日産 モコ▲日産初の軽自動車で、スズキ MRワゴンのOEMモデル。デイズが登場するまで3世代にわたって生産された人気モデル

日産 モコの中古車は今

スズキ MRワゴンのOEMモデルとして、2002年に登場した日産 モコ。

2016年の生産終了まで、3世代にわたり販売された。

デビューからかなりの年数が経過していることもあり、初代と2代目は総額20万円程度から見つけることができる。初代は流通量がかなり少なくなっているが、2代目はまだ1000台以上流通していて探すのに苦労はない。

3代目は生産終了から5年程度と日が浅いため、走行数千kmの低走行車や予算50万円以下で買える中古車など、条件と予算に合わせて豊富な選択肢の中から選ぶことが可能だ。

ここからは世代ごとに、オススメの選び方や特徴、中古車相場について紹介していく。

 

モコ(初代)の特徴と中古車相場

■モコ(初代)DATA
生産期間:2002年4月~2006年1月
中古車流通量:約100台
中古車価格帯:10万~30万円
 

日産 モコ ▲ウインググリルで日産車らしさを強調した初代モコ

■モコ(初代)の特徴
日産には、エントリーモデルとして、ハッチバックのマーチがラインナップされている。低価格のリッターカー(現行型は1.2L)は維持費も安く街中で扱いやすいと人気があったが、ユーザーからはもっと気軽に乗れて維持費もさらに安い軽自動車を望む声もあった。

そのニーズに応えるため、日産はスズキからMRワゴンのOEM供給を受けて軽自動車をラインナップに加えた。それがモコだ。
 

日産 モコ ▲リアのドアはヒンジ式。タイヤを四隅に配置して室内空間が広げられている

モコとMRワゴンの違いは、フロントフェイスに日産のアイデンティティであるウインググリルが採用されている点だ。

スタイルは当時注目を集めた、ボンネットからAピラー、ルーフへとひとつの線でつながるワンモーションフォルムを採用。ミニバンのようなイメージで、室内空間の広さを連想させるデザインになっている。

ターボモデルは、ルーフスポイラーやエグゾーストフィニッシャーで、スポーティさを演出していた。
 

日産 モコ ▲後期型は前席がベンチシートに変更された

全高は同時期に発売されていた2代目ワゴンRよりも低いが室内空間は十分広く、リアシートに大人がゆったり乗れるスペースが確保された。さらに、リアのヒップポイントを前席より45mm高く設定することで、移動中の開放感も高めている。

運転席は、ATのシフトノブをコラム式にして足踏み式サイドブレーキを採用することで、左右間を楽に移動できるようになっている。

2004年2月のマイナーチェンジでは前席がベンチシートになり、左右の移動が一層しやすくなった。
 

■モコ(初代)の中古車相場
流通量は約100台だが、走行距離7万km前後で修復歴がない物件を、予算30万円以下で探すことができるのは魅力。

室内の使い勝手を重視するなら、前席がベンチシートになったマイナーチェンジ後のものがオススメ。ベンチシートは左右の移動が楽なのはもちろん、ゆったり感をもって座ることができ、快適な運転時間に寄与してくれることだろう。

▼検索条件

日産 モコ(初代)× 全国
 

モコ(2代目)の特徴と中古車相場

■モコ(2代目)DATA
生産期間:2006年2月~2011年1月
中古車流通量:約1200台
中古車価格帯:10万~60万円
 

日産 モコ ▲ライトまわりに先代のイメージを残しつつも、広い室内を連想させるデザインにイメージチェンジした2代目モコ

■モコ(2代目)の特徴
初代のワンモーションフォルムから、“箱感”のデザインに生まれ変わった2代目モコ。8色のボディカラー、2色のインテリアカラーを用意し、ポップなイメージからクールな雰囲気まで、選択肢の幅が広がった。
 

日産 モコ ▲かわいらしい雰囲気の丸型のドアノブ

インテリアは大きなスピードメーターが印象的。初代はコラムシフトだったが、2代目はインパネシフトに変更さている。インパネ上部にエアコン吹き出し口を設置することで、体に直接風を当てずマイルドな送風で快適に過ごせるようになり、快適性が向上した。また、ここからの風が車内の空気を循環させ、真夏や真冬の前後席の温度差を少なくするつくりになっている。

「G」と「E」のグレードでは、キーを持っているだけでドアの開施錠やエンジンスタートができるインテリジェントキーが標準装備になる。

2009年6月のマイナーチェンジでは、エントリーグレードの「S」を除く全グレードにオートライトシステムが標準装備された。
 

日産 モコ ▲フロントシートは全車ベンチシートに。インパネシフトの採用でデザインもスッキリした

■モコ(2代目)の中古車相場
流通している約1200台の物件のうち、前期型が900台ほどを占める。

後期型でもデビューから10年以上が経過していることもあり、前期型と後期型の価格差はほとんどない。そのため、後期型の中間グレード「E」でも総額20万円から見つけることが可能。

後期型なら、ライトのスイッチを“オート”にしておけば、周囲が暗くなったりトンネルに入ったときに自動でライト点灯してくれるオートライト機能も付く(「S」を除く)。

荷物をたくさん積んだり4人で出かける機会が多い人は、パワーに余裕があるターボ付きの「G」がオススメだ。予算の目安は30万~40万円。流通台数は100台未満と少ないため、条件に合うものがあれば早めに動くのが得策だろう。

▼検索条件

日産 モコ(2代目)× 全国
 

モコ(3代目)の特徴と中古車相場

■モコ(3代目)DATA
生産期間:2011年2月~2016年5月
中古車流通量:約1900台
中古車価格帯:10万~110万円
 

日産 モコ ▲ベーシックなワゴンスタイルになった3代目。シンプルでまとまり感のあるデザインが上品な印象を与える

■モコ(3代目)の特徴
3代目モコは、シンプルでまとまり感のあるデザインに変更された。ボンネットのラインからヘッドライトがはみ出すようにデザインされ、MRワゴンとの差別化が図られている。

フロントガラス、フロンドドアガラスは先代よりも面積を拡大し開放感がアップ。前方の視界が広く確保されている。

インテリアは、現行モデルの軽自動車に近いデザインや装備が与えられた。インパネには、ピアノブラック調のフィニッシャー処理を施し、高級感を演出。「X」 と「G」はオプションで、タッチパネル式のオーディオを選ぶこともできた。
 

日産 モコ ▲シート地には茶色い千鳥格子柄を採用して上質な雰囲気に

3代目からプラットフォームが刷新されたことで、室内長が180mm拡大。特に後席スペースが大幅に広がっている。

2011年6月にはアイドリングストップシステムを搭載した「X アイドリングストップ」が、2013年7月はエアロパーツでシックな雰囲気になった「エアロスタイル」が追加設定された。
 

日産 モコ ▲エアロパーツやアルミホイールで大人の雰囲気になった「エアロスタイル」

2013年7月のマイナーチェンジで、全グレードアイドリングストップシステムを搭載するとともに、スズキでエネチャージと呼ばれるエネルギー回生機構と、エコクールと呼ばれるアイドリングストップ時の室内冷却機構を搭載した。

それにより、燃費が23km/Lから30km/Lに向上している(Xグレード、JC08モードの比較)。 その後、フロントライトのデザインを変更された「ドルチェ」が追加設定された。
 

日産 モコ ▲マイナーチェンジで追加された「ドルチェ」

■モコ(3代目)の中古車相場
3代目モコは、走行距離数千km程度の物件が、総額70万円くらいから見つけることができる。登録済未使用車というわけにはいかないが、低走行で状態のいいものが欲しい人は、走行距離1万km以下に絞って探してみよう。

逆に走行距離を気にしなければ、予算50万円以下で買える物件も豊富。このように予算に応じて、様々な条件で探せるのは3代目ならではの魅力だ。

燃費を重視したいなら、2013年7月以降の後期型がオススメ。最安値帯は総額40万~60万円。走行距離5万km前後の物件が見つかれば、お得度は高し。

人とはちょっと違うモコを探したいという人には、「エアロスタイル」や「ドルチェ」がオススメ。「エアロスタイル」は40台程度と流通量が少ないものの、総額40万~80万円と買いやすい価格帯に分布している。台数が少ない分、街で同じ車にすれ違う機会はめったにないはずだ。

「ドルチェ」は約160台が流通。NAエンジン搭載の「ドルチェX」は60万円プラスαの予算なら、走行距離5万km程度の物件を見つけることができる。ターボモデルの「ドルチェG」は流通量が少ないため、しっかり狙いを定めて物件選びに臨むのがよさそうだ。
 

▼検索条件

日産 モコ(3代目)× 全国

※記事内の情報は2021年6月17日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/日産

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL