採用された。プロパイロットとは、衝突被害軽減ブレーキや全車速追従型クルーズコントロール(アダプティブクルーズコントロール)、車線中央を走るよう車が自動でステアリング操作を行うといった機能のパッケージだ。

プロパイロット搭載車にはグレード名に「プロパイロットエディション」と入る他、一部グレードはオプションで選べる。ただし、プロパイロットはすべて「ハイウェイスター」のグレードに限られる。

もちろん、その他のグレードも衝突被害軽減ブレーキや、不注意で車線をはみ出そうとすると警報とともに車線内に戻すよう車がステアリング操作を支援する機能、前後誤発進抑制機能、ハイ/ロービームの自動切り替え機能といった先進安全機能が標準で備わる。ただし、グレードによってはこれらの機能を個別に省くオプションがあるので、中古車の購入時には有無の確認が必要だ。

なお、同時期に発売された三菱eKワゴンと、そのSUVテイストモデルのeKクロスにも同様の機能が備わるが、プロパイロットに当たる「MIパイロット」は"G"グレードにオプションで用意されるのみとなる。

デビュー時の車両本体価格は127万3320~177万8760円。「届出済未使用車」では支払総額約110万円から探せる。一方、eKワゴンは支払総額約90万円から、eKクロスは約120万円から見つかる。台数はデイズ=eKワゴン+eKクロス、といったところだ。

▼検索条件

日産 デイズ(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国

▼検索条件

日産 デイズ(旧型・初代)×登録(届出)済未使用車×全国

▼検索条件

三菱 eKワゴン(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国

▼検索条件

三菱 eKクロス(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国
文/ぴえいる、写真/ダイハツ、スズキ、日産、三菱

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。