▲「筆者が提唱している「中高年の車選び4ヵ条」に合致するだけでなく、高年式低走行車であっても比較的お手頃相場なので、おサイフにもやさしい。……もしかしてディーゼルの現行プジョー 308って最強なのか? ▲筆者が提唱している「中高年の車選び4ヵ条」に合致するだけでなく、高年式低走行車であっても比較的お手頃相場なので、おサイフにもやさしい。……もしかしてディーゼルの現行プジョー 308って最強なのか?

ボルボ V40 D4もいいが、こちらはさらにジャストフィットかも?

若い頃のそれとはまた違う「中高年ならではの正しい車種選択」について、このところ考え続けている。

20歳の青年だった頃に愛用していた衣服を、50歳になった筆者がそのまま着ると「変なおじさん」になってしまうのと同様の意味で、50代には50代なりの(あるいは40代なりの、60代なりの)選ぶべき車というのがあるはずなのだ。

で、筆者が提唱している「中高年ならではの車選び指針」とは、さしあたり以下の4項目である。

1. つまらん車は買わない
(人生の残り時間もぶっちゃけ少ないですから)

2. 無駄に大きな車は買わない
(同乗者の数も減少傾向でしょうし)

3. ある程度「上質」な車を選ぶ
(チープシックが似合うのは若者だけですから)

4. 先進安全装備の有無にこだわる
(加齢とともにヒヤリ・ハットは必ず増えるし)

以上を踏まえ、過日は現行ボルボ V40 D4なるクリーンディーゼル車を推奨させていただいた。



だがその後、よくよく考えてみたところ、「……もしかしたら同じディーゼルでも現行プジョー 308のBlueHDi系の方が、我々中高年にはハマるのかも?」と思うに至った。

次章以降、筆者を含む中高年各位に、現行プジョー 308 BlueHDi各グレードを推奨したい詳細な理由を述べる。

▲こちらが現行プジョー308。写真は初期年式の本国仕様▲こちらが現行プジョー 308。写真は初期年式の本国仕様
▲現行プジョー308のリアビュー。後席の広さはクラス標準といったところだが、4名乗車時の荷室容量は420Lと、クラストップレベルの水準を誇っている▲現行プジョー 308のリアビュー。後席の広さはクラス標準といったところだが、4名乗車時の荷室容量は420Lと、クラストップレベルの水準を誇っている

素晴らしいディーゼルエンジン、そして素晴らしい(?)中古車相場

詳しい説明は不要かもしれないが、プジョー 308というのはフランスのプジョー社(正確にはGroup PSA)が製造しているCセグメント(フォルクスワーゲン ゴルフぐらいのクラス)の5ドアハッチバック。ゴルフと比べれば、走りの感触もデザインもフランス流に「柔らかい」のが308の魅力だと言えるだろう。

で、現行308が登場したのは2014年11月で、旧型後期の308もかなり悪くなかったが、現行世代のそれはより一層「いい感じ」の車に仕上がっている。具体的には、フランス流の柔らかさはある程度残したまま、ドイツっぽいガッチリ感が増した感じ……と言えばいいだろうか。

そして2016年7月に追加されたのが、DPF(微粒子フィルター)とアドブルー(尿素水溶液)式SCR(選択還元触媒)を持つ最新のクリーンディーゼルエンジンを搭載した「308アリュールBlueHDi」と「308 GT BlueHDi」だ。

前者アリュールBlueHDiと後者GT BlueHDiの違いはエンジンの排気量で、アリュールのディーゼルターボエンジンが1.6Lであるのに対し、GTの方は2L。そしてもちろん装備内容も少々異なっている。

で、このディーゼルターボエンジンがとにかく素晴らしいのだ。

1.6LとなるアリュールBlueHDiは1750rpmから300N・m、2LのGT BlueHDiは2000rpmから400N・mという極太トルクを発生するため、とにかく出足がやたらと鋭い。そしてさらに踏み込んでいけば、まるで大排気量V8エンジンのような心地よいサウンドを発し、それと同時にまったり系の高速巡航も得意とするという、割と非の打ちどころがないユニットなのだ。

そして(特に1.6Lの方は)足回りの感触もかなりしなやか。後述する先進安全装備の面で少々悩む部分はあるのだが、とにかく誰にでもオススメできる車である。

そして前回推奨した現行ボルボ V40 D4よりも優れていると思われるのは、ぶっちゃけその中古車相場が「けっこうお手頃である」という点だ。

▲アリュールBlueHDiのシートは「テップレザー/ファブリックスポーツシート」が標準。写真は本国仕様▲アリュールBlueHDiのシートは「テップレザー/ファブリックスポーツシート」が標準。写真は本国仕様
▲GT BlueHDiはレッドステッチ入りの「テップレザー/アルカンターラスポーツシート」が標準。こちらも写真は本国仕様▲GT BlueHDiはレッドステッチ入りの「テップレザー/アルカンターラスポーツシート」が標準。こちらも写真は本国仕様

グレード選びの悩みどころは「アクティブクルーズコントロール」

現行ボルボ V40 D4も中高年にとってかなり素晴らしい選択だとは思う。だがイチ推しグレードであるD4インスクリプションの低走行物件を買おうとすると、支払総額は320万~380万円ぐらいになるはず。中間グレードのD4モメンタムでも低走行車の総額は260万~340万円ぐらいということで、決して安くはない車なのだ。

しかし現行プジョー 308のBlueHDi系であれば、走行1万km未満の個体であっても支払総額は約220万円~というイメージ。……これは、そのクオリティというか性能から考えると「破格」とすら言えそうな、衝撃のプライスである。

もちろんより具体的な相場はグレードと年式、装備内容によって差があり、そして2017年10月末以降のマイナーチェンジ版はまだ高めだ。しかし中古車としてのお値打ち感が強い前期型ディーゼルの支払総額目安を記すなら、それはおおむね以下のとおりとなるだろう。

●アリュールBlueHDi:総額210万~280万円
●GT BlueHDi:総額250万~300万円

動力性能的には1.6Lディーゼルターボでもぜんぜん十分であり、軽く前述したとおり足回りの軽やかさに関しても、2LのGT BlueHDiより1.6LのアリュールBlueHDiの方がむしろ好印象。そして中古車相場も、もしも条件が同じであれば明らかにアリュールBlueHDiの方がお安い。

……ということで親愛なる中高年各位には、1.6Lのディーゼルターボを搭載する「308アリュールBlueHDi」を推奨したいと思う次第だが、ひとつだけ問題がある。

いわゆる先進安全装備の類だ。

▲中高年的にはあるとかなり助かるアクティブクルーズコントロールなのだが、プジョー308のBlueHDi系の場合、それが装備されるのはGT BlueHDiのみというのが話を少々ややこしくする▲中高年的にはあるとかなり助かるアクティブクルーズコントロールなのだが、プジョー 308のBlueHDi系の場合、それが装備されるのはGT BlueHDiのみというのが話を少々ややこしくする

GT BlueHDiではアクティブクルーズコントロールとアクティブブラインドスポットモニターシステム、そしてパークアシストが標準装備となるのに対し、アリュールBlueHDiはアクティブではない単純なクルーズコントロールシステムとなり、後者2つはそもそも設定がない。

……ここはなかなか難しい悩みどころであり、責任を放棄するようで恐縮ではあるのだが、最終的には各自でご決断いただくほかないポイントだ。ちなみに筆者ならば多少値は張ってもアクティブクルーズコントロール付きのGT BlueHDiを選ぶと思うが、このあたりの考え方は人それぞれであろう。

いずれにせよ、どちらもとてつもなくいい車だ。貴殿の後半生をともにする相棒として、ぜひ前向きにご検討いただけたならば幸いだ。

text/伊達軍曹
photo/プジョー・シトロエン

▼検索条件

総額300万円以下×修復歴なし

▼検索条件

総額280万円以下×修復歴なし