スズキの新型車イグニスはコンパクトながら力強さとしなやかさのある走りを実現している
カテゴリー: スズキの試乗レポート
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2016/03/11
コンパクトカーとSUVを融合した新型車イグニス
昨年10月に東京モーターショーに「イグニス」として初めて登場したコンパクトクロスオーバーモデル。コンパクトでシティ派の装いだが最低地上高を高め、路面のギャップをものともしないスタイルが新しいジャンルであるというが、果たして性能はいかがであろうか。
デザインは、オーバーフェンダー気味にすることで、コンパクトながら安定感と力強さを実現。全幅は1660mmだが、存在感は1700mmを超える3ナンバーのように感じる。デザインは年々高まる歩行者安全を視野に入れており、アルトのエッセンスを多数盛り込んだ。プラットフォームに関しても、アルトの構造を生かしサイズアップした軽量高剛性だという。その実力を高速道路で試す機会を得た。
スポーティさとしなやかさを両立させた走り
我々が試乗したのはトップグレードモデル、HYBRID MZの2WDだ。乗り込むとヒップポイントが高く、視界が広い。ヘッドクリアランスも広く取られているので乗降もしやすい。内装のつくり込みも160万円台のモデルとしてはデザインも含めて満足のいく質感である。特にセンタークラスターはすっきりと洗練されたデザインで、触れた感触も良い。そしてもう一つ、おろそかになりがちなUSBとシガレットのソケットのカバーは高級車や欧州車などのモデルよりもしっかりとしたつくりになっている。
エンジンを始動してみると、思った以上に振動も少なく静かである。1250cc4気筒とマイルドハイブリッドを搭載するにあたり、エンジン格納部分はしっかりと作られており、エンジンの振動を抑えるマウント類にも工夫が見られる。信号待ちでは素早くエンジンが停止。アイドリングストップからのエンジンの始動は素早い。マイルドハイブリッドモーターの再始動時の静粛性も抜群だ。搭載するアシストモーターと1.2Lエンジン、CVTの組み合わせも良い。高速道路の合流では、1.5L以上と同程度の加速を実現している。しかも力強い。
高速道路での運転もノイズは少なく、乗員の負担は少ない。広い空間であるが、ボディはみしりともせず抜群な剛性感である。サスペンションもしっかりとしており、しなやかに動いて振動を吸収する。リアのサスペンションの取り付け剛性も文句ない。乗り心地は、スポーティなエッセンスを残しつつもしなやかで心地よい。素材を的確に使ったプラットフォームが最高の仕上がりだということがよくわかる。このクラストップであろう。大きな17インチの大径ホイールでも燃費が良いのは重量が880㎏という軽さのおかげだろう。
小型車を得意とするスズキの底力はイグニスを見ればよくわかる。今後欧州でもこのクラスで同様のシャシーとメカニズムを手に入れることは、スズキ以外は難しいだろう。それほどポテンシャルは高いのだ。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:HYBRID MZ ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC ■総排気量:1242cc
■最高出力:67(91)/6000[ kW(ps)/rpm]
■最大トルク:118(12.0)/4400[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:2WD ■トランスミッション:CVT
■全長x全幅x全高:3700x1660x1595(mm) ■ホイールベース:2435mm
■車両重量:880kg
■車両本体価格:164.16万円(税込)
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