日産 フーガ ▲日産の新型セダンには、6ライトキャビンが継承されてインフィニティブランドのデザインテーマに沿ったダイナミックな造形が与えられるだろう。ただし、フーガを名乗る日本仕様はフロントマスクが日産顔に作り替えられる可能性も

インフィニティの戦略との関係は

国産のラージセダンといえば、トヨタ クラウンがほぼ独走している状態だ。かたや、日産 フーガは2009年から販売されており、すでに10年が経過。北米では事実上販売は終わっている。

同時期にデビューしたメルセデス・ベンツ EクラスやBMW 5シリーズは、2016年にモデルチェンジ。クラウンに至っては、2回も世代交代を経ている。

フーガが完全に置いてきぼりを食らっていることは明白だ。

フーガのモデルチェンジは、中国と北米を中心に展開されているプレミアムブランド「インフィニティ」の事情も絡んでくる。

日産は、2021年以降に発売するインフィニティの新型車すべてに電動系テクノロジーを搭載すると公言している。これは、ピュアEVもしくはe-POWERが設定されることを意味する。

日産フーガ▲Y51型の車両型式を与えられた現行型フーガ。2.5Lと3.7Lの各V6エンジンが用意されている他、デビュー1年後の2010年11月に加わった3.5Lハイブリッドも選べる

国内で加わる4つのe-POWERのひとつに

日産は、「構造改革プラン」内において国内で4つのe-POWER搭載車が追加されることを発表した。エクストレイルと並んでフーガもその1台にカウントされている模様だ。

より大きな車体を走らせるため、次期フーガにはノートやキックスよりも容量の大きいバッテリーが用いられるだろう。もちろん、モーターの出力アップも図られるはずだ。

また、エンジンは回転数を上げることなく十分な発電量を得られるよう、1.5L程度に排気量が拡大される可能性が高い。

気になる、ダイムラーとの関係

スカイラインのマイナーチェンジで、フロントマスクが国内専用の日産顔に差し替えられたように、次期フーガも海外向けとは異なるオリジナルの顔つきが与えられるかもしれない。

ラージセダンに関しては、協業関係にあるダイムラーの力を借りて商品開発が進められても不思議ではない。

スカイラインへのダイムラー製2Lエンジン搭載が打ち切られ、日産からのピックアップ供給が短命に終わったことを加味すると、両者の協業関係は熱が冷めているのかもしれない。

何しろ、2010年に握手を交わした当時のカルロス・ゴーンCEOも、ダイムラーのディーター・ツェッチェCEOもいまとなっては過去の人だ。

両者が思い描いた「明るい未来」は、受け継がれないまま消えてゆくのかもしれない。


※2020年8月21日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

BMW 530e▲ライバルと目されるBMW 530eには、2L直4ターボと電気モーターが組み合わされ、満充電時の航続距離は52.5kmを実現している。本国に続いて日本国内でも、2020年秋にマイナーチェンジが行われて外観のリフレッシュが図られる
メルセデスベンツ Eクラス▲メルセデス・ベンツ Eクラスには、ガソリンターボとディーゼルターボそれぞれに90KWを発生する電気モーターが組み合わされたプラグインハイブリッドが用意されている

【諸元・スペック】
■予想発表時期:2022年11月
■全長×全幅×全高:4980×1850×1485(mm)
■搭載エンジン:電気モーター+発電用エンジン
 

text/マガジンX編集部
photo/マガジンX編集部、日産自動車、BMW、ダイムラー