日産 リーフ ▲日本を代表するピュアEVの日産 リーフ。現行型は2代目となりますが、ついに値上げの足音が聞こえてきました……

原材料費や物流費などの高騰に伴い、とうとう値上げを発表……

燃料代の高騰という側面だけでなく、自然災害の多い日本において非常用電源にもなり得る電気自動車の注目度は日に日に高まっています。

量産の電気自動車が登場した当初はまだまだ実用化は難しいという声が大半でありましたが、バッテリーの容量や寿命も飛躍的に向上しており、自宅で充電ができる環境を整えることができるユーザーを中心に注目が集まりつつあるのです。

そんな量産電気自動車の代表格である日産 リーフも注目を集めるモデルのひとつですが、残念なことに世界的な原材料費や物流費などの高騰に伴って値上げすることがアナウンスされると同時に、2022年9月22日をもって受注をいったん停止してしまっています。

日産 リーフ ▲2022年4月の改良で値下げ(11.6万円~19.25万円)がなされたばかりのリーフだが、いきなりの値上げ発表

執筆時点はどのくらいの値上げになるのかは公式に発表されていませんが、改良を伴わない値上げということで購入を検討している人にとっては嬉しくないニュースと言えるでしょう。

しかし、値上げや受注停止となっているのはあくまで新車での話であり、中古車であれば値上げ前の価格よりも大幅に安く、そして短期間で納車される車両が多く揃っているのです!

ということで、今回は2代目・現行型リーフの中古車についてチェックしていきたいと思います。

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現行型 日産 リーフの中古車の状況は?

2017年10月にフルモデルチェンジを果たし、2代目へと進化したリーフ。

値上げ前の新車時価格は315万円から499.8万円となっており、国や自治体からの補助金が出るとはいえなかなかのお値段となっています。

しかし、中古車に目を向けてみると平均価格は240.6万円で、価格帯も155.8万~470.5万円と、物件によっては総額200万円以内で狙うことができるものも存在しています。

日産 リーフ ▲使い勝手のよいハッチバックタイプで、室内の広さも十分なため、日常使いで不満が出ることもなさそう

そして、2代目リーフの掲載台数は700台を超えており、実はかなりの台数の中から自分好みの1台を見つけることができるモデルとなっています。

掲載グレードは、意外にもエントリーグレードの「S」はそこまで多くはなく、最上級グレードの「G」や、充実装備の「X Vセレクション」の掲載が多いのも特徴。

やはり電気自動車を購入するユーザーは、先進装備も多く備わる上級グレードを狙いがちなのかもしれませんね。

2019年1月には、62kWhの大容量バッテリー(通常のリーフは40kWh)を搭載した「e+」系が追加されていますが、こちらの掲載台数は80台ほどと全体の1割弱と少なめ。

ただ、新車時価格は400万円オーバーでしたが、中古車では車両本体価格300万円を切るものもチラホラ登場してきているので、気になる人は狙ってみる価値はありそうです。

日産 リーフ ▲大容量バッテリーを搭載する「e+」系だが、外観の違いはフロントにブルーのリップスポイラーが備わる程度

最後に走行距離についてですが、登場からまだ5年の2代目リーフでありながら、チラホラと10万kmを超えた物件も登場し始めてきています。

ただ、初代で顕著だったバッテリーの劣化はほとんど確認できておらず、執筆時点では多走行気味の車両でもバッテリー容量の劣化を示す“セグメント欠け”を起こしているものは確認できず、そこまで心配しなくても良さそうです。

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【モデル概要】バッテリーやモーターの性能が進化し、先進運転支援システムも装備

では改めて2代目リーフとはどんな車なのかを、簡単に振り返ってみましょう。

登場は2017年10月のことで、プラットフォームこそ初代のものを踏襲していますが、バッテリーやモーターの性能は大きく進化しました。

搭載される駆動用バッテリーは通常モデルが40kWh、2019年1月に追加された「e+」系では62kWhとなっており、後続可能距離は前者で322km、後者で458km(ともにWLTCモード)と必要十分なものとなりました。

また、モーター出力も通常モデルで110kW/320N・m、「e+」系では160kW/340N・mと初代よりも大幅に強化されたことで、より力強い走りを楽しむことができるようになっているのも特徴です。

日産 リーフ ▲100%モーター駆動ということで俊敏かつ気持ちいい加速感も魅力のひとつ

その他、ワンペダルで完全停止から停止保持までを行う「e-Pedal」を搭載し、アクセルとブレーキの踏みかえの頻度を減らすことで疲労軽減に寄与。

そして、運転支援システムの「プロパイロット」や「プロパイロットパーキング」を上級グレードに標準、その他の一部グレードにオプション設定をしたのも大きなトピックです。

また、通常モデルの他にスポーツ志向の「NISMO」とプレミアムスポーティな「AUTECH」の2つのカスタマイズモデルがラインナップされている点も特徴的です。

特に、NISMOには他の車種のNISMOモデルと同じく専用のエアロパーツや専用セッティングの足回り、パワーステアリング、チューニングコンピューターなどが備わる走りのモデルです。

ただし、その分航続距離が281kmと短くなっている点には注意してください。

もうひとつの「AUTECH」については内外装が専用のプレミアムスポーティを感じさせるものとなっている他、NISMOには設定されない「e+」もラインナップされています。

日産 リーフ ▲専用装備を多く備えて走りのポテンシャルをアップさせた「NISMO」

マイナーチェンジを含む一部改良はすでに数回実施されていますが、最も大きなものが2019年12月に発表(発売は2020年2月)されたものでしょう。

このマイナーチェンジでは、それまで7インチモニターだったナビゲーションが9インチモニターへと一気に大型化(「S」グレードは非装着)し、使い勝手が大きく向上したことが特筆すべきポイントと言えるでしょう。

日産 リーフ ▲マイナーチェンジで大型化された専用ナビゲーションシステム

ここまで、現行型リーフについて簡単に振り返ってきましたが、今中古で狙うとしたらどんなものがオススメなのか、以下チェックしていきたいと思います。

 

コンディション重視で新車よりも安く狙うなら
「2020年式以降の40kWhバッテリー搭載車」がオススメ

電気自動車であるリーフは新車で購入する場合、国からの補助金を受けることができます。

通常モデルで最大78.6万円、「e+」系で最大85万円が支給されることになっていますが(2022年10月13日執筆時点)これは限られた予算内での話です。

そのため、購入するタイミングでは予算が尽きている可能性や、補助金の仕組み自体が廃止される可能性があるため、補助金を頼りにしすぎるのも考えものです。

日産 リーフ ▲現在、電気自動車などには補助金が出ていますが、未来永劫続くものではないのでこれをあてにするのも悩みどころ

ちなみに国からの補助金を考慮すると、値上げ前の価格で上級グレードの「G」系が標準モデルでおよそ330万円、「e+」系でおよそ395万円となります。

ただ、中古車となると2020年式以降、5000km以下の「G」や「G」と同価格帯だった「アーバンクロム」で車両本体価格300万円ほど、「G」よりも10万円ほど安く装備充実の「X Vセレクション」であれば300万円を切る物件も多く存在しており、即納可能であることを考慮しても買い得感は高くなります。

一方、「e+」系はそもそもの台数が少なく、同様の条件で「e+ X」で350万円台~、「e+ G」では370万円台~とそこまで安くない印象。

今後の値上げ幅にもよりますが、買い得感が高いのは40kWhバッテリーを搭載する標準モデルと言えそうです。

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日産 リーフ(現行型) ×走行距離5000km以下×2020年式以降×40kWhバッテリー搭載グレード×全国
 

とにかく安いもの狙いなら
「200万円以下の初期型モデル」がオススメ

では、逆に現行型リーフの中古車をなるべく安く狙いたいなら、どんな物件がターゲットになるかチェックしてみましょう。

安さ重視の場合、やはり登場初期、具体的には2017年10月~2020年1月生産モデルが狙い目となります。

価格帯としては最安値のもので車両本体価格150万円台、200万円を切るような物件もおよそ120台と、意外と多く掲載されています。

日産 リーフ ▲初期型であっても基本性能は大きく変わらないため、実は買い得感が高い?

このあたりの価格帯では、エントリーグレードの「S」や「X」が中心となりますが、上級グレードの「G」が30台ほど掲載されていたり、走行距離5万km以下と比較的低走行の物件も見つかります。

ちなみに、ナビが大型化されたマイナーチェンジ後の物件はありませんでした。

しかし、初期型モデルであっても基本性能は大きく変わらないため、価格重視であればこういった選択肢もアリかもしれません。

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日産 リーフ(現行型) ×車両本体価格200万円以下×2017年10月~2020年1月生産モデル×全国
 

ちなみに「NISMO」と「AUTECH」の中古車はどんな感じ?

特別感のある2つのカスタマイズグレード、「NISMO」と「AUTECH」の中古車は、2車種合わせて65台ほどと決して多いワケではありません。

中でも「AUTECH」は10台ほどとかなり希少なものとなっています。

日産 リーフ ▲プレミアムスポーティをうたう「AUTECH」は中古車市場では希少ながら特別感は高い

ただし、価格帯はどちらも車両本体価格で240万円ほどから見つけることができ、走行距離5万km以下の低走行車でも300万円を切る物件も存在。他の通常グレード同様に、中古車ならでの価格的な旨みがしっかりとありそうです。

ひと味違うリーフを検討しているのであれば、並行してチェックしてみてください。

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日産 リーフ(現行型) ×「NISMO」×全国

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日産 リーフ(現行型) ×「AUTECH」×全国

今回は日産の電気自動車、リーフの2代目・現行型モデルをチェックしてみましたが、40kWhバッテリーを搭載した標準モデルの買い得感が際立つ結果となりました。

執筆時点ではまだどのくらい新車価格がアップするかは不明となっていますが、新車価格がアップすると中古車の相場も連動してアップする可能性は高いので、気になっている人は早めの行動が吉と言えるでしょう。

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日産 リーフ(現行型) ×全国
文/小鮒康一 写真/日産自動車
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。