ホンダ ヴェゼル▲独自のハイブリッドシステム、低床化技術など、SUVでも強みをもつホンダ。新車はもちろん中古車でも人気(写真は2代目ヴェゼル)

個性的なモデルの多いホンダのSUV一覧

軽自動車からセダン、ミニバンまで豊富なラインナップをもつホンダ。

SUVについても元々得意としてきたコンパクトカー、FFベースの四輪駆動システム、ハイブリッドといった技術を生かして、独自の進化を遂げてきた。他のメーカーにはない個性的なスタイル、パッケージのモデルが多いのも特徴だ。

ここでは、中古車市場で流通台数が50台以上あるホンダのSUVを、新旧まとめて紹介。ボディサイズ(全長)の小さい順に解説、現在の中古車情報も紹介する。
 

モデル 全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) 中古車価格帯
クロスロード
(2代目)
4285~4290 1755 1670 40万~250万円
エレメント
(初代)
4300 1815 1790 40万~260万円
WR-V
(初代)
4325 1790 1650 300万~310万円
ヴェゼル
(初代)
4295~4340 1770~1790 1605 80万~310万円
ヴェゼル
(2代目)
4330 1790 1580~1590 230万~400万円
ZR-V
(初代)
4570 1840 1620 260万~440万円
CR-V
(4代目)
4535 1820 1685 80万~170万円
CR-V
(5代目)
4605 1855 1680~1690 190万~420万円
モデル 全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) 中古車価格帯
クロスロード(2代目) 4285~4290 1755 1670 40万~250万円
エレメント(初代) 4300 1815 1790 40万~260万円
WR-V(初代) 4325 1790 1650 300万~310万円
ヴェゼル(初代) 4295~4340 1770~1790 1605 80万~310万円
ヴェゼル(2代目) 4330 1790 1580~1590 230万~400万円
ZR-V(初代) 4570 1840 1620 260万~440万円
CR-V(4代目) 4535 1820 1685 80万~170万円
CR-V(5代目) 4605 1855 1680~1690 190万~420万円
ホンダヴェゼル(2代目) ▲SUVでありながら低床として広い車内空間を確保する手法はホンダが最も得意とするところだ(写真は2代目ヴェゼル)
 

クロスロード(2代目)

・生産期間:2007年2月~2010年8月
・全長:4285~4290mm
・全幅:1755mm
・全高:1670mm

 クロスロード(2代目) ▲外観からは、とても3列シート車に見えない! コンパクト車の巧みなパッケージはホンダの真骨頂だ

世代表記は2代目ということになっているが、初代はランドローバー ディスカバリーのOEMであり、ホンダが独自開発したクロスロードとしてはこのモデルが初代。コンパクトなボディサイズと、本格SUVを思わせる四角いフォルムにより現在でも人気のモデルだ。

低めのルーフと高めのウエストライン、平たいグラスエリアが外観上の特徴となっているが、車内の居住性も決して悪くない。ホンダ独自の低床化技術によって十分な頭上クリアランスが確保されているだけでなく、3列シート7人乗り仕様となっている。このボディサイズで、大人でも無理なく座れるサードシートを実現したのは立派だ。

エンジンは1.8Lと2.0L i-VTECガソリンが用意され、1.8L 版はバンパーの一部が未塗装となるなど外観も差別化されていた。

駆動方式はFFと4WDの2種類。4WDシステムは従来のデュアルポンプ方式にワンウェイカムユニットを追加したリアルタイム4WDが採用された。本格的な悪路走行は無理だが、キャンプやちょっとした雪道走行なら全く問題ないだろう。
 

クロスロード(2代目) ▲インパネシフト採用で前席足元空間もすっきり。3列目シートの下には床下収納スペースも確保されている

わずか3年半しか生産されず、しかも生産終了からすでに14年近く経過しているが、中古車市場には現在でも170台近くの物件が流通している。「20X」という上級グレードでも、総額100万円前後から狙えるリーズナブルさも魅力。

3列シートのSUVが欲しいけど、できるだけコンパクトなのが良い、個性的なクロスオーバーが欲しい、という人にはもってこいの1台。ラギッド感のあるスタイルも現代のSUVにはない魅力だ。
 

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エレメント(初代)

・生産期間:2003年4月~2005年7月
・全長:4300mm
・全幅:1815mm
・全高:1790mm

 エレメント(初代) ▲外観デザインのモチーフとなったのは、海岸にあるライフセーバー用のステーション

エレメントは、歴代ホンダのSUVの中でも特に個性的なモデル。観音開き式&センターピラーレスのサイドドア採用で、ボディ全体がガバッと大きく開口するパッケージが最大の特徴だ。

北米で開発され、先行販売されていたモデルだが、好評だったことから日本への輸入が決まった経緯をもつ。四角く、防水加工された車内空間はサーフボードなどの長尺物を積載するのに便利。全長が短めで全幅が広めのボディサイズもユニークだ。未塗装のバンパー&フェンダーなども含めて、個性のカタマリのようなSUVである。

搭載されたエンジンは2.4L i-VTECガソリン。最高出力160psと、当時のコンパクトSUVとしては余裕ある動力性能と言えよう。日本に導入された仕様はモノグレードで、駆動方式も4WDのみとなっていた。

エレメント(初代) ▲後席を取り外して、積載スペースを拡大できる構造になっている

日本では2年3ヵ月という短い期間しか販売されなかったエレメント。生産終了から20年近く経過した現在も、アウトドア派やマリンスポーツ派から熱狂的に支持されているモデルでもある。

総額30万円台から狙えるが、走行距離が少なめの物件(5万km~)は総額170万~260万円と高め。装備にはあまり差がないので、コンディションで選ぶのが正解だろう。
 

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WR-V(初代)

・生産期間:2024年3月~
・全長:4325mm
・全幅:1790mm
・全高:1650mm
 

 WR-V(初代) ▲垂直に切り立ったフロントグリル、厚みをもたせたウエストラインなど外観はエレメントをほうふつさせる

ホンダのSUVラインナップに、2024年に追加されたばかりのニューモデル。トヨタ ライズなど人気急騰中のコンパクトSUVと競合するカテゴリーだ。デビュー時には新車価格209.9万円~という低い価格設定が話題となった。

搭載されるエンジンはヴェゼルにも採用される1.5L i-VTECガソリン。駆動方式は全車FFで、ターボやアイドリングストップ、4WDシステムといった凝ったメカニズムを省くことで低価格を実現している。

インド工場で生産され、日本へと輸入されるモデルだが、内外装の質感はライバルよりも上、と好評を得ている。

小さいボディの中に十分な広さの後席と実用的な荷室キャパシティを確保したパッケージも秀逸。ホンダがもつ技術力の高さをソリッドに感じられる1台と言えるだろう。
 

 WR-V(初代) ▲シンプルなインテリアだが、後席にもベンチレーターを装備するなど必要十分な機能が備わっている

デビューしたばかりのモデルだけあって、中古車市場に流通しているWR-Vはごくわずか。今後、新車に近いコンディションの物件が充実してくるだろう。
 

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ヴェゼル(初代)

・生産期間:2013年12月~2021年3月
・全長:4295~4340mm
・全幅:1770~1790mm
・全高:1605mm
 

 ヴェゼル(初代) ▲クーペライクな上半身と安定感ある下半身がヴェゼル(初代)の特徴

クーペの流麗さとSUVの機動力、ミニバンの居住空間を1台にぎゅっと凝縮したヴェゼル。

ボディサイズは日産 エクストレイルやスバル フォレスターなどのミドルクラスSUVよりもかなり小さいが、後席はミニバンにも匹敵する広さ。座面もたっぷりとした大きさが確保され、コンパクトクラスとは思えない居住空間となっている。

インテリアの多くにソフトパッドを採用するなど、高級感にもこだわって仕上げられた。

パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンと、同エンジン+1モーターのハイブリッド。ハイブリッドはトランスミション内にモーターを組み込んだホンダ独自の「SPORT HYBRID i-DCD」で、トランスミッションにはパドルシフト付きの7速DCTが採用された。燃費が良く、かつパワフル&スポーティなハイブリッドだ。2019年1月の変更では、1.5Lガソリンターボエンジンが追加されている。
 

ヴェゼル(初代) ▲前席はパーソナル感を、後席は広さを重視したパッケージ

生産期間が比較的長かったこともあり、ヴェゼル(初代)全体の流通量は約3900台と豊富で、年式もデビュー直後から後期までまんべんなく分布している。中古車として選びやすい状況にあると言えるだろう。

中古車市場では圧倒的にハイブリッド車が多く、全体の8割近くを占める。ちなみに、安全運転支援システム「Honda SENSING」が全グレードに用意されたのは2016年2月から。安全性を重視するなら、それ以降の年式を狙うのが良いだろう。

価格の一例を挙げると、2017年式・走行距離4.4万kmの「ハイブリッドX ホンダセンシング」で総額139.9万円となっている。走りや安全性が現代の水準に近いSUVをリーズナブルな価格で手に入れたい人にぴったりだ。
 

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ヴェゼル(2代目)

・生産期間:2021年4月~
・全長:4330mm
・全幅:1790mm
・全高:1580~1590mm
 

ヴェゼル(2代目) ▲リアドアのドアハンドルを窓枠に埋め込み、スポーティに見せる手法などは初代から継承された

2代目のヴェゼルは初代から外観を大きくイメージチェンジし、精悍でスポーティだった外観から重量感、迫力を重視した外観へと変わった。コンパクトな車体にゆとりある車内空間、荷室空間を実現したパッケージはさらにブラッシュアップ。車体サイズは全高がやや低くなっているが、全長や全幅は初代とほとんど変わらない。

新たに2モーター式の「e:HEV」を採用したハイブリッドシステムも、初代から大きく進化したポイントのひとつ。エンジンを駆動力として使うのは高速巡航時などに限られ、一般道ではほぼモーターのみでの走行を可能にしている。

2代目では安全運転支援システム「Honda SENSING」も全車に標準装備としつつ、機能をさらに強化。走りの上質感とパッケージの巧みさ、装備の先進性においてはミドルクラスSUVにも決して見劣りしない。
 

ヴェゼル(2代目) ▲2代目では車内の静粛性にもこだわって設計された。ハイブリッドとの相性抜群

2代目も初代同様、中古車市場においてはハイブリッド車が圧倒的多数で、全体の9割近くを占めている。デビューから約3年経過したヴェゼル(2代目)だが、中古車市場での流通量は1800台以上と豊富だ。

中古車平均価格は290万円前後。例えば、2021年式・走行距離3.8万kmの「e:HEV X」で総額246.7万円と、当時の新車価格から20万円近くお得な価格から狙える。
 

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ZR-V(初代)

・生産期間:2022年11月~
・全長:4570mm
・全幅:1840mm
・全高:1620mm
 

 ZR-V(初代) ▲ZR-Vは日本以外に北米や中国でも販売されるグローバルモデル

ZR-V(初代)はヴェゼル(2代目)とCR-V(5代目・日本では2022年12月に販売終了)の間を埋めるべく開発されたミドルクラスSUV。ボディサイズは日産 エクストレイルや三菱 アウトランダーに近い。

CR-Vのような3列シート7人乗り仕様はなく、全車5人乗り仕様。ボディの大きさを感じさせない精悍なフォルム、個性的な縦桟グリルが外観上の特徴となっている。インテリアは重厚な雰囲気で、カジュアルさ、軽快さを身上とする他のコンパクトSUVとは一線を画す上質感が演出されている。

搭載されるパワーユニットは2L直噴ガソリンエンジンと2モーターを組み合わせたハイブリッド「e:HEV」と、1.5L VTECガソリンターボエンジンの2種類。両モデルにそれぞれFFとリアルタイム4WDが設定される。「e:HEV」は11代目シビックに搭載されているのと共通の設計で、エコにも、スポーティにも走れる万能型のハイブリッドだ。

力強い走り、高級感を重視した作りは、トヨタ ハリアーのようなクロスオーバーSUVにも通じるものがあり、現行のホンダSUVとしては最もプレミアムなモデルと言えるだろう。
 

 ZR-V(初代) ▲プッシュボタン式のシフトセレクターを採用し、すっきりしたインテリア

デビューから約1年半、中古車市場にはすでに700台を超えるZR-Vが流通している。走行距離500km未満の物件が過半数だ。

価格帯はガソリン車で総額260万円~、ハイブリッド車で300万円~。走行距離1万km未満で新車価格より30万円ほど安く手に入る物件も見つかり、お買い得感は高い。
 

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CR-V(4代目)

・生産期間:2011年12月~2016年8月
・全長:4535mm
・全幅:1820mm
・全高:1685mm
 

 CR-V(4代目) ▲CR-Vらしいアクティブさを備えつつ、空力性能にも配慮された外観デザイン

ホンダが初めて作ったSUVの4代目モデル。広い車内空間、使い勝手の良い荷室といった歴代CR-Vが備えてきた長所を引き継ぎながら、より現代的なSUVへと進化した。

ボディはホンダ独自の低床化・低重心を生かした作りで、3代目よりも若干コンパクトな車体サイズとしながら室内長を225mm、荷室容量を65Lも拡大している。当時、群雄割拠していたミドルクラスSUVの中でも、車内の使い勝手においては断トツに優れていた。

エンジンのラインナップは2L i-VTECガソリンと2.4L i-VTECガソリンの2種類で、前者はFF仕様に、後者は4WD仕様に搭載される。4WDは電子制御化されたアクティブトルクスプリット式。ちなみに当時、ハイブリッドはまだ採用されていない。
 

 CR-V(4代目) ▲インパネシフトはCR-Vの伝統的な装備。FFはトルコン付きCVT、4WDは5速ATを採用

約5年間近く生産された4代目。現在の中古車市場に流通している物件数は90台前後とやや少なめだが、中古車平均価格は100万円前後とリーズナブル。

価格の一例を挙げると、2012年式・走行距離6.7万kmの「20G(FF)」で総額84.4万円。この時代、先進的な安全装備やハイブリッドなどはまだ採用されていないものの、使い勝手の良さにおいては現行SUVと比べても全く見劣りしない。
 

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CR-V(5代目)

・生産期間:2018年8月~2022年12月
・全長:4605mm
・全幅:1855mm
・全高:1680~1690mm
 

 CR-V(5代目) ▲5代目CR-VはミドルクラスSUVの中でも、やや大きめサイズとなった

4代目の販売終了から2年の空白期間を経て、2018年8月に復活した5代目CR-V。ボディサイズは大幅に大きくなり、車内空間も拡大。新車価格も引き上げられ、4代目からワンクラスアップした印象となっている。

外観デザインは4代目からのキープコンセプトだが、シャシーは全くの新設計。可変ステアリングギアレシオなども新たに採用され、オンロードの走りが格段にブラッシュアップした。

搭載されたパワーユニットは2Lガソリンエンジン+1モーターのハイブリッド「SPORT HYBRID i-MMD」と、1.5Lガソリンターボエンジンの2タイプ。ハイブリッド車にはFF仕様の他、4WD仕様が用意された。ハイブリッドは現代の「e:HEV」より1世代前のタイプだが、十分にパワフル。1.5Lガソリンターボも2Lガソリンエンジンと同等のスペックをもつパンチ力のあるエンジンだ。

ガソリン車に、3列シート7人乗り仕様が用意されたのも5代目のトピック。安全運転支援システムの「Honda SENSING」も全車に標準装備となっており、安全性を重視する人でも安心して購入できる。
 

 CR-V(5代目) ▲車内空間は全域にわたって拡大され、後席足元スペースは先代から約50mmも伸張された

中古車市場には約590台が流通。年式やコンディション、駆動方式はもちろん、グレードも好みのものが選びやすい状況だ。年式はデビュー翌年前後に集中しているが、走行距離5万km未満で良好なコンディションを保った物件も多数見つかる。

例えば、2019年式・走行距離3.6万kmの「2.0 ハイブリッド EX」で当時の新車価格より約140万円安い、総額237.8万円。走行性能や安全性能が現行SUVと遜色ないことを考えると明らかにオトクだ。
 

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※記事内の情報は2024年4月10日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/篠原晃一、ホンダ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。