8ATとなったプジョー 3008 GT BlueHDiは、ディーゼルSUV市場の隠れた優等生だ
カテゴリー: プジョーの試乗レポート
2019/01/06
今こそ要注目のプジョー
ここ数年で大きな変化を遂げたフランスの自動車メーカーがある。プジョーだ。
保守的だが確実にユーザーに訴えるバリエーションを揃え、広いレンジから支持を集めているのだ。この6年ほどで飛躍的にハイクオリティなモデルも打ち出してきた。
それも、ただのハイクオリティでは終わらないのがフランス車。
剛性の高いフレキシブルプラットフォーム。心地よく動くサスペンション。大人のデコラティブ。
そうした要素を高次元で実現したのが現行型の3008である。
日本への導入は2017年から。当初はガソリンの1.6Lターボのみであった。
その後、2Lディーゼルターボモデルが導入され、「GT BlueHDi」というグレードのみに8速ATを採用。
これが、もう一段上のパフォーマンスとなっているのだ。
本記事では、その「3008 GT BlueHDi」について、改めてお伝えしたい。
日本のディーゼルSUV市場は、マツダやBMWが積極的に展開していることもあり活気がある。
そんな競合と肩を並べながらも3008 GT BlueHDiが“売り”にできるのは、「GT」と名乗っても遜色ないパフォーマンスだ。
ガソリンエンジンでいえば、4L級の40kg-mを発揮するトルク。
動力性能も素晴らしく、昨年、大雪の都内で、8AT搭載前の6ATディーゼル車に試乗したが、細かな制御で走破性が抜群であったことを覚えている。
フランスは特有の合理主義で、メカニカル的に簡素ながらも高性能な車を作る。
3008もその良い例で、プジョーを“さすが”と称したい。
ダテに1965年からFFを作ってきたわけではないというところか。
エンジン始動時の“ディーゼル感”は薄い。
Dレンジに入れ発進すると、ぐっと立ち上がるトルク特性と若干の低音のノイズで初めて“ディーゼル感”を匂わせる。とはいっても、不快感はまるでない。
走らせても、8速ATの効能か、とにかく低回転で変速しスムーズで、静粛に務めてくれる。
エンジンも粘りがあり、とてもスムーズ。クロスレシオになり、より細かく制御ができるからだろう。
市街地でもトルクが太く、軽く踏み込むだけでググッと前に出てくれる。一方で、“ギクシャク”した感じはまるでなかった。
全長は4.45mあるが、扱いやすい。
身長170cmの私はドラポジが車体のほぼ中央部だったからかもしれないが、とてもバランスの良い運転感覚を得られた。
デザイン上、ヒップポイントが高くセンタークラスターもシンプルなので前方の見切りは当たり前に良好。
加えて、八方の見切りも安定している。
ステアリングは、プジョー独特の小径設計。見切りが良いのはこれのおかげもあるだろう。
この小径ステアリングながら、独自のギアレシオで、ゆったりとした操作感覚が得られた。
プジョーらしさは、この3008にもしっかり生きている。
長めの上り坂を加速してみると、エンジンが回転を上げなくても上品に加速していくのが分かった。
時速60km以上になると一層乗り心地がよくなる。安定感も抜群だ。
右に左にステアリングを操作する場面も、ストレスどころか小径ステアリングでのトレースが楽しくなった。
全幅が20mmほどワイドであるこのグレードは(他のグレードは全幅1840mm)、コーナリングがより安定するので、タイトなカーブでのスタビリティはより増しているだろう。
ハッチバックスタイルに、この動力で、このパフォーマンス。
高い質感を備えながら、乗り味も心地よい。
燃費も、動力性能とスペースパフォーマンスから考えれば、悪くない。
さらに言えば、スタイルに個性もある。
考えてみれば、ここまで多方面に秀でたFFモデルはそうそうあるものではない。
8ATのGT BlueHDiを筆頭に、3008はもっと注目されてもよい1台だ。
【SPECIFICATIONS】
■グレード:GT BlueHDi ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4 DOHC + ディーゼルターボ ■総排気量:1997cc
■最高出力:130(177)/3750 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:400/2000[N・m/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:8AT
■全長x全幅x全高:4450×1860×1630(mm) ■ホイールベース:2675mm
■ガソリン種類/容量:軽油/52(L)
■JC08モード燃費:17.8(㎞/L)
■車両価格:448万円(税込)
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