▲走りも悪くないし、ガジェット的な面白さもあって、車好きはきっと楽しめる。でも一方で、快適なEVモードを備え、燃費も悪くないから家族にもきっと納得、いや喜んですらもらえる? そう考えると、我儘どころか皆がハッピーな選択かも ▲走りも悪くないし、ガジェット的な面白さもあって、車好きはきっと楽しめる。でも一方で、快適なEVモードを備え、燃費も悪くないから家族にもきっと納得、いや喜んですらもらえる? そう考えると、我儘どころか皆がハッピーな選択かも

遊べるプレミアム・プラグインハイブリッド

EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)など、アウディの電動化車両の総称として使われる「e-tron」の第1弾として登場したA3スポーツバックe-tronは、同社初のPHVだ。1.4Lターボエンジンと電気モーターを組み合わせたシステム全体で最高出力204ps、最大トルク350Nmを発生し、満充電では電気モーターだけで52.8kmの走行が可能。ハイブリッド燃費は23.3km/Lを謳う。

満充電までは100Vで9時間、200Vなら3時間ほど。急速充電には対応していない。

十分な充電量が残っていれば、発進やその後の加速は電気モーターだけで行われる。「EVモード」でも加速は背中を押されるほど力強く、しかも静かで滑らかだ。「ハイブリッド・オート」モードでは、必要な時に自動的にエンジンの始動、停止が行われるが、その繋がりはスムーズで、燃費のために走りの上質感が犠牲になったりはしていない。

面白いのは「ハイブリッド・チャージ」モード。電気をできるだけ使わず積極的に充電しながら走行することで、たとえば出先でEVに切り替えて走らせる余裕を確保することができる。使い方、いろいろなのだ。

Sモードにするか、アクセルを全開まで踏み込めば、エンジンと電気モーターが、ともに最大限のパワーを発生し、車重増にもかかわらずパワフルな加速を披露する。燃費を考えればなお、十分に納得できる走りと言える。

車両価格はほとんどS3並みとは言え、エコカー減税と補助金のおかげで出費は1.8TFSIクワトロの1割増し程度に抑えられそう。とは言え、経済性を期待してというよりは、EVモードを含む新鮮な走行感覚や、多彩なモード選択の面白さなどを楽しむための車として選ぶべき1台と言えるだろう。

▲低燃費タイヤを履く17インチホイールをはじめ、前後バンパーやグリルなどを専用デザインに ▲低燃費タイヤを履く17インチホイールをはじめ、前後バンパーやグリルなどを専用デザインに
▲メーター左側にパワーメーターを配置。アウディコネクトには各種情報を外から確認できるなどの専用サービスも追加 ▲メーター左側にパワーメーターを配置。アウディコネクトには各種情報を外から確認できるなどの専用サービスも追加
▲ユニットには、外部充電可能な容量8.7kMhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせる ▲ユニットには、外部充電可能な容量8.7kMhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせる

【SPECIFICATIONS】
■グレード:e-tron ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHCターボ+モーター ■総排気量:1394cc
■最高出力:150/5000-6000+109[ps/rpm+ps]
■最大トルク:250/1500-3500+330[n・m/rpm+n・m]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:6DCT
■全長×全幅×全高:4330×1785×1465(mm) ■ホイールベース:2635mm
■車両重量:1570kg
■車両価格:564万円

text/島下泰久
photo/柳田由人