マツダ アクセラスポーツ▲フォルクスワーゲン ゴルフやメルセデス・ベンツ Aクラスなどと同じセグメントに属するアクセラスポーツ。マツダのMAZDA2(デミオ)よりはひとまわり大きい

アクセラスポーツの中古車は今

2003年にデビューしたアクセラスポーツは、3ナンバーサイズのボディでゆったり感のある車内空間と、安定感のある走りを実現したスポーティなハッチバックだ。2019年5月のモデル終了まで、3世代にわたって生産された。

初代は流通台数が100台未満と限られるが、予算30万円程度から探すことができる。

2代目も流通台数は200台程度と多くはないが、予算80万円ほど用意すれば、低走行の物件を探すことが可能だ。
この初代と2代目に設定されているスポーツグレードの「マツダスピード」は、現在でも走りにこだわる人から人気が高い。

3代目はマツダが誇るスカイアクティブテクノロジーをフル採用するとともに、魂動デザインで端正な佇まいの中に力強さを宿したスタイルに進化。この世代から、ディーゼルエンジンもラインナップに加わった。前期型は相場がこなれてきており、最安値ゾーンは総額90万円程度まで落ちてきている。

ここからは世代ごとに、特徴や中古車相場について紹介していく。

 

アクセラスポーツ(初代)の特徴と中古車相場

■アクセラスポーツ(初代)DATA
生産期間:2003年10月~2009年5月
中古車流通量:約70台
中古車価格帯:10万~100万円
 

マツダ アクセラスポーツ ▲初代アクセラスポーツの上級グレード「23S」(前期型)

■アクセラスポーツ(初代)の特徴
1968年から生産され続けた人気モデル、「ファミリア」の実質的な後継車として登場したアクセラ。ボディタイプはベーシックな4枚ドアの「アクセラセダン」と、5ドアハッチバックの「アクセラスポーツ」が用意された。

日本はもちろん欧州市場も意識したアクセラスポーツ(ヨーロッパでは「MAZDA3」の名称で販売)は、欧州メーカーの同型車に引けを取らないスポーティな乗り味が与えられているのが特徴だ。

エンジンは、1.5L、2L、2.3Lという3種類が用意された。トランスミッションはマニュアルモード付きの4速ATだけでなく、1.5Lには5速MTの設定もある。2003年12月には2.3Lの「23S」にも、5速MTを追加している。

ボディサイズは全長4405mm(2.3Lは4485mm)×全幅1745mm×全高1465mmで、3ナンバーサイズ。ボディが大きい分、フル乗車でも一般的なハッチバックに比べ、ゆとりを感じることができる。
 

マツダ アクセラスポーツ ▲前期型「23S」のインテリア。赤を効果的に使ったスポーティな雰囲気

2004年10月には、2Lエンジン搭載車にスポーティグレードの「20S」を追加した。

さらに、2006年6月のマイナーチェンジでは、スポーティさを強調したデザインを採用。また、2Lと2.3LのAT車が4速から5速になるとともに、サスペンションやボディ剛性にも改良が加えられた。そして、このタイミングで、2.3Lターボを搭載したハイパフォーマンスモデルの「マツダスピード」が追加されている。
 

マツダ アクセラスポーツ ▲2.3Lターボを搭載した、初代の「マツダスピード」

■アクセラスポーツ(初代)の中古車相場
デビューから15年以上が経過していることもあり、中古車流通量はかなり少なくなっている。ただし、流通している中古車の8割以上は車両本体価格50万円以下と、手には入れやすい状況だ。

コスト重視で選びたい人は、1.5Lエンジン搭載車がベスト。予算50万円以内でも低走行で、修復歴もない物件を見つけることができる。

2.3Lエンジン搭載車は走りを楽しみたい人にオススメだが、流通量は10台程度とかなり少ない。その中でもMTモデルが大半で、総額40万~60万円が目安となる。

スポーツグレードの「マツダスピード」は、走行距離が10万km前後の物件が多い。こちらは走りに特化したグレードということもあり、どのようなコンディションなのか実車の確認をしたうえで、購入することをオススメしたい。
 

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アクセラスポーツ(2代目)の特徴と中古車相場

■アクセラスポーツ(2代目)DATA
生産期間:2009年6月~2013年10月
中古車流通量:約200台
中古車価格帯:20万~240万円
 

マツダ アクセラスポーツ ▲2代目アクセラスポーツ、前期型のスポーツグレード「マツダスピード」

■アクセラスポーツ(2代目)の特徴
初代のイメージを踏襲しながらも、この時期のマツダのデザインアイデンティティだった五角形グリルを大胆に取り入れ、アグレッシブなイメージになった。インテリアでは、随所にソフトパッドを使って高級感を高めているのも特徴だ。

標準モデルは1.5Lと2Lエンジンの2種類となり、MTは廃止された。1.5LはCVT、2LのFFが5速AT、4WDが4速ATを採用。2LのFFにはアイドリングストップが標準装備されている。

走行性能に特化した人気グレード、「マツダスピード」は2代目にも設定。2.3Lターボを搭載しており、トランスミッションは6速MTのみとなっている。
 

マツダ アクセラスポーツ ▲前期型「20S」のインテリア。初代よりシックな印象に

2011年9月のマイナーチェンジでは、エンジンやトランスミッションを最適化して基本性能を向上させる開発思想、「スカイアクティブテクノロジー」を用いた新グレードが設定された。「20C スカイアクティブ」と「20S スカイアクティブ」の2グレードで、エンジンは新開発の2L直噴エンジン「スカイアクティブG」、トランスミッションはダイレクト感のある変速を楽しめる、6速ATの「スカイアクティブドライブ」が採用されている。これらの技術により、前期型の同排気量グレードよりも燃費が向上している。

デザイン面では、空力性能を高めるために新しい形状のバンパーを採用。グリル形状も併せて変更された。
 

マツダ アクセラスポーツ ▲スカイアクティブ技術を搭載した「20Sスカイアクティブ」

■アクセラスポーツ(2代目)の中古車相場
流通台数は前期型が6割強を占めており、最安値帯は予算40万~60万円。1.5L車を中心に、走行距離6万km前後の物件を見つけることができる。コスト重視派はここが狙い目だろう。

走りに力強さを求めるなら2Lエンジン搭載車となるが、こちらは80台程度と流通量が少ない。多走行車であれば予算50万円圏内でも見つかるが、年式の新しい後期型や走行距離5万km以下の物件は比較的レアな存在だ。

予算を80万~100万円程度まで確保できるなら、同じ2Lでもスカイアクティブ系のグレードがオススメ。ただし、採用されているスカイアクティブテクノロジーはフル装備ではないため、従来の車とガラッと違う走行性能や乗り心地を求めるなら、のちに紹介する3代目がオススメとなる。

走り志向の人から人気の「マツダスピード」は、もう20台ほどしか流通していない。予算100万円プラスαで狙える物件があるが、いい条件のものから早々と売れていってしまうことが予想される。

 

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マツダ アクセラスポーツ(2代目)× 全国
 

アクセラスポーツ(3代目)の特徴と中古車相場

■アクセラスポーツ(3代目)DATA
生産期間:2013年11月~2019年5月
中古車流通量:約800台
中古車価格帯:60万~240万円
 

マツダ アクセラスポーツ ▲躍動感ある「鼓動デザイン」を取り入れた3代目

■アクセラスポーツ(3代目)の特徴

次世代の開発思想、スカイアクティブテクノロジーを全面採用した3代目アクセラスポーツ。2016年6月までの前期型と、新技術によって走行性能が向上した2016年7月以降の後期型に分かれる。

外観はマツダのデザインテーマである“魂動-Soul of Motion”を取り入れ、静かな佇まいの中に今にも走り出しそうな力強さが宿る姿を表現した。後期型へのマイナーチェンジでも大きなデザイン変更はなかったため、前期型が古く見えてしまうことがないというのも◎なポイントである。

インテリアは運転席を凝縮感のあるコックピットのような雰囲気にし、反対に助手席側は開放的なつくりとなっている。シート地やインパネまわりのパーツの素材感はとても高く、クラスを超えた高級感を味わうことが可能だ。
 

マツダ アクセラスポーツ ▲3代目アクセラ前期型のインテリア

パワートレインは1.5Lと2Lのガソリンエンジンに加え、2.2Lのディーゼルターボを用意。このディーゼルエンジンは4L V8ガソリンエンジン並みのトルクを発揮するという驚愕の仕様だ。トランスミッションはそれぞれ6速ATと6速MTが用意された。

3代目には先進安全装備も数多く搭載。また、スマートフォンと連携するコネクテッド技術も採用されている。
 

マツダ アクセラスポーツ ▲マイナーチェンジで追加設定された1.5Lディーゼルターボを搭載する「15XD ディーゼルターボ」

2016年7月のマイナーチェンジではディーゼルエンジンの音を抑制する「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」が取り入れられた。また、ハンドル操作に応じてエンジントルクを緻密に制御してコーナリング時の安定性を向上させる、「G-ベクタリングコントロール」も採用された。

そしてこのタイミングで、1.5Lディーゼルエンジンを追加。代わりに2Lガソリンエンジン車が廃止された。
 

■アクセラスポーツ(3代目)の中古車相場
3代目は、歴代アクセラの中で最も流通量が多く、条件によって好みの1台を探しやすい状況だ。

購入価格や経済性を重視するなら、1.5Lガソリンエンジン搭載車がオススメ。全体の半数にあたる約400台が流通しており、前期型なら予算100万円で上級グレードの「15S」を狙うことも可能。ただし、走行距離は7万~10万kmと多めになる。 120万円まで予算を増やせば、走行距離5万km前後のものも見つけやすくなる。

力強さとランニングコストのイイトコ取りができるのは、同じ1.5Lでもディーゼルターボ搭載の「15XD」だ。流通台数は170台程度だが走行距離の少ない物件が多くなっている。予算150万円プラスαで、3万km未満のものはお得度が高いと言えるだろう。

軽快な走りを楽しみたい人にオススメなのは、2Lガソリンエンジン搭載車。2016年のマイナーチェンジで廃止されたが、流通量は120台程度と一定の選択肢はある。価格帯は総額90万~170万円。装備充実の「20Sツーリング」と「20Sツーリング Lパッケージ」が中心になるので、満足度は◎だろう。

強烈なトルク感を味わえる2.2Lディーゼルターボ搭載車は150台流通していて、価格重視なら予算100万円ほどで狙うことも可能。前期型が中心となるが、予算を150万円程度までアップすれば、走行距離5万km以下の物件も見つかる。なお、MT車は40台弱と選択肢が少ないため、好条件のものは早めの問い合わせをオススメしたい。
 

▼検索条件

マツダ アクセラスポーツ(3代目)× 全国

※記事内の情報は2021年6月16日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/マツダ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL