▲6代目セリカは、WRC グループA時代にトヨタが投入した最後のモデルとなった ▲6代目セリカは、WRC グループA時代にトヨタが投入した最後のモデルとなった

都市の風景が変わっていった1993年

【平成メモリアル企画】はついに5回目。

30回目を迎える前に打ち切られるんじゃないかとヒヤヒヤしておりますが、案ずるより産むが易し。

じゃんじゃん記事を量産してまいりましょう。

現在、40代後半のワタクシにとって、平成5年(1993年)なんて、まるで昨日のことのように思い出せるんですよ。

当時は大学生で、車も持ってて、彼女もできた。

ワイルドライフを送ってたナー。

▲当時は寒天にしか見えなかったナタデココ。1993年に大ブームとなりました ▲当時は寒天にしか見えなかったナタデココ。1993年に大ブームとなりました

世間ではバブル景気なんてとっくに吹っ飛んでたわけですが、それ以前からの大きな公共プロジェクトは継続。

横浜に、ランドマークタワーが開業。

千葉に、ららぽーとスキードームSSAWS(通称「ザウス。かつて千葉県にあった屋内スキー場)ができたり。

大きな建造物がウゴウゴルーガ(1992~1994年に放送された子供向けテレビ番組)……ではなく雨後のたけのこのように、ボンボン建った。

おまけにJリーグも開幕。

そういえば、東京臨海地区にレインボーブリッジが開通したのも、この頃です。

箱崎JCTや江戸橋JCTのおっそろしい渋滞が、だいぶ緩和されましたっけ。

お台場あたりが栄えてきたのも、この時代からね。

▲お台場にレインボーブリッジが開通! 「封鎖できません!」の流行語が生まれたのは、その10年後 ▲お台場にレインボーブリッジが開通! 「封鎖できません!」の流行語が生まれたのは、その10年後

車内が広い車こそもてはやされた

さて、平成5年にデビューした車は?

ちょっと前のオールスター感謝祭状態から落ち着いて、堅実な車が評価されるようになっていった印象。

レガシィが2代目BD/BG系へと変わり、スカイラインもR33型に。

SUVブームも続いていましたが、ホンダは当時、自社のSUVを持っていなかったため、提携先のローバー・グループやいすゞからOEM供給された車両を初代クロスロードやジャズ、ホライゾンとして販売していました。

1993年当時、CR-Vはまだなかったのよ!

元祖トールワゴンの登場! でも最初は謙虚に……

▲デビュー当初、後席用ドアが付いていたのは助手席側のみだった。その後、4ドアモデルも追加 ▲デビュー当初、後席用ドアが付いていたのは助手席側のみだった。その後、4ドアモデルも追加

それでは平成5年に登場した車の中から、3台を厳選してご紹介します。

まず最初はスズキのワゴンR。

ずっと昔からあったような印象だけど、まだ四半世紀なんだね。

軽自動車は車内が狭い、という常識を覆したトールワゴンの元祖なのです(ダイハツ ムーブの登場は2年後)。

スズキもあまりに斬新なパッケージに、最初は様子見でSOHCのNAエンジンのみ、1+2ドアのみ、3速フロアATのみ、という消極的な展開でしたが、予想を大きく超えてヒット!

後にターボモデルや4ドア、4速ATなどが追加されていくことになります。

登場から現在までずっとウレセンでい続けているのがすごい!

昆虫のようなフロントフェイスが個性的

▲標準モデルとは明らかに異なる外観が印象的なセリカGT-FOUR ▲標準モデルとは明らかに異なる外観が印象的なセリカGT-FOUR

1980年代後半からのスキー・ブームが続いていた1990年代前半。

ゲレンデの駐車場で人気者だったのが、トヨタ セリカでございます。

なんでかというと、もちろん原田知世=主演映画の『私をスキーに連れてって』の影響。

スクリーンに登場したのは4代目だったけど、その後も人気は続いて1993年にデビューしたのが、こちらの6代目でした。

個人的にはリトラクタブルライトを採用してた5代目の方が好みなんだけど、6代目もGT-FOURはカッコ良かった。

WRCファンにとっては、良くも悪くも思い出深いモデルでもあります(気になる人は「WRC セリカ」で検索)。

手作りの量産車、そんなのアリ?

▲マーチをベースにフロントノーズとテール部分をオリジナルの鋼板に組み替えたビュート。25年たった現在も販売中! ▲マーチをベースにフロントノーズとテール部分をオリジナルの鋼板に組み替えたビュート。25年たった現在も販売中!

平成5年に登場した車のオーラスを飾るのは、光岡自動車のビュート。

ジャガーMk2そっくりの、というか完全に模倣したスタイルに驚かされました。

ベースは日産 マーチなんだけど、その面影は少しもありません。

マーチの完成車を分解し、オリジナルのボディパネルを職人が手作業で組み上げる……という驚愕の手法で作られる量産車。

パイクカーブームに乗って人気となり、その後2代目、3代目となって現在でも販売されているのだから、恐れ入ります。

ちなみにカーセンサーで検索すると、執筆時点では約170台もヒットするよ。


他にも名車はいろいろあるんだけど、長くなりそうなのでこのくらいにしときましょう。

平成も5年になると、消費者のライフタイルが多様化していって、それに合わせて、車のバリエーションも増えていった印象。

こうして徐々に、現代の多彩なカテゴリーが完成していったのですね。

text/田端邦彦
photo/トヨタ、スズキ、光岡自動車、photo AC