マツダ ロードスター▲2016年に歴代累計の世界販売台数が1000万台を超えるなど、世界中にファンがいるマツダ ロードスター。2015年に登場した現行型は翌2016年の「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」と「ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー」をダブル受賞するなど、世界的な人気を印象づけた

人気オープンスポーツカーが、ついに登場から5年経過!

発売されてから年月が経つほど中古車の台数が増えて選びやすいが、あまり年式が古すぎるのも困る。

そんな台数と年式のベストバランスが、最も販売台数の多いデビュー年に登録され、かつ車検を期に手放されがちな「デビュー5年落ち」モデルだ。

そもそも新車は、販売台数を見れば明らかだが、デビューした年が最も売れる。それを手放すタイミングは、車検時期が多い。「車検費用を払うならそろそろ次の車にしようかな」と考えやすいからだ。つまり、その車がデビューした3年後、5年後、7年後……が中古車の増える目安のひとつとなる。

その中でも「5年後」をオススメするのは、3年落ちよりは値落ちが進んでいて、7年落ちよりは中古車の状態に期待ができそうだからだ。

現時点で登場から5年を迎えたモデル、つまり2015年に登場したモデルはたくさん存在する。

その中でも特に注目したいのが、2015年5月に登場した4代目マツダ ロードスター(ND型)だ。

国産2シーターオープンカーの代表格として、また数少ないライトウェイトスポーツカーとして、日本はもとより世界中で愛されている1台だ。

そんな人気モデルにも、とうとうベストバランスの5年落ち物件が出現! まずは、そもそも4代目ロードスターはどんなモデルなのか振り返りつつ、どんな中古車がお得に狙えるのかを見ていこう。

原点回帰を掲げ、初期型ですでに軽量・コンパクトを突き詰めた

マツダ ロードスター▲全長3915mm×全幅1735mm×全高1235mm。ホイールベースは2310mmと3代目より20mm短く、初代より35mm長い。エンジン位置も3代目と比べて後ろ(車の中心方向)へ15mm、下方へ13mmそれぞれ下げ、フロントミッドシップと低重心化が図られた
マツダ ロードスター▲乗員の座る位置もエンジン同様、3代目より車の中心方向へ15mm寄せ、下方へ20mm下げられている。ペダルの位置も自然に足を開いた位置にペダルがあるように配置されている

軽量、コンパクトであること。これは初期モデルから守り続けられてきたマツダ ロードスターの基本要件だ。とはいえ、安全性の向上など様々な要件を満たすため、代を重ねるごとに重く、大きくなってきたのは事実。

ところが4代目では、車両重量が3代目(NC型)のマイナス120kgとなる990kg(グレード「S」)という大幅減量を達成し、ボディサイズも3代目比で全幅こそプラス15mmであるものの、全長はマイナス105mm、全高はマイナス10mmとコンパクトになった。

初代(NA型)と比べても、車両重量はプラス50kg、全長に至ってはマイナス40mmと、「軽量、コンパクトであること」に、安全基準が著しく厳しくなった26年後の現代社会で、見事に原点回帰してみせたのだ。

搭載されたエンジンは、低燃費と走る歓びを両立させる「スカイアクティブ技術」が用いられた1.5Lガソリンエンジン。トランスミッションには、こちらも走る歓びのために新開発された6速MTと、ロードスター用にセッティングされた6速ATが用意された。最高出力は131ps/最大トルクは150N・m。

このように原点回帰となるライトウェイトスポーツの楽しさが積み込まれた4代目だが、高い速度やコーナリング時にさらなる楽しさを味わえるようにと用意されたグレードが「SスペシャルパッケージのMT車」と「SレザーパッケージのMT車」だ。

いずれもリアにトルクセンシング式スーパーLSDやスタビライザーが装着され、ダンパーと電動パワーステアリングに専用チューニングが施されている。

2015年9月には、もっと走りを極めたいという人向けに、モータースポーツのベース車「NR-A」が、また2015年10月にはビルシュタイン社製ダンパーとフロントサスタワーバー、大径ブレーキ、レカロ社製シートなどを標準装備した「RS」がそれぞれ追加されている。

マツダ ロードスター▲走りのグレードとして追加された「RS」には、上記以外にも軽快に吹け上がるエンジン音を楽しめるインダクションサウンドエンハンサーや、BOSEサウンドシステム、シートヒーターなどが標準装備されている
マツダ ロードスター▲スポーツ走行を好むユーザーからの支持が高いレカロシート

デビュー時、衝突被害軽減ブレーキは用意されていなかったが、車線変更時などに後方から接近する他車をドライバーに知らせる「ブラインド・スポット・モニタリングシステム」や、ハイ/ロービーム自動切替機能の「ハイ・ビーム・コントロールシステム」、車線逸脱警報システム、コーナーの先を照射する「アダプティブ・フロントライティングシステム」などは、Sスペシャルパッケージにオプションで、Sレザーパッケージに標準装備されている。
 
その他、オープン走行中でも高音質のカーオーディオで音楽を楽しめるBOSEサウンドシステムもSスペシャルパッケージにオプションで、Sレザーパッケージに標準装備。つまり、安全機能と音環境にこだわるなら、SスペシャルパッケージかSレザーパッケージを狙うといいだろう。
 

細かな改良を重ねているが、「走る歓び」はどの年式でも健在

マツダ ロードスター▲こちらは2019年3月に限定150台(ロードスターRFと合わせて)販売された、特別仕様車「ロードスター30周年記念車」。このように特別仕様車のバリエーションも多い

マツダ車は年々少しずつ改良が行われる。場合によっては、プレスリリースにすら載らないような内容のこともある。当然ながら改良後の方が性能的には優れているものの、乗り比べてみないと(みても)わからない場合がほとんどだ。

最初に一部改良が行われたのは2017年11月。リアサスペンションと電動パワーステアリングのチューニングが施され、しなやかな走りに磨きがかけられた。また、ハイビームで走行中に対向車が来た場合、対向車部分のみ防眩するアダプティブLEDヘッドライトがSレザーパッケージ、RS、レッドトップ(同時に発売された特別仕様車)に標準装備された。

2018年6月の一部改良では、燃費や走行フィールの向上や、安全機能の充実が図られた。特に全車に衝突被害軽減ブレーキを含む「アイ・アクティブセンス」が全車に標準装備されたのは大きい。

2019年11月にはRAYS社製鍛造16インチアルミホールがSスペシャルパッケージ/Sレザーパッケージ/特別仕様車シルバートップ(同時に発売された特別仕様車)のMT車と、S/RSにオプションで用意された。また、ブレンボ社製フロントブレーキがSレザーパッケージ/特別仕様車シルバートップ(同時に発売された特別仕様車)のMT車と、RSにオプションで用意された。

つまり、4代目ロードスターを狙ううえで、例えば衝突被害軽減ブレーキがマストだったり、一部の特別仕様車に狙いを定めている場合には、必然と5年落ちモデルは射程外となる。

しかし、ロードスターの神髄ともいえる軽量でコンパクトな車体が生み出す「走る歓び」は、2015年の登場初期モデルでも十分に味わうことができるのは間違いないはず。

2015年式ロードスターの中古車の状況は?

では本記事でベストバランスとしている、2015年式のロードスターの状況を見てみよう。

原稿執筆時点で約300台の掲載があり、2015年式はその3分の1にあたる約100台見つかった。

グレードの内訳を見てみると、「Sスペシャルパッケージ」が半数を占めている。販売開始から1ヵ月後に出されたリリースによると、この「Sスペシャルパッケージ」が、販売の52%を占めていたようなので、それに比例しているといえるだろう。

新車時価格が270万(MT)~280.8万円(AT)に対して、支払い総額170万円程度からと、100万円以上値落ちしている物件も見つけることができる。

次いで多いのが、上級グレード「Sレザーパッケージ」で、4割ほどを占める。

こちらの新車時価格は303.5万(MT)~314.3万円(AT)だったのに対し、総額200万円台前半のものが多く見つかる。

2015年式のロードスターを狙うとなると、この2つのグレードが中心になる。

どちらのグレードもMTの比率が6割以上というのも特徴で、いかに走りを楽しみたいオーナーに好まれているかがわかる。

なお、より走りに特化した「RS」や「NR-A」は、合わせて3台と非常に少ない。現状では、よほどこだわりのある人以外はスルー、もしくは2016年式以降の物件も視野に入れた方が良さそうだ。

人気車ゆえ社外品パーツも数が多く、今なら現行型ゆえ入手もしやすい。手頃な価格で買ってコツコツ自分仕様にしていく、という方法もオススメだ。

ぜひお得に4代目ロードスターを手に入れて、「走る歓び」を存分に味わってほしい。

▼検索条件

マツダ ロードスター(現行型)×2015年式×全国

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マツダ ロードスター(現行型)×全国
文/ぴえいる、写真/マツダ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。