スズキ セルボ▲鋭い眼光で力強さが表現されたセルボ。サイドのキャラクターラインがシャープな印象を与えている

スズキ セルボの中古車は今

2006年、8年ぶりにその名が復活したセルボ。

初代から続くスペシャリティ感を継承しながら、最新技術で誰でも気軽に走る楽しさを味わえるモデルに仕上げられた。

ちょうど同じ時期に発売されたダイハツ ソニカとともに、軽トールワゴン全盛の世の中に新たな価値観を提示した意欲作と言えるだろう。

2007年10月に追加された「SR」は、そんなセルボの世界観を象徴するグレードとなった。

2011年の生産終了から10年あまりが経過しており、中古車流通量300台を切っている。ただし、予算20万円からの選択肢もあり、お得な軽自動車としても価値あるモデルとなっている。

ここからはセルボの特徴や中古車相場について紹介する。
 

セルボの特徴と中古車相場

■セルボ DATA
生産期間:2006年11月~2011年1月
中古車流通量:約280台
中古車価格帯:10万~80万円
 

スズキ セルボ ▲全高は利便性、居住性、走行性などをバランスさせた結果、立体駐車場に収まるギリギリの高さに収められている

■セルボ の特徴
2000年代前半、軽自動車はスズキ ワゴンRやダイハツ ムーヴといった軽トールワゴンが栄華を極めていた。

そんな中、軽自動車メーカーは一般的な立体駐車場に収まるサイズ感のもので新たなジャンルを世に送り出す。そのひとつとしてスズキが開発したのがセルボだ。

セルボはもともと1977年にパーソナル軽クーペとして登場。その後、スポーツグレードも設定され、スペシャリティ感あふれるモデルとして若者を中心に支持された。

その後、1998年9月に一度生産が終了するが、8年ぶりに名称が復活。往年のセルボ同様にスポーティで高級感のある軽スペシャリティとして登場した。
 

スズキ セルボ ▲ダッシュボードはなだらかなS字を描いている

全高はFF(フロントエンジン・前輪駆動)で1535mm、4WDで1545mmと、立体駐車場に入るサイズ感になっている。

縦長の大きなライトと、フロントバンパーからルーフにかけて一直線にラインが続くシャープなワンモーションフォルムが特徴的だ。インテリアはダッシュボード上部がS字を描く動きのあるデザインになっている。大きなインパネボックスなどには、上質さを感じるシボが配置された。
 

スズキ セルボ ▲「Gリミテッド」はエアロパーツでスポーティな印象が高められた

搭載エンジンは54psを発揮するNA(自然吸気)エンジンと60psを発揮するターボが用意され、どちらも4速ATが組み合わされる。シフトノブはゲート式で、マニュアル車感覚で運転できるモードも設定された。

2007年6月にはフロント、リア、サイドのアンダースポイラーとルーフエンドスポイラーを装着した特別仕様車の「Gリミテッド」を追加している。
 

スズキ セルボ ▲2007年に追加された「SR」。写真はセットオプション装着車でドアミラーにウインカーが内蔵されている

2007年10月には走りを磨いた上級グレードの「SR」が満を持して登場した。「SR」は日本初となる直噴ターボとCVTを組み合わせたモデル。最高出力を軽自動車自主規制上限の64psにまで高めながら、10・15モードで23.0km/Lという低燃費を実現したスペシャルグレードだ。

CVTには7速マニュアルモードを搭載。さらに、フロントストラットのロッド径を大型化するとともに前後サスペンションもSR用にセッティングし直したことでスポーティな走りを楽しむことができる。
 

スズキ セルボ ▲「SR」には新開発のタイヤも奢られるなど軽トールワゴンでは味わえない走りにこだわった

デザインは、専用の前後エアロバンパーとフロントグリルを採用。そしてライト点灯時に、周囲を青色の光が包むクリスタル調ディスチャージヘッドライトを採用してスポーティさと高級感を表現している。

インテリアでは、シルバーステッチを施した本革巻ステアリングが採用された。また、セットオプションで本革と人口皮革を組み合わせたシート、オートライト、ウインカー付きのドアミラーが用意されるなど、最上級グレードらしいこだわりを感じることができる。
 

スズキ セルボ ▲「SR」のリアシートは左右独立してリクライニングできる機構が備わる

セルボらしいスポーティさを楽しみたい人にとって「SR」は最も注目すべきグレードになるが、このセットオプションが付いたものが見つかれば、さらに満足度は高くなるはずだ。

■セルボの中古車相場
セルボは生産期間が4年強と短めだったこともあり、途中でデザインを大きく変更するマイナーチェンジは行われていない。

発売されていた時期が軽トールワゴンの最盛期だったことも重なり、当時はセルボの注目度があまり高くなかった。それらの理由から、中古車流通量は300台弱と多くはない。

総額30万円以下の最安値帯にあるのはNAエンジンを搭載するベースグレードの「G」が中心。走行距離は10万km前後のものが多いが、まれに走行5万km程度で修復歴もない物件が混ざっている。トレジャーハンティング感覚で探してみるのも楽しそうだ。

「G」はABSがオプション扱いだったので、物件を探す際は事前にABSが付いているかを確認するといいだろう。

2007年に登場した特別仕様車の「Gリミテッド」の流通台数は40台ほどで、価格帯は総額20万~50万円。アンダースポイラーがグッと雰囲気を高めており、スポーティな見た目を楽しみたい人にオススメだ。

ターボモデルだと「T」の流通量は少ないため、アンダースポイラーなどが装着される「TX」が本命になる。流通台数は60台ほどで、価格帯は総額30万~70万円。総額50万円以上のゾーンでは、走行距離が比較的少なめのものも見つけられる。

セルボを狙ううえで忘れてはならないのが、スポーティグレードの「SR」だ。流通台数はセットオプションが付いたものを含めて30台強とかなり少ないが、セルボらしい走りを味わうなら絶対に探してほしい。

価格帯は総額30万~80万円。まだ走行距離5万km以下のものが手に入れられる今が買い時かもしれない。
 

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※記事内の情報は2021年6月20日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/スズキ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL