メルセデス・ベンツ Vクラス▲軽自動車からスーパーカーまでジャンルを問わず大好物だと公言する演出家のテリー伊藤さんが、輸入中古車ショップをめぐり気になる車について語りつくすカーセンサーエッジの人気企画「実車見聞録」。誌面では語りつくせなかった濃い話をお届けします!

リモートワークが定着した今、オフィスカーは憧れの存在に?

~語り:テリー伊藤~

ここ数年、キャンピングカーがブームになっています。

コロナ禍になってからは密を避けて旅を楽しみたいという需要が加わり、業界は今、追い風とも言える状況です

キャンピングカーショーでもテレワークに対応したものが出展されるなど、新たな需要を掘り起こすチャンスを逃さないよう知恵を絞っているようです。

メルセデス・ベンツ Vクラス▲外からはオフィス仕様になっていることがまったくわからない控えめな外観。そのさりげなさがいいんです

このVクラスの車内にはベッドになりそうな部分がありません。実はこれ、ビジネス用途に特化した、その名もオフィスカーなのです!

PCが設置されたストレージ付きのデスクに、冷蔵庫やシンクまで完備。完全に書斎です。

メルセデス・ベンツ Vクラス▲このとおり、車内は都会的なイメージで超豪華!

コロナ禍で急にリモートワークが増えたことで、自宅に居場所がなくて車の中からオンラインミーティングに参加する人も多いと聞きます

長く家の中にいると、逆に疲れてしまうというのもありますよね。

そんな人にとって、この車はうらやましい存在でしょうね。自宅の駐車場にこれがあるだけで、生活は激変しますよ

メルセデス・ベンツ Vクラス▲後方にはシンクも備わります

今は副業を認める会社も増えてきました。こういう車を持つと、様々なビジネスアイデアが生まれてきそうです。

インテリアは、黒を基調にしたモダンな雰囲気に。一般的なキャンピングカーは別荘をイメージしたウッディな色使いのものが多いですが、これはタワーマンションや都心の高級ホテルをイメージしたのでしょうね

僕は、ヨットのビルダーにキャンピングカーを作ってほしいと常々思っています。彼らは素材の選び方、家具の配置の仕方などが実にうまい。きっと優雅なキャンピングカーが生まれるはずですよ。

メルセデス・ベンツ Vクラス▲僕ならテーブル上のストレージは外して外の光が入るようにしますね

テリー伊藤ならこう乗る!

メルセデス・ベンツ Vクラス▲初代、2代目のインパネにはバンぽさが残っていましたが、3代目となる現行型はプレミアムモデルに変貌を遂げています

今はあちこちにWi-Fiが飛んでいるし、スマホさえあればどこでもネット環境につながることができます。

だったら、こういう車で仕事をしながら長期の旅に出てみるのも楽しそうです。

春なら、桜前線を追いかけて南から北に車を走らせるとか。新婚旅行で仕事をしながら日本一周旅行を楽しむのもいい。朝、海でのんびりサーフィンを楽しみ、夕方まで仕事をしてまた海に入るという生活も楽しそうです。

メルセデス・ベンツ Vクラス▲ルーフには太陽光パネルが設置されていました

僕の知り合いに、キャンピングカーで全国を旅しながらサッカー選手を追いかけているカメラマンがいます。

ラジオをやっているときに、ちょくちょく出演してもらいましたが、あるときは四国、次は長野と、精力的に取材を行っている姿に頭が下がるばかりでした。そして、全国のおいしい食べ物の話を羨ましく聞いていました。

メルセデス・ベンツ Vクラス▲仕事をしながら桜前線を追いかけて車を走らせる。そんな旅をしてみたいです

最近、別の知り合いから「GRヤリスを買ってレースをやろうと思う」と相談を受けましたが、僕は、「GRヤリスを買っても優勝できるわけじゃない。それならキャンピングカーを買って、2人の子供を旅に連れて行こう」とアドバイスしました。

行く先々でロケをして素敵な映像をYouTubeで公開していけば広告収入が入るかもしれないし、そこから仕事も広がるはずです。

このVクラスのようにオフィス機能があれば、撮った写真や映像をすぐに編集することだってできますよ。

そう考えると、やっぱりベッドが欲しくなりますね。Vクラスにポップアップルーフを付けたマルコポーロホライゾンでオフィスカーを作るのも面白そうです

そして僕なら、運転席後ろのカウンターは外すか折りたたみ式にして、車内から運転席に移動できるようにする。机の上のストレージも外して開放的な雰囲気にしたいですね。

メルセデス・ベンツ Vクラス▲運転席後ろにある棚を折りたたみ式にして、キャビンとワークスペースを行き来できるようにするともっと便利かも

でもこれは一般人の浅はかな考えなのかもしれません。

これを買うのはビットコインで大儲けして、プラダやグッチのスーツを肩肘張らずに着ているような人でしょう。きっと年収は5000万円くらいあるはず。

これはあくまでビジネス用で、この車で遠出をするなら、わざわざ車内で寝ることなど考えずにホテルを予約するはず

利用も都市部に限られるのかもしれないですね。そう考えると、都会をイメージした家具の色使いも納得です。

アルファードのような押し出しの強いミニバンではなく、Vクラスをベースに選ぶのも彼らならではのセンスなのでしょう。控えめで落ち着いたインテリアがとてもいい雰囲気です。

メルセデス・ベンツ Vクラス▲お金持ちは車の中で寝ることは考えない。だからすべてをワークスペースに充てているのかもしれないですね
メルセデス・ベンツ Vクラス▲国産ミニバンのように押し出しを強くしていないのがVクラスの特徴です

メルセデス・ベンツ Vクラス

商用モデルをベースに3列シートを搭載したメルセデス・ベンツのスライドドアミニバン。現行型は3代目で、2015年10月に日本導入された。初代は商用車感が拭えなかったが、現行型はメルセデスらしいプレミアム性が与えられている。全長4905mmの220dアヴァンギャルド、全長5150mmの220dアヴァンギャルドロング、全長5370mmの220dアヴァンギャルドエクストラロングが用意される。2列目と3列目シートは独立した大型のものが取り付けられ、荷室を広げたいときはシートを外す構造になっている。今回取材した車両は220dアヴァンギャルドロングをベースにしたオフィス仕様で、2列目席と3列目席は取り外されていた。

文/高橋満(BRIDGE MAN) 写真/柳田由人

テリー伊藤

演出家

テリー伊藤

1949年12月27日生まれ。東京都中央区築地出身。これまで数々のテレビ番組やCMの演出を手掛ける。現在『爆報!THE フライデー』(TBS系/毎週金曜19:00~)、『サンデー・ジャポン』(TBS系/毎週日曜9:54~)に出演中。新著『老後論~この期に及んでまだ幸せになりたいか?』(竹書房)が発売中。You Tubeチャンネル『テリー伊藤のお笑いバックドロップ』を開設!