メルセデス・ベンツ CLSクラス▲旧型のメルセデス・ベンツ CLSは4人乗りが用意されたが、現行モデルでは5人乗りとなった。4人が窮屈な思いをすることなく、各自のシートで贅沢に移動できるというラグジュアリー4ドアクーペとしては、旧型までといえるだろう

後席に嫉妬しなくて済む!? 4人乗りラグジュアリーセダン

少子化が進む日本で、6名以上乗せられるミニバンは不要という人はきっと多い。さらに「4人乗り」で十分じゃん、という人もいるだろう。そんな人にオススメしたいのが、全席ファーストクラスともいえる4人乗り輸入セダンだ。

4人乗りというと、社長が乗るようなショーファーカーを思い浮かべるだろうが、今回紹介するのは、それだけではない。

以前、国産車編で紹介したのはショーファーカーだし、もちろん輸入車にもショーファーカーはある。



例えば、絶版となったベントレー コンチネンタルフライングスパーにも4人乗り仕様があり、原稿執筆時点で新車時の車両本体価格の約1/4程度で狙える。

それはそれでもちろん魅力的だが、新車時で2000万円超だから、約1/5といっても約500万円。多くの人にとって気軽に手を出せる金額ではないだろう。

そこで今回は、支払総額200万円以下からと、もっとカジュアルに4人乗りという贅沢を味わえる輸入セダンを紹介したい。

Sクラス並みのラグジュアリーを備えた4ドアクーペ
メルセデス・ベンツ CLSクラス(2代目)

メルセデス・ベンツ CLSクラス▲CLS350ブルーエフィシェンシーはスポーティな走りでも、ゆったり流しても乗り心地を高めるセレクティブダンピングシステムが、CLS550ブルーエフィシェンシーはエアマチックサスペンションが備わった。ハイ/ロービームを自動で切り替えるLEDヘッドライトを装備
メルセデス・ベンツ CLSクラス▲ウッドパネルや本革シートが標準装備されるなど、高品質なインテリア。HDDナビも標準で備わる。CLS550ブルーエフィシェンシーはハーマン/カードンサウンドシステムが標準装備された

車名のCLとはメルセデス・ベンツの中でクーペモデルを示し、SはフラッグシップセダンのSクラスと同等であることを表す。クーペといっても4ドアハードトップなので、Sクーペとは違うが、とにかく「クーペのような流麗なボディラインを備えた、Sクラス並みのランク付けがされたセダン」がCLSだ。

旧型CLSが日本にデビューしたのは2011年2月。当初は最高出力306psを発揮する3.5L V6エンジンに7速ATが組み合わされたCLS350のワングレードのみで、新車時車両本体価格は930万円。同時期のSクラス(S350)が1075万円だから、CLSの「S」がSクラス同等というのはうなずける。

それぞれ独立した4つのシートは、先代にあたる旧々型よりもさらに肩やヒジ部分が拡大され、体をしっかりとサポートしてくれる。

2011年10月に408psを発揮する4.7L V8のCLS550が加わり、2012年8月には衝突被害軽減ブレーキを含む先進運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」が全車に標準装備された。

2014年10月にはCLS550のみとなり、ATが9速化されたが、この時ベースは5人乗りとなった。ただし、4人乗りは「エクスクルーシブコンフォートパッケージ」として存続。

さらにその後追加された3.5LツインターボのCLS400や、2.2LディーゼルターボのCLS220ブルーテックは4人乗りのみとなる。

デビュー時の車両本体価格は930万~1175万円。

原稿執筆時点で約130台見つかり、走行距離10万km超なら支払総額150万円以下から、5万km未満に絞ると支払総額220万円ほどからとなる。

▼検索条件

メルセデス・ベンツ CLSクラス(2代目)×4人乗り×全国

歴代フォルクスワーゲンで最速とうたわれたラグジュアリーセダン
フォルクスワーゲン パサートCC(初代)

フォルクスワーゲン パサートCC▲同時期のパサートと比べて全長が伸び、全幅は広く、全高が低いというワイド&ローなプロポーション。トランク容量は532Lでパサートの603Lより少ない。ノーマル/スポーツ/コンフォートの走行モードを任意に選べる電子制御式可変サスペンションを全車に標準装備
フォルクスワーゲン パサートCC▲各人の脇やお尻まわりをサポートする形状をしたセパレートシートが特徴の後席。シャッター形状のフタが備わるカップホルダーと小物入れが左右の間に備わる。シートバックから大型アームレストを引き出して使うことも可能

当時のフォルクスワーゲンのフラッグシップであるパサートの上位モデルとして、2008年に登場したのがパサートCCだ。

「コンフォート・クーペ」を示すCCを車名としたように、メルセデス・ベンツ CLSが新たに創造した「ラグジュアリー4ドアクーペ」のマーケットに、同社も参入したというわけだ。

しかし、2011年1月の一部改良で5人乗りに改められてしまう。つまり、わずか約3年しか存在しなかった4シーターなのだ。

ラインナップは2Lターボエンジン×FF(前輪駆動)の2.0TSIと、3.6L V6エンジン×4WDのV6 4モーション。2.0TSIには6速ATが、V6 4モーションには6速DSG(2ペダルMT)が組み合わされた。

当時のパサートは同じV6でも3.2Lで、V6 4モーションにはトゥアレグの3.6LのV6 が搭載されたのだが、最高出力は280psから299psへ高められた。

つまり、同社で最もパワフルなエンジンを四輪に伝えて走る「歴代フォルクスワーゲン車で最速モデル」(プレスリリースより)とされた。

後席はカップホルダーや小物入れで、左右の座席がしっかりと分けられている。シートは高級素材のナパレザーで包まれ、2.0TSIはアルミの、V6 4モーションはウッドがインパネを覆う。

V6 4モーションは、完全停止まではいかないが、先行車の速度に合わせて自動で追従するアダプティブクルーズコントロールを標準装備する。ちなみに、5人乗りとなった2011年1月に衝突被害軽減ブレーキをV6 4モーションに標準装備し、2.0TSIはオプションで用意された。

デビュー時の車両本体価格は500万~602万円。

原稿執筆時点で5台見つかり、ほとんどが支払総額フタケタ万円で手に入る。走行距離は多くて約7万kmだし、お手頃な4シーターモデルといえるだろう。

▼検索条件

フォルクスワーゲン パサートCC(初代)×4人乗り×全国

BMW製サルーンのトップレンジのロングボディ
BMW 7シリーズ(2009年3月~2015年9月生産モデル)

BMW 7シリーズ▲4人仕様のあるロングモデルのリアにはエアサスペンションが奢られている。また7シリーズ全車に、低速では前後輪が逆位相になることで取り回しがしやすくなり、高速域では同位相となってスポーティ走行を支援してくれる可変ステアリングが採用された
BMW 7シリーズ▲ロングモデルゆえ、足元は広々。オプションで前席の背もたれにモニターが備わるリアエンターテインメントシステムや、後席から純正ナビなどを操作できるiDriveコントローラーも用意されていた

BMW製サルーンのトップレンジが7シリーズだ。

そのため社長クラスによるショーファーカーニーズも高く、2009年3月に登場した旧型にも、ホイールベースが伸ばされたロングモデル(740Li/750Li/760Li/アクティブハイブリッド7L)には4人乗りも用意されていたが、残念ながら2012年9月のマイナーチェンジですべて5人乗りとなってしまった。

全車に高級皮革のダコタレザーインテリアが採用されるなど、トップモデルならではの高い高級感があるインテリア。特にトップグレードの760Liは象眼細工が施されたウォールナット製ドアトリムなど最高級のインテリアが奢られている。

4人乗り仕様モデルの後席を左右に分ける大型アームレストには、後席の左右シートそれぞれのスライド&リクライニングスイッチが備わる他、前席から伸びるセンターコンソールの後席側にシートヒーターやエアコンスイッチが備わる。

搭載されたエンジンは740Liが326psの3Lツインターボ、750Liが407psの4.4Lツインターボ、760Liは544psの6L V型12気筒ターボ、アクティブハイブリッド7Lが4.4Lツインターボ+モーターでシステムトータルの最高出力は465psとなる。トランスミッションは740Liと750Liが6速AT、760Liとアクティブハイブリッド7Lは8速AT。

デビュー時の車両本体価格は1080万~1920万円。原稿執筆時点で8台見つかり、支払総額200万円以下から狙える。

ちなみに、同時期のメルセデス・ベンツ Sクラスやアウディ A8にも4人乗りがあるが、Sクラスはさらに台数が少なく、A8は支払総額が300万円超になってしまう。このクラスで選びやすいのは、やはり7シリーズだ。

▼検索条件

BMW 7シリーズ(2009年3月~2015年9月生産モデル)×4人乗り×全国

本格的なショーファーカーと比べたら豪華絢爛な装備はないが、それでも紹介した3モデルの新車時車両本体価格は約500万~1300万円。十分ラグジュアリーと言えるし、しかもそれが新車時の約1/5の価格から狙えるのだ。

4人乗りならば運転席と助手席同様に、後席でも肩やヒジ、膝や太ももが当たらず、しかもシートが全身を包み込んでくれる。だからドライブ中も体が揺られにくく、結果疲れにくい。

それに、今回紹介したモデルは「運転席より後席の方が贅沢」な感じもない。自分自身でステアリングを握るなら、むしろこっちの方が正解じゃないかと思うがいかがだろうか。

文/ぴえいる、写真/ダイムラー、フォルクスワーゲン、BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。