トヨタ クラウンアスリート ▲超大型のスピンドルグリルを採用し、クラウンのイメージを一新させた先代クラウンアスリート

クラウンのイメージを大きく変えた旧型クラウンアスリート

日本を代表するフラッグシップセダンとして、65年以上の歴史を誇るトヨタ クラウン。トヨタの高級車ブランド、レクサスが日本で展開されてもなお、日本人が考える高級車像を具現化したモデルとして、安定した人気を集めています。

そんなクラウンですが、フラッグシップモデルだけあって購入するユーザーの年齢層も高くなってきたため、若年層を取り込む意味でスポーティな「アスリート」が11代目モデルから設定されました(以前にも特別仕様車として「アスリート」の名前が使われることはありましたが、カタログモデルとしては11代目モデルが初)。

その後もアスリートとロイヤルの差別化は大きくなり、2012年に登場した14代目モデルではフロントマスクのほとんどがグリルとなる大型のスピンドルグリルを採用。当初は賛否両論となりましたが、気づけば多くのユーザーに受け入れられ、現行型にも共通のデザインテイストが用いられています。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲当初は賛否両論巻き起こしたフロントフェイスも、気づけば受け入れられて新型にも採用されている

ということで、今回ご紹介するのは14代目クラウンに設定されていたアスリートです。

この代のアスリートは、ロイヤルにも搭載されたV6 2.5Lのガソリンエンジンと、直4 2.5Lエンジン+モーターのハイブリッド仕様、そしてアスリートのみに設定されていた315psを発生させるV6 3.5Lのガソリンエンジンという3つのパワートレインでスタート。

2015年8月のマイナーチェンジ時には、新たにダウンサイジングターボとなる直4 2Lの直噴ターボエンジンが追加。これは2Lながらターボによって2.5Lモデルを上回るパワーとトルクを実現したもので、このタイミングで2.5Lガソリンモデルは4WD車のみの設定と変更されました。

グレード体系は、各パワートレインにベーシックな「アスリート」系(3.5Lモデル除く)、スポーティな「アスリートS」系、ラグジュアリーな「アスリートG」系が設定されていました。ただし、そこはさすがのクラウン! ベーシックなグレードでも何か装備が足らなくて困る、ということはないでしょう。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲ゆとりの室内空間や充実した装備など、クラウンの美点はこの代でも当然ながら継続されている

ただし、トヨタの先進安全装備としてお馴染みの「Toyota Safety Sense P」が標準搭載されたのは2016年8月の一部改良のタイミングで、それ以前のモデルに関しては衝突被害軽減ブレーキやレーダークルーズコントロールが、セットオプションとなる「アドバンストパッケージ」を選択しないと装備されていない点は注意が必要です。

このようにいまだに高い人気を誇り古さを感じさせない先代クラウンアスリートではありますが、ここ1年で20万円もの値落ちをみせており、手が届きやすくなってきているのです。
 

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トヨタ クラウンアスリート(旧型) ×全国

先代クラウンアスリートの平均価格と掲載台数の推移は?

高級セダンではあるものの、安定した販売台数を誇るクラウンだけに、ここのところはのべ掲載台数は1500台前後と比較的比較的安定した台数で推移しています。

一方の平均価格は、昨年10月には266.1万円でしたが今年10月には244.0万円と、1年で20万円以上の値落ちとなっています。ただ、今年8月からはほとんど横ばいとなっているところを見ると下げ止まり状態となっているとも考えられ、いったん底値を迎えたと考えてもいいかもしれません。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲今年に入りぐんぐんと値落ちが進み、とうとう250万円を切った

ちょうど先代モデルが生産を終了して3年が経ったタイミングとも重なり、初回車検を迎えたユーザーが新型に乗り替えている可能性もあり、最終型に近い良質な中古車を狙ううえでも最良のタイミングと言えるのではないでしょうか?

では、先代クラウンアスリートを狙うならどんな仕様が狙い目なのか? 考えてみました。
 

最後? の純ガソリン大排気量モデル
3.5Lエンジン搭載車 × 走行距離6万km未満

トヨタ クラウンアスリート ▲新型はハイブリッド化されてしまったため、現状最後の純ガソリン大排気量モデルとなった先代3.5L仕様

アスリート系にのみ搭載された、V型6気筒3.5Lの2GR-FSE型エンジン。実は現在販売されている新型クラウンでは3.5Lモデルはハイブリッドのみとなっており、純然たるガソリン大排気量エンジンは、この先代アスリートが最後ともいわれています。

燃費性能だけでなく、モーターの力を合わせたシステム出力もハイブリッドモデルの方が優れているのは分かっていますが、将来的にはなくなる可能性の高い大排気量NAエンジンを楽しんでみるというのはいかがでしょうか。

すでにダウンサイジングが叫ばれていた時代のモデルだけに、執筆時点で1100台ほどある先代アスリートの中で、3.5Lモデルは70台ほどしかヒットしませんが、走行距離を6万km未満に絞っても30台ほどが該当。

中には総額で200万円を切る物件もありましたが、修復歴もないワンオーナー車だったりと、大排気量不遇の時代だからこそ買い得感が強い条件とも言えそうです。
 

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トヨタ クラウンアスリート(先代) ×3.5Lグレード×走行距離6万km未満×全国

安全装備が充実した最終型
2016年8月~2018年6月生産モデル × 車両価格300万円以下

トヨタ クラウンアスリート ▲お世話にならないことがベストだが、イザというときのことを考えるとやっぱり欲しい先進安全装備

せっかくクラウンを購入するのであれば、できるだけ装備が充実したモデルが欲しいと考えるのは当然のこと。となると、狙いたくなるのは、先進安全装備がToyota Safety Sense Pにアップグレードされたモデルでしょう。

ただ、当時はToyota Safety Sense Pが標準装備となったこともあり、アスリートの最も安価なグレードでも車両価格が約396万円、最上級グレードは約618万となかなかのお値段でした。

しかし中古車なら、この高年式のモデルでも車両価格300万円を切る物件が150台もヒットするのです。

最も安い部類の物件は走行距離が10万kmを超えているものとなりますが、2Lターボモデルであれば走行距離2万~3万km台でも、総額で300万円以内に収まるものもあります。新車価格を考えると、かなり狙いやすくお得な価格だと言えるでしょう。
 

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トヨタ クラウンアスリート(先代) ×2016年8月~2018年6月生産モデル×車両本体価格300万円以下×全国

どうせなら個性的なクラウンを!
リボーンピンク or 空色エディション or 若草色エディション

トヨタ クラウンアスリート ▲一度見たら忘れられないインパクトのピンククラウン
トヨタ クラウンアスリート ▲こちらは爽やかな印象の空色のクラウン
トヨタ クラウンアスリート ▲若々しい緑をまとった若草色のクラウン

もともと保守的なイメージのあるクラウンですが、その固定概念を壊そうとしたのか14代目モデルの発表会に登場したピンク色のモデル。これは当時のCMキャラクターであったドラえもんのどこでもドアをイメージしたカラーであり、実際に2013年9月に1ヵ月限定で注文を受け付け販売がなされました。

さらに2015年4月からは、同じく1ヵ月限定の受注で、こちらも当時のCMに登場していた空色と若草色のクラウンを販売。どれも純正色とは思えないほどインパクトの強いボディカラーとなっています。

これらのモデルは販売期間も限定だったためか、中古車物件も通常のモデルよりはやや高値で、流通台数も少ないため、ハードルは少し高いと言えます。

しかし、その希少価値の高さゆえに、今後安くなることは見込まれないどころか、むしろ値上がりする可能性すらあるでしょう。

このシリーズは先代クラウンアスリートのみの特徴ともいえ、上記写真を見てグッときた人にとっては今のうちに探しておく価値がありそうです。
 

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トヨタ クラウンアスリート(先代) ×リボーンピンク or 空色ED or 若草色ED×全国

なお、後期型には「ジャパンカラーセレクションパッケージ」と名付けられた12色のボディカラーと3色の内装色を組み合わせることができるオプションが設定されています。

こちらはグレード名ではないため、残念ながらグレード別検索で探すことはできませんが、特別なカラーの1台を見つけたい人はその存在も頭に入れておいて損はないでしょう。
 

トヨタ クラウンアスリート ▲後期型に設定されたジャパンカラーセレクションパッケージは写真の他、全12色が用意された

その長い歴史から保守的なイメージの強いクラウンではありますが、実は常に時代に合わせた変化を続けており、ゼロクラウン(12代目)以降のモデルは若いユーザーにも人気があるモデルとなっています。

そこには、スタイリッシュになった見た目はもちろんですが、クラウンならではの高い信頼性や細かな部分まで作り込まれている完成度なども人気の理由のひとつとなっているようです。
 

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トヨタ クラウンアスリート(旧型) ×全国
文/小鮒康一 写真/トヨタ、尾形和美
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター、S660。