スバル インプレッサG4▲スバルの新世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM」を投入し、安全性と質感が向上されており、一目見ればスバル車だと分かるデザインも魅力だ

ようやく150万円の壁を越え、お手頃感が増してきた

中古車相場が高値で推移しているSUBARU車にあって、今、現行型インプレッサG4が狙い目となっている。

現在も新車で買える現行モデルでありながら、順調に寝落ちが進み、より手が届きやすくなってきているのだ。

下記グラフをご覧いただきたい。

2021年初頭までは、150万円台で推移していた平均価格が、3月に初めて150万円を下回り、以降140万円台で推移するようになったのだ。
 

スバル インプレッサG4

デビューから5年目を迎え、次期型モデルのウワサもささやかれるようになってはいるが、2021年秋の時点で中古車としての魅力が劇的に増しているのは間違いない。

この狙い目となったタイミングで、改めて現行型インプレッサG4の魅力に迫っていこう。
 

▼検索条件

スバル インプレッサG4(現行型) × 全国

インプレッサG4はどんな車なのか?

現行型インプレッサG4が〝中古車として狙い目〟になっているポイントを挙げると以下の通りとなる。

①SGPと呼ばれる新世代プラットフォーム車の性能と乗り味は初期型でも秀逸

まず、現行型インプレッサG4について簡単に振り返ると、発売されたのは2016年秋。SUBARUが社運をかけて開発した新世代プラットフォームSGP(SUBARU GLOBAL PLATFORM)の採用第1弾として、5ドアハッチバックのインプレッサスポーツと同時にデビューした。

SGP採用のメリットを簡単にまとめると「乗り心地を含めた走りの質感(動的質感)と、衝突安全性のレベルが格段に高まった」ということに尽きる。
 

スバル インプレッサG4

走りの質では、ステアリング操作に対する迅速かつ正確な反応が得られることにより、走行中に乗員(ドライバーのみならず、乗車する全員)が感じられる心地よさのレベルが飛躍的に向上。

修正舵を入れる機会の激減により、同乗者の疲れや酔いも軽減。路面状況を問わず乗り心地がよいのに加え、このクラスの国産中古車としては不快な振動や騒音が少ないのも大きな特徴だ。

また、徹底した高剛性化とさらなる低重心化により、優れた危険回避性能を備えている点にも注目したい。SUBARUは昔から能動的な安全性への追求にも意欲的で、SGP車では突然の危険に対してステアリングを切った際に抜群の応答性と安定性が得られる性能をさらに底上げした。

長年にわたり車の運動性能を磨いて事故を防ぎやすい車づくりを目指してきた結果、SGP車は能動的な安全性レベルも大幅に引き上げられている。

これらは、2016年式の初期型に今乗っても十分に感じられるなど、SGPがもたらす乗り味の良さは、中古車になっても色あせないことは確認済みだ。

もちろん、多走行車ではそれなりに劣化が見られるが、走行距離が多少延びていても、サスペンションのダンパーなど消耗品を交換すれば甘美な走りがよみがえりやすい。基本的に車体の耐久性が高いので、これから10年以上乗り続けたい人にも強くオススメできる。
 

スバル インプレッサG4▲シンプルながら取り回しのしやすい内装は、安全かつ心地の良い運転に一役買っている

②能動的、受動的の両面で世界トップレベルの安全性

SGPの魅力は前述した同的な質感と能動的な安全性の高さに加え、受動安全性が突出して高いことも注目だ。

衝突安全性については旧世代のプラットフォーム車でも国際的な評価が高かったが、SGP車は車体の強度アップやフレームワークの最適化などにより、衝撃を効率的に吸収するボディ構造を実現。定評のある衝突安全性能をさらに進化させている。

米国IIHSの2017年安全評価で最高評価「トップセーフティピック(TSP)+」を獲得、欧州の2017年ユーロNCAPにおける最高評価「ファイブスター」獲得全車中トップとなる「ベスト・イン・クラス・セーフティ賞」をスモールファミリーカー部門において受賞、2018年度JNCAP予防安全性能評価では最高ランクのASV+++を獲得するなど、国内外での安全テストでも常にトップ評価を獲得している。
 

スバル インプレッサG4▲スバル初となる歩行者保護エアバッグも標準装備されている点も見逃せないだろう

また、定評のある運転支援システム「アイサイト」は全車ver.3を搭載。現行型レヴォーグに搭載されるアイサイトXと比べると1世代前のシステムにはなるが、オートクルーズ作動時の自動アクセル/ブレーキ制御の自然さでは今もなお世界トップレベルにあり、数年先を見越しても十分に実用的と言える。

なお、2019年11月以降に発売された後期型(アプライドD型以降)からアイサイトは「ツーリングアシスト」付きに改良され、オートクルーズ作動の上限速度がメーター読みで135km/h(実際は120km/h強)まで引き上げられるなど、高速巡航時のドライバー疲労軽減効果がさらに高くなっている。

中古車とはいえ、現行モデルらしく様々な安全装備をこの価格で手に入れられるのは、バリューが高いと言えるだろう。

③国内市場に流通する中型セダンはなくなる方向にある中、貴重な存在に

インプレッサG4は5ドアハッチバックのインプレッサスポーツとほぼ同じ車であり、基本的にはボディ形状しか違いはないが、国内市場では基本的にセダンが不人気ということで、販売台数ではハッチバック車の数分の1以下という惨状が続いている。

そのため、ハッチバック車のインプレッサスポーツには設定されるハイブリッドシステムのe-BOXER搭載車やスポーティグレードのSTIスポーツが設定されないなど、発売語のグレード展開は寂しい限り。

もしかすると、NAエンジンを搭載するインプレッサのセダンとしては現行型が最後になるかもしれず、セダンが好きな人はその点にも注目してほしい。とはいえ、一定数セダンファンは存在し続けるため、もしも次期型でセダンが未設定となれば、基本的な流通台数が多くない分、相場が上がることも予想される。

また、G4にはセダンボディならではのアドバンテージも備わる。

流麗でありながらエッジの効いたダイナミックなシルエットにより、空力性能はハッチバックボディよりもさらに高くなっているのだ。

ボディ後半部分の剛性についても構造上はハッチバックより有利なので、長く乗り続けることを想定するとより好ましい選択だと言える。
 

スバル インプレッサG4▲細かいところでは、セダンのG4はリアクオーターガラスをドアに組み込むことでハッチバック車よりリアドアの開口部が大きくなっており、乗降時の頭上空間に少し余裕がある点も見逃せない。チャイルドシートの積み降ろしもしやすくなっており、実はファミリーカーとして優れた一面もあるのだ

オススメはお得感の高い前期型の2.0i-S アイサイト

そんなわけで、現行型インプレッサG4は相場が下がった今、中古車としてとても狙い目にあるが、その中から筆者がオススメしたい物件を紹介しよう。
 

スバル インプレッサG4

現行型インプレッサG4は、1.6L/2.0Lの2種類のエンジンと、それぞれにスタンダードな「i-L」と上級な「i-S」の、実質4種類しか選択肢がなく、グレード展開はとても寂しい。

前述した車としての基本的な魅力は、2019年9月登録までの前期型でも十分に味わえるため、やはり狙い目となるのは相場が安くお得感の高い前期型。

そして、エンジンは2.0Lがオススメだ。高速の合流時などには、1.6Lとの明確な加速力の違いを感じられるにもかかわらず、燃費差はほぼなく、自動車税も同額となるためだ。

2.0Lエンジン車の中でも、装備充実の「i-S」がオススメとなる。

また、現行型インプレッサG4の場合、一般的なFF車のメリットである軽さや低燃費といったメリットがあまりなく、言い換えればAWDのネガが極めて少ないため、悪天候下での安全性がより高いAWDを推したい。

つまりまとめると、「前期型 2.0 i-S 4WD」が、今一番オススメしたい物件だ。

この条件で検索すると、20台ほどの物件がヒットし、走行距離5万km以下のものでも総額150万円以下からヒットする。
 

▼検索条件

スバル インプレッサG4(現行型)×前期型 ×2.0i-S アイサイト ×4WD×全国

一方で、高速はあまり走らず街乗りが中心という人なら、思い切って車両本体価格の安い1.6Lを選ぶのもありだ。

ただし、前期型には「i-S」モデルがなく装備がやや劣る「i-L」のみしか設定されていなかったため注意してほしい。

前期型 1.6i-LのAWDで検索すると、こちらも20台程度の物件がヒットし、走行距離2、3万km程度のものが総額110万円程度から見つかる。
 

▼検索条件

スバル インプレッサG4(現行型)×前期型 ×1.6i-L アイサイト ×4WD×全国

▼検索条件

スバル インプレッサG4(現行型)×全国
文/マリオ高野、写真/スバル
マリオ高野

ライター

マリオ高野

1973年大阪生まれ。スバル ヴィヴィオを買ったことにより運転の楽しさに目覚め、インプレッサWRXも立て続けに新車で購入(弱冠ハタチ)。新車セールスマン、車両回送員、ダイハツ期間工、自動車雑誌の編集部などを経てフリーライターとなる。27年目のWRXと、GJ3型インプレッサG4 1.6i(5速MT)の2台が愛車の生粋のスバリスト。