「車を見に行っても、どこをどう見たらいいのか……」

そんな方々の悩みを解消すべく、実際に販売店で実車を見ながらチェックポイントを解説。これを参考に、気になる車に会いに行こう!
 

フォルクスワーゲン ニュービートル ▲今回見てきたのは2006年式のフォルクスワーゲン ニュービートル(初代)。往年のビートルのスタイリングを踏襲したエクステリアが特徴のモデルだ

とっても頑丈なドイツ車! でも素材劣化の確認がキモ

初代ビートルのデザインを踏襲し1999年に販売開始したニュービートル。円弧をモチーフとしたデザインは不変で、登場から20年以上経過した現在でも根強い人気がある。

昨年このモデルの後継となる「ザ・ビートル」の販売が終了した影響か、昨年末から相場が上がってきている、と話すのは、年間約30台以上のニュービートルを販売している、ガレージグッピーの坂本店長。

「 程度の良い物件を手ごろな値段で購入するなら今がラストチャンスかもしれないですよ。エンジンやミッションなどの機関系はとにかく丈夫な車ですが、いくつか劣化しやすいポイントがあるので、そこがチェックすべきところですね」

輸入車は故障の心配をする人も多いというが、走行に関わる部分は問題なさそう。ただ購入後のガッカリを避けるため、劣化によるトラブルが発生しがちな箇所は事前に知っておきたい。

そこでニュービートルのチェックポイントを聞いてきた。
 

フォルクスワーゲン ニュービートル

今回見た車

フォルクスワーゲン ニュービートル

累計2000万台以上が生産され、世界中で愛されたフォルクスワーゲン タイプ1を現代風にアレンジしたモデル。エンジンは1.6L、1.8Lターボ、2Lの3タイプ。総額50万円前後と手ごろな物件が多く、流通する約350台のうち、修復歴のない物件が97%以上を占めている。
●支払総額/48万円(税込)
●年式/2006年式
●走行距離/4.7万km
●修復歴/なし
●乗車人数/5人
●エンジン/2000cc ガソリン
※2020年2月25日時点の情報

CHECK POINT 1
パワーウインドウ操作時の音

窓を上下させるためのワイヤーの滑車部分が、破損するトラブルが多いそうだ。

この部分が壊れると、窓が落ちて上がらなくなってしまう。トラブルの兆候を見極めるには、操作時の音を聞くとよいとのこと。

「カカカッ」と引っ掛かったような音がするものは、滑車部分の寿命が近いので要注意だ。
 

フォルクスワーゲン ニュービートル ▲何度か上げ下げしながら異音がしないかチェック。助手席側の確認も忘れずに

CHECK POINT 2
天井の生地の浮き具合

天井の生地が垂れ下がってきてしまうことがあるそうだ。

進行すると座っていても頭に当たるほど垂れてくるとのこと。生地がはがれ始めるのはバックミラー付近にあるメガネケース周辺。

この部分の生地の浮き具合は、目視でわかるので必ずチェックを。症状が出ている物件は応急処置と張り替えの相談を。
 

フォルクスワーゲン ニュービートル ▲丸で囲ってある眼鏡ケース部分。目視でわからない場合は触れてみて生地のたるみをチェックしよう

CHECK POINT 3
ダッシュボードの劣化

下画像の線で囲ったダッシュボード上部をチェック。

日光が当たることで表面のコーティングが劣化し、ベタつきの発生に加え、ホコリも付着しやすくなってしまう。

同じようなコーティングが施されている内装の取っ手部分も同様。ただ、状態によっては除光液などで磨くことでベタつきの除去は可能とのこと。
 

フォルクスワーゲン ニュービートル ▲線で囲ってあるところがダッシュボードの上部。外からも見える部分なので、ホコリなどがついていると見栄えが悪くなる

CHECK POINT 4
リアゲートの開放動作

電動スイッチで開くリアゲート。室内のスイッチと、リモコンキーで操作ができるが、ゴムの劣化によって一度で開ききらないトラブルがあるという。

リアゲートのゴム部分にあるビスの調整によって解消されることが多いが、それでも開かない場合は部品交換になる。

室内側からの開放動作確認はマストだ。
 

フォルクスワーゲン ニュービートル ▲スイッチを押したらリアゲートが開くかどうか実際に試したい

CHECK POINT 5
バンパー部分の色落ち

フロントのバンパー部分は樹脂製、ボンネットは鉄と使われている素材が異なるため、経年劣化による色落ちの進行具合に差異が生じる。

保管状態の差で色むらが発生している物件も。

特に黄色や赤といったボディ色はその差異が明確に出やすいそう。見る角度を変えながら、色味の差を確認しておこう。
 

フォルクスワーゲン ニュービートル ▲正面を見なからボディサイドに動くなど、様々な角度から色合いをチェックしよう

CHECK POINT 6
ラジエターの水漏れ

プラスチック系の素材でできているラジエターのジョイント部分に亀裂が入り、冷却水が漏れるトラブルがあるそうだ。

漏れた冷却水が乾くと白い結晶が残るので、その痕跡がないかを目視でチェック。

また、リザーバータンクの冷却水の量を見て、明らかに減っている場合も水漏れを疑った方がいいそうだ。
 

フォルクスワーゲン ニュービートル ▲丸で囲った箇所がラジエターのジョイント部分
坂本正明さん

取材協力

ガレージグッピー 坂本正明さん

独自の仕入れ方を駆使し、低価格でも良質な車を販売することにこだわっている。坂本正明さんはニュービートルをはじめ、ドイツ車のノウハウが豊富なガレージグッピーの店長。

住所:神奈川県藤沢市円行1-15-1
電話:046-647-7333

販売店がよく受ける質問ベスト3

★第3位
レギュラーガソリンでも大丈夫ですか?

坂本正明さん
坂本正明さん

ハイオクガソリン指定のモデルです。レギュラーで走ることも可能ですが、継続的にレギュラーを使用すると、エンジンに負担がかかり大きなトラブルにつながりますので、ハイオクが良いでしょう。

★第2位
特徴的な形だけど、運転のしにくさはないですか?

坂本正明さん
坂本正明さん

丸いデザインなので難しいと思われがちですが、運転がしにくいというオーナーさんの声は聞きませんね。実車を確認するときに運転席に座って視界の確認をしてみるといいと思います。

★第1位
せっかくなので珍しい色に乗りたいです。オススメは?

坂本正明さん
坂本正明さん

水色やベージュは流通量が少なくオススメですが、人気もありすぐに売れてしまいますので、早めの決断が必要かもしれません。塗装むらが少なく状態が良ければ、赤や黄色もオススメですよ。

文/小鮒康一(フナタン)、写真/三浦孝明

※雑誌版カーセンサー 2020年5月号(2020年3月19日発売)の記事「気になる車に会いに行こう」をWEB用に再構成して掲載しています。

小鮒康一(こぶなこういち)

訪問した人

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。